【問題の事案】
仕事上,相続に関することを扱っているので,お墓に関する情報を得ようと思い,
(ホームページでは,契約条項が分からなかったので)
札幌市内の民間墓園に,メールで無料の資料請求をしました。
請求の際,住所は必須事項でしたが,電話番号は必須事項でなかったので,記載しませんでした。
また,特記事項として,資料の「送付」をお願いします,と記載しました。
3日経っても,送付されて来ませんでした。
4日後である土曜日の午後,電話が鳴りました。
電話に出ると,相手は,「〇〇墓園ですが,資料を持って訪問するので,都合を教えてください。」
と言いました。
すかさず,わたしは,「電話番号を記載してましたか?」と尋ねると,
相手は「いえ,」と答えるので,
わたしは,「資料は,いりません。」と言って,電話を切りました。
わたしは,あくまで資料が欲しかっただけでした。
ホームページ上に,「無料の資料請求は,こちらから,」とあったのです。
通常人は,訪問ではなく,資料の「送付」を想定して,メール請求をするのではないでしょうか?
(ホームページ上には,資料を送付するとも,資料を持って訪問するとも書いてありませんでしたが)
まして,わたしは,特記事項として「送付」してください,と記載していました。
なにより,わたしのメールアドレスは,相手も分かっているのですから,メールで尋ねればよいのに,
わざわざ,「NTTの104」で電話番号を探して,電話を架けてきたようです。
電話が架かってこないように,電話番号を記載しなかったのに,
それでも,電話番号を探して架けてくる業者は,親切なんでしょうか?
自宅を訪問して,直接説明することが,親切・丁寧だと思っているのでしょうか?
通常人なら,こんな業者の墓園は,お断りだと思うのですが・・・
ちなみに,この業者は,資料請求の受付メールを返信してくれました。
(おそらく,自動返信メール)
同日に請求した,他の業者は,電話番号を記載していなかったからか,分かりませんが,
メール返信すらありません。
【法律を適用すると,どうなるか?】
今回のように,消費者が,相手の業者に電話・メール等で,
「カタログ等を送付して欲しい」旨を請求したところ,
業者が,「消費者の自宅にカタログ等を持参して,説明をしたい」旨を申し出て,
その結果,消費者の自宅を訪問したような場合も,
訪問販売に当たります(行政通達)。
この場合,訪問販売になるので,業者の自宅訪問に際して,商品を購入したとしても,クーリング・オフをすることができます。
その他,特定商取引法の規定によって,消費者は保護されます。
(特定商取引法は,訪問販売などを規制する法律です。)
業者の「電話・メールで自宅訪問を了解したから,訪問販売ではない。
クーリング・オフはできない。」との反論は,特定商取引法上,無効です。
*ポイントは,消費者の方から,自宅への訪問を要請していないことです。