居住用不動産(居住している家屋または,居住している家屋とともにその敷地)
を売却する場合で,
居住用不動産の譲渡所得の特別控除の要件を満たしていれば,
譲渡益のうち3000万円が控除されます。
したがって,売却価額が3000万円以下であれば,
譲渡所得による所得税は課税されないことになります。
特別控除の要件は,ほかにもありますが,
少なくとも居住用不動産を売却するときに,
売却者が,原則として居住用不動産の所有者かつ居住している人でなければなりません。
つまり,居住用不動産に相続が発生し,
相続人が居住用不動産を売却したが,
相続人自身がこの居住用不動産に居住していない場合には,
この特別控除は適用されません。
(1)売却者A(居住していた人)は売買契約を締結したが,
所有権移転登記および代金決済前に死亡した場合。
売買契約の締結により,売買契約の効力は生じているので,
相続人Bが売買の手続を完了させ,死亡した売却者Aの譲渡所得として申告すれば,
この特別控除は適用されます。
(2)居住用不動産を所有し,かつ,居住していたAが死亡し,
社宅に住んでいる相続人Bが居住用不動産を相続し,
Bは居住用不動産に居住することなく,売却した場合。
たとえ,AがBの扶養親族だったとしても,
Bは,現在社宅に住んでおり,所有者として居住用不動産に居住したことがないので,
この特別控除は適用されません。
(3)夫Aは居住用不動産甲を所有し,妻Bとともに居住していたが,
居住用不動産甲の買換えを前提に,先に居住用不動産乙を買い,妻Bとともに転居した。
居住用不動産甲を売却する前に,夫Aが死亡したため,
妻Bが居住用不動産甲と乙を相続し,居住用不動産甲を売却した場合。
妻Bは,かつて居住用不動産甲に住んでいたが,そのときは所有者ではなく,
現在は居住用不動産乙に居住しているから,
この特別控除は適用されません。
なお,夫Aが,居住用不動産甲から乙に転居し,「・・・これらの家屋が当該個人の居住の用に供されなくなつた日から同日以後三年を経過する日の属する年の十二月三十一日までの間・・・」に,
妻Bが相続した居住用不動産甲を売却したとしても,
この特別控除は適用されません。
「」の規定が適用されるのは,売却者が夫A自身の場合に限るからです。
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