ブログ記載時の法律に基づいています。具体的な事件については,必ず専門家にご相談ください。 司法書士・行政書士・社会保険労務士 石原拓郎
2017年5月2日火曜日
数次相続と全部相続させる遺言
登記研究平成29年4月号(830号)の175頁の質疑応答によりますと,
土地の所有権の登記名義人甲が平成26年に死亡し,乙と丙が相続したが,相続登記が未了のうちに丙が平成27年に死亡し,その法定相続人はAとBである場合において,
①丙名義の「全ての相続財産をAに相続させる」旨の公正証書による遺言書
及び
②乙が土地を取得する旨に加えて,Bによる遺留分減殺請求権の行使がない旨の記載(又は上申書)がある乙名義とA名義の遺産分割協議書
を添付して,甲から乙への相続による所有権の移転の登記が申請されたときは,これを実行して差し支えない。
遺産分割協議「前」にBによる遺留分減殺請求権の行使がされていたときは,乙,A及びBが遺産分割の協議を行う必要がある。
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上記の質疑応答によると,遺留分権利者が存在していても,遺産分割協議が遺留分減殺請求権の行使前であれば,遺留分権利者の遺産分割協議の参加は不要との見解ですので,
法定相続人の一部を除く相続分の指定の事例で,遺留分権利者が存在する場合は遺産分割協議に参加しなければならない(又は遺留分放棄書を添付)という「カウンター相談Ⅱの141頁」の見解を
変更しているように思われます。
そもそも,「カウンター相談Ⅱの141頁」の見解は,遺留分減殺請求権の行使の有無を無視しているので,上記の質疑応答の見解が正しいと思います。
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