(最高裁HPhttp://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37210&hanreiKbn=01)
により,共同相続人の1人から,金融機関に対して,
預金口座の取引経過の開示請求をすることが,認められました。
この判例が出る前は,共同相続人の全員の同意がなければ,
金融機関は,開示に応じなかったようです。
この結果,被相続人の財産を管理していた相続人が,
被相続人の預金を不正に引き出していなかったか,
他の共同相続人が,調査できるようになりました。
ただし,上記判例は,遺言がなく,かつ,遺産分割協議をしていない事例です。
したがって,
①遺言により,預金を取得しないとされた相続人や
②遺産分割協議により預金を取得しないことになった相続人は,
金融機関に対して,預金口座の取引経過の開示請求をしても認められない可能性が高いでしょう。
なお,①遺言により,預金を取得しないとされた相続人であっても,遺留分減殺請求権を有する場合は,預金口座の取引経過の開示請求が認められる可能性があります。
遺産分割協議が成立した場合は,たとえ遺産分割により取得する相続財産が遺留分を下回っていたとしても,通常は,遺留分を放棄したと解されことになるでしょう。
遺産分割協議の成立後であっても,遺産分割協議をやり直すなどの正当な理由があれば,預金を取得しないとされた相続人であっても,預金口座の取引経過の開示請求が認められる可能性があります。
いったん遺産分割協議が成立した場合は,相続人の一人がその協議で負担した債務を履行しない場合でも,その債権を有する相続人は債務不履行に基づく解除することができません。つまり,相続人全員で遺産分割協議のやり直しを合意したなどのよほどの事情がない限り,遺産分割協議のやり直しは認められていないということです。
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