ブログ記載時の法律に基づいています。具体的な事件については,必ず専門家にご相談ください。 司法書士・行政書士・社会保険労務士 石原拓郎
2015年10月8日木曜日
遺産分割協議の引換え給付と相続登記
当事務所では,遺産分割協議の引き換え給付(代償分割:相続分の売買)による相続登記の依頼を承っております。
不動産について相続による名義変更(相続登記)をしたにも関わらず,お金を支払ってもらえないとのトラブルを防止することができます。
事務所 札幌市中央区
(石原拓郎司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所)のHP
http://ishihara-shihou-gyosei.com/
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登記研究810号 平成27年8月号 実務の視点 152頁によると,
共同相続人中のある者が,生活に窮した場合に他の者から援助を受け得ることを条件として,相続財産の分譲を受けないもものとして成立した遺産分割の協議は有効であり(昭和31年1月31日付け民事甲第193号民事局長回答),
「長男甲が,次男乙に金500万円を支払ったときは,甲が後記の不動産を相続する。」,
「長男甲は,後記の不動産を相続する。ただし,甲は,相続することの引換えとして乙に金500万円を支払う。」,
旨の記載がある遺産分割協議書に基づいて,相続による所有権の移転の登記の申請をする場合であっても,
反対給付を履行したことを証する情報としての乙の領収書等を提供することを要しない(質疑応答 登記研究602号177頁)。
反対給付(現金の支払い)が履行されていないにもかかわらず,相続登記がされた場合であっても,民法541条に基づき遺産分割協議を債務不履行解除をすることは困難だと思われます(最判平元年2月9日民集43巻2号1頁参照)。
よって,相続登記の抹消を請求することはできません。
第三者である司法書士が関与することで,
反対給付の履行(現金の受領)を確保したうえで,必要書類を添付して法務局に相続登記を申請するという手順を踏むことができますので,
代償分割(相続分の売買)による遺産分割協議に基づき相続登記をする場合は,司法書士に依頼すべきでしょう。