ブログ記載時の法律に基づいています。具体的な事件については,必ず専門家にご相談ください。 司法書士・行政書士・社会保険労務士 石原拓郎
2010年6月7日月曜日
相続分の譲渡
相続人は自己の相続分を,
他の相続人に譲渡すること(相続分の譲渡といいます)で,
遺産分割協議から離脱することができます。
相続分の譲渡は,
プラスの財産については,有効に譲渡できます。
しかし,
マイナスの財産については,相続人の間では有効ですが,債権者に対抗できません。
(例)
父Aが亡くなって,相続人は子BCD(法定相続分は各3分の1),
遺産は,プラスの財産として預金1500万円,マイナスの財産としてE銀行の借金900万円。
Bが,Cに自己の相続分3分の1を譲渡すると,
Bは遺産分割協議から離脱できます。
Cが3分の2,Dが3分の1の相続割合で,預金1500万円を分けます。
しかし,借金900万円の3分の1=300万円については,
BがE銀行へ返済しなければなりません。
かりに,BとCとの間で,Cが借金300万円を返済すると約束をしていてもです。
CがE銀行に,Bの300万円を返済してくれればいいのですが,
Cが返済しない場合,
Bは,預金500万円を相続できないのみならず,
E銀行への300万円の借金を返済しなければなりません。
(Cが300万円を返済すると約束していた場合,Bは約束違反のCに対し,Bが返済した300万円を返せと言うことはできます。)
*相続放棄をすれば,プラスの財産もマイナスの財産も相続しません。
*原則として,相続分の譲渡をしたあとに,相続放棄をすることはできません。
*相続放棄は,公的(裁判所関与)な方法です。
*相続分の譲渡は,私的な方法です
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