下記の記載は,国民年金および厚生年金の場合です(共済年金は,取扱いが異なる場合があります。)。
年金は死亡した月の分まで支払われます。
死亡した方に支払われるはずであった年金が,
支給されずに残っていた場合,
遺族の方にその分の年金(未支給年金)が支払われます。
ただし,未支給年金を請求できる遺族とは,
民法の相続人とは異なり,
国民年金法・厚生年金法により独自に定めてあります。
したがって,相続財産には含まれず(旧船員保険の未支給保険給付を除いて,遺言で未支給年金の受給者を指定することはできません。),
その遺族の独自の権利として取得をします。
遺族とは,
年金を受けていた方の死亡当時、
その方と生計を同じくしていた
配偶者、子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹です。
さらに,遺族には,請求できる順位があります。
その順位は,
生計を同じくしていた
一位:配偶者 二位:子 三位:父母
四位:孫 五位:祖父母 六位:兄弟姉妹
になっています。
*平成26年4月1日以後の受給権者の死亡から甥・姪、子の配偶者、叔父・叔母、曾孫、曾祖父母,甥・姪の配偶者、おじ・おばの配偶者、配偶者の曾祖父母,配偶者の甥・姪、配偶者のおじ・おば、などの3親等内の親族も未支給年金の請求することができるようになります。
*同居し,世帯を同じくしている者は,
生計同一要件を満たしているとして取り扱われます。
ただし,住民票上の世帯を異にし,かつ,起居を共にしていない別居中の者は,
当該遺族が,配偶者又は未成年の子の場合で,
当該別居が,就学,病気などやむを得ない事由によるものであり,
①生活費,療養費などの経済的な援助があり,
かつ,
②定期的に音信,訪問がおこなわれている場合は,
例外的に生計同一要件を満たしているものとして取り扱われます。
したがって,
当該遺族が,配偶者又は未成年の子以外の場合で,
住民票上の世帯を異にし,かつ,起居を共にしていない別居中の者は,
その生活費,療養費などの生活の基本的部分に要する費用が,
いずれか一方によって賄われているという特段の事情があった場合のみ,
生計同一要件を満たしているものとして取り扱われます。
なお,特段の事情の立証責任は,特段の事情を主張するものにあります。
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①生計同一要件を満たしていなければ,葬式費用の負担者であったとしても,未支給年金は請求できません。
②義父又は義母が死亡の場合,婿又は嫁は未支給年金を請求できません。
③おじ又はおばが死亡の場合,おい又はめいは未支給年金を請求できません。
*平成26年4月1日以後の受給権者の死亡から甥・姪、子の配偶者、叔父・叔母、曾孫、曾祖父母などの3親等内の親族も未支給年金の請求することができるようになります。
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国民年金法
(未支給年金)
第十九条 年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。
2 前項の場合において、死亡した者が遺族基礎年金の受給権者であつたときは、その者の死亡の当時当該遺族基礎年金の支給の要件となり、又はその額の加算の対象となつていた被保険者又は被保険者であつた者の子は、同項に規定する子とみなす。
3 第一項の場合において、死亡した受給権者が死亡前にその年金を請求していなかつたときは、同項に規定する者は、自己の名で、その年金を請求することができる。
4 未支給の年金を受けるべき者の順位は、第一項に規定する順序による。
5 未支給の年金を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その一人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。
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厚生年金保険法
(未支給の保険給付)
第三十七条 保険給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。
2 前項の場合において、死亡した者が遺族厚生年金の受給権者である妻であつたときは、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた被保険者又は被保険者であつた者の子であつて、その者の死亡によつて遺族厚生年金の支給の停止が解除されたものは、同項に規定する子とみなす。
3 第一項の場合において、死亡した受給権者が死亡前にその保険給付を請求していなかつたときは、同項に規定する者は、自己の名で、その保険給付を請求することができる。
4 未支給の保険給付を受けるべき者の順位は、第一項に規定する順序による。
5 未支給の保険給付を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その一人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。
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