小規模宅地等の特例の対象となる
「被相続人等の居住の用に供されていた宅地等」の判定は,
被相続人等が,
宅地上の建物に生活の本拠を置いていたかどうかによって判定されます。
したがって,
仮住まいを目的とする居住,
一時的な目的による居住,
小規模宅地等の特例を受けるためのみを目的とする居住,
主として趣味や保養を目的とする居住,
というような場合については,
その宅地上の建物に生活の本拠を置いていたとは判定されません。
(1)被相続人が入院したことにより建物が空き家になっていた場合
①被相続人が退院したとすれば,いつでも生活できるように建物の維持管理(日常生活ができる状態であること=家財道具がそのままで,電話,電気,ガス,水道の契約を継続しているなど)が行われ,
かつ,
②被相続人の入院後,あらたに建物を他の者の居住の用その他の用に供していないのであれば,
被相続人が退院することなく,死亡した場合でも,
空き家となっていた期間の長短を問わず,
その空き家に被相続人が生活の本拠を置いていたと判定されます。
(2)被相続人が老人ホームに入所したことにより建物が空き家になった場合
①被相続人の身体または精神上の理由により介護を受ける必要があるため,老人ホームに入所し,
かつ,
②被相続人が退院後,いつでも生活できるように建物の維持管理(日常生活ができる状態であること=家財道具がそのままで,電話,電気,ガス,水道の契約を継続しているなど)が行われ,
かつ,
③被相続人の入院後,あらたに建物を他の者の居住の用その他の用に供していない,
④被相続人または親族が,老人ホームの所有権または終身利用権を取得したものでないのであれば,
被相続人が老人ホームを退所することなく,死亡した場合でも,
その空き家に被相続人が生活の本拠を置いていたと判定されます。
*なお,被相続人が有料老人ホームの終身利用権を取得したことその他の事情を総合考慮して,
生活の本拠が,空き家ではなく有料老人ホームにあるとして,
小規模宅地等の特例の適用が認められなかった裁決(平成20年10月2日裁決事例集NO.76 450頁)があります。
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平成25年6月3日(月)追記
相続税法の改正により,老人ホームの入所の場合の小規模宅地の特例の取扱いが変わる予定です。
①平成26年1月1日以降の相続又は遺贈に係る相続税については,
下記の要件も満たすことで,老人ホームに入所(終身利用権を取得)していても,小規模宅地の特例を受けることができるようになります。
1.被相続人が介護が必要なため入所したものであること。
2.当該家屋(老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋)が貸付け等の用途に供されていないこと。
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