ブログ記載時の法律に基づいています。具体的な事件については,必ず専門家にご相談ください。 司法書士・行政書士・社会保険労務士 石原拓郎
2012年3月25日日曜日
在日韓国人の相続
(1)在日韓国人の不動産の相続の名義変更(相続登記)について
*登録免許税や郵便代などの実費は,別途必要になります。
不動産の相続の名義変更(登記申請書および遺産分割協議書の作成)の報酬は,6万円(消費税抜き)です。
*上記報酬は,親が居住していた不動産を子が相続する場合を想定しています。事件の難易度や不動産が日本各地にある場合などは,報酬は増額になります。
*戸籍謄本の取得や翻訳の依頼がある場合は,別途報酬が必要になります。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
(2)韓国の戸籍謄本の取得と翻訳について
*郵便代や大使館の戸籍謄本発行費などの実費は,別途必要になります。
①大韓民国の身分登録簿の戸籍謄本・除籍謄本,家族関係登録簿の証明書(いわゆる韓国の戸籍謄本)の取得報酬は,
1通につき,2000円(消費税抜き)です。
②大韓民国の身分登録簿の戸籍謄本・除籍謄本,家族関係登録簿の証明書(いわゆる韓国の戸籍謄本)の日本語への翻訳報酬は,
1ページごと(1通ではありません。)につき,1000円(消費税抜き)です。
*上記の翻訳報酬は,電算化(=コンピュータ化)されている場合に限ります。通常は,電算化(=コンピュータ化)されています。
←手書きの場合は除外するという趣旨です。
手書きの場合は,1ページごと(1通ではありません。)につき,2000円(消費税抜き)です。
*身分登録簿の戸籍謄本・除籍謄本の場合,1通は,通常は複数ページとなります。家族関係登録簿の証明書の場合,1通は,通常は1ページとなっています。
*よって,家族関係登録簿の証明書の場合は,通常は1通あたり,1ページとなり,翻訳報酬は1000円です。
しかし,身分登録簿の戸籍謄本・除籍謄本の場合は,1通であっても,複数ページからなっており,翻訳報酬はページ数×1000円(手書きの場合2000円)となります。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
平成26年某月某日
祖父(名義人),祖母,父,おばの4人が死亡した韓国人の相続登記について,補正もなく無事完了しました。
代襲相続と兄弟姉妹の相続が含まれており,かつ,相続人に帰化者がいたため,慎重に戸籍の調査をしました。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
在日韓国人が死亡した場合に適用される法律は,
大韓民国民法です。
大韓民国民法の相続の規定が適用されます(大韓民国国際私法第49条第1項)。
(1)ただし,在日韓国人は遺言によって,
「相続」の準拠法として,
日本民法を選択することができます(大韓民国国際私法第49条第2項第1号)。
(2)日本民法を選択すると,
①配偶者の遺留分が,大韓民国民法の遺留分よりも多くなること(ただし,相続人となる子が2人以上の場合に限る。)
②大韓民国民法によると,
遺言による相続分の指定ができないとの解釈による不都合を回避することができます。
(3)大韓民国国際私法第49条第2項第1号により,
遺言で,「相続」の準拠法として日本民法を選択すると,
在日韓国人が所有する財産につき,不動産に限らず,債権および動産などすべての財産の相続に日本民法が適用されます。
その場合の相続手続ですが,
大韓民国国際私法第49条第2項第1号ただし書きにより,
遺言書のほか,
遺言書作成当時から死亡時まで遺言者の常居所が日本に継続していたことを証する書面(外国人登録証明書など)が必要になります。
(4)なお,大韓民国国際私法第49条第2項第2号により,
遺言で,不動産の相続に限り,適用される法律を「不動産の所在地法」との指定ができます。
上記遺言をした場合は,在日韓国人が日本に所有する不動産の相続には,
日本民法が適用されることになります。
ーーーーーーーーーーーーー
大韓民国 国際私法
2001.4.7法律第6465号
第49条(相続)①相続は、死亡当時被相続人の本国法による。
②被相続人が遺言に適用される方式により、明示的に次の各号の法律のいずれかを指定するときは、相続は、第1項の規定にかかわらず、その法による。
1.指定当時の被相続人の常居所がある国家の法。ただし、その指定は、被相続人が死亡時までその国家に常居所を維持した場合に限り、その効力がある。
2.不動産に関する相続に対しては、その不動産の所在地法
第50条(遺言)①遺言は、遺言当時の遺言者の本国法による。
②遺言の変更又は撤回は、その当時の遺言者の本国法による。
③遺言の方式は、次の各号のいずれかの法による。
1.遺言者が遺言当時又は死亡当時に国籍を有する国家の法
2.遺言者の遺言当時又は死亡当時の常居所地方裁判所
3.遺言当時の行為地法
4.不動産に関する遺言の方式に対しては、その不動産の所在地法
ーーーーーーーーー
法の適用に関する通則法
(平成十八年六月二十一日法律第七十八号)
(相続)
第三十六条 相続は、被相続人の本国法による。
(遺言)
第三十七条 遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。
2 遺言の取消しは、その当時における遺言者の本国法による。
ーーーーーーーーーーーー
遺言の方式の準拠法に関する法律
(昭和三十九年六月十日法律第百号)
(準拠法)
第二条 遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。
一 行為地法
二 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法
三 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法
四 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法
五 不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法
ーーーーーーーーーーーー
当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com/