推定相続人の一部などが,
遺言者の判断能力(遺言能力)の減退に乗じて,
自己に有利な内容の遺言書を作成させることがあります。
そのような場合は,
遺言者に対する成年後見の申立てによって,
対応することが考えられます。
①遺言能力を判定する証拠になる。
遺言書の作成後,成年後見の開始の審判がなされた場合は,
通常は,その時点における成年被後見人(=遺言者)の判断能力には,問題があることになります。
遺言書の作成時期が,成年後見開始の審判に接着していた場合は,
その遺言書作成当時の遺言者の判断能力に疑問を呈する証拠となりえます。
②遺言の作成を制限することができる。
成年後見開始の審判後に作成された遺言ですが,
民法973条により,成年被後見人の遺言については原則無効です。
ただし,成年被後見人が,遺言能力を回復した場合は遺言書を作成することができます。
なお,この場合,医師二人以上の立会いが必要とされ,かつ,医師も遺言書に署名押印をする必要があるので,
推定相続人の都合のいいように,遺言書を作成することはできません。
つまり,成年後見開始の審判後に,
はじめて遺言書を作成したり,遺言書を書き直したりするということは,
非常に難しくなるということです。
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