2012年10月31日水曜日

相続人の中に養子がいるときの相続税

国税庁タックスアンサーから引用

No.4170 相続人の中に養子がいるとき

1 相続税の計算をする場合、次の4項目については、法定相続人の数を基に行います。


(1)  相続税の基礎控除額

(2)  生命保険金の非課税限度額

(3)  死亡退職金の非課税限度額

(4)  相続税の総額の計算

2 これらの計算をするときの法定相続人の数に含める被相続人の養子の数は、一定数に制限されています。

  この法定相続人の数に含める養子の数の制限について説明します。

(1)  被相続人に実の子供がいる場合

  一人までです。

(2)  被相続人に実の子供がいない場合

  二人までです。

  ただし、養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数は、上記(1)又は(2)の養子の数に含めることはできません。

3 なお、次のいずれに当てはまる人は、実の子供として取り扱われますので、すべて法定相続人の数に含まれます。

(1)  被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人

(2)  被相続人の配偶者の実の子供で被相続人の養子となっている人

(3)  被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人

(4)  被相続人の実の子供、養子又は直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったため、その子供などに代わって相続人となった直系卑属。なお、直系卑属とは子供や孫のことです。

←(4)は代襲相続人などのことです。

(相法12、15、16、63、相令3の2、相基通15-2、63-1、63-2)


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2012年10月16日火曜日

相続時精算課税制度と不動産の贈与

Aが所有し,現在居住している不動産について,

相続時精算課税制度を利用して,

その不動産に同居している子Bに対し,

将来の相続紛争を心配して,その不動産を贈与した場合。

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確かに,Aの相続が発生したとき,

別居している子C,子Dとの関係で,

通常は,不動産の名義人である子Bがその不動産において有利な立場に立つことができます。(遺留分減殺請求をされる等の可能性はありますが。)

ところが,Aの相続発生前に,

その子Bが何かの原因で多額の借金を抱えた場合,

借金の担保としてその不動産が競売にかけられる可能性や

子Bがその不動産を売却する可能性があります。

その場合,Aは,その不動産から退去しなければならないことになります。

とくに,子Bが自営業をしている場合は,贈与時点では景気が良くても,

Aの相続発生前に,経営が悪化して,その不動産を失う可能性は十分にあります。

将来の相続紛争の防止よりも,Aが終の棲家を確保したい場合は,

居住しているその不動産を子Bに贈与してはいけません。


*親子が同居している不動産は,子に贈与するのは避けた方が無難です。

贈与する場合は,全部ではなく,持分の2分の1までにしましょう。


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相続時精算課税制度と税務署の人の雑感

先日,某所で税務署の人が相談者に相続時精算課税制度を勧めてました。

相談内容は,「相談者が子どもに2500万円以下の不動産を贈与したい。」というものでした。

贈与税・相続税のみの点でいうと,相続時精算課税制度を利用する価値はあるようと思えました。

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しかし,相続時精算課税制度の短所および贈与の短所である以下のことはまったく説明していませんでした。

①贈与の登録免許税は評価額の1000分の20であること(相続は1000分の4なので,5倍になる。)

②贈与は不動産取得税が課税されること(相続は無税),

③相続時精算課税制度の申出は撤回できないこと

④暦年110万円の贈与税の基礎控除が利用できないこと


*役人は,その説明によって自分の給料が増えるわけではないから

基本的に相談者から質問されたことにしか回答しません。

あとから相談者が損害を被ったとクレームをつけても,

証拠がないといわれたり(水掛け論),

そこまで説明する責任はなかったということで,

役人は免責されているのが,現状だと思います。


変なところで,お金をケチって損をしないように高額案件は,

専門家に依頼すべきだと思います。

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まぁ,贈与の登記自体は難しくないので,そのまま税務署の人の話しに飛びついて,

法務局の無料相談(法務局の人は,わざわざ贈与の登録免許税は相続の5倍である旨は説明しません。)で贈与の登記申請書を作成して,

贈与を原因として不動産の名義変更をしてしまえば,

相談者自身が,経済的に損をしたことに気づくことはないので,

それはそれで,幸せのような気もしますが・・・



*贈与したことにより,将来の相続紛争の防止に役立ったと考えれば,

あえて贈与を選択することも間違えではありません。

(費用対効果で考えると,相続紛争で裁判になった場合,上記の税金よりも高い弁護士費用になることが多いでしょうし,解決まで時間がかかるからです。)

まぁ,贈与したからといって,絶対に相続紛争を防止できるわけでもないので難しいところではありますが・・・

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