被相続人が遺言を残していたが,
その遺言で不利益を受ける相続人(遺言で遺留分未満の相続分が指定されていた場合)が,
その遺言は,無効であると思い,
遺留分減殺請求をしないことがあります。
(遺留分減殺請求をすると,その遺言を認めたことになるから。)
しかし,結果として,遺言の無効が認められなかったとき,
(裁判をしようと思ったが,弁護士費用などの関係からあきらめた場合も含む。)
すでに,1年の遺留分減殺請求の時効期間が経過していることがあります。
最高裁判所の判例によると,
遺言無効の主張の中には,
遺留分減殺請求の主張は含まれていない。
と解されているので,
遺言無効の主張とは別に,遺留分減殺請求の主張をしておく必要があります。
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事件名 所有権移転登記等抹消登記手続
裁判年月日 昭和57年11月12日 最高裁判所第二小法廷判決第36巻11号2193頁
判示事項
一 民法一〇四二条にいう減殺すべき贈与があつたことを知つた時の意義二 遺留分権利者が減殺すべき贈与の無効を訴訟上主張しているときと減殺すべき贈与があつたことを知つたと推認される場合
裁判要旨
一 民法一〇四二条にいう減殺すべき贈与があつたことを知つた時とは、贈与の事実及びこれが減殺できるものであることを知つた時をいう。
二 遺留分権利者が、減殺すべき贈与の無効を訴訟上主張していても、被相続人の財産のほとんど全部が贈与されたことを認識していたときは、その無効を信じていたため遺留分減殺請求権を行使しなかつたことにもつともと認められる特段の事情のない限り、右贈与が減殺することができるものであることを知つていたと推認するのが相当である。
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(減殺請求権の期間の制限)
民法 第千四十二条
減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。
最高裁判所HPhttp://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=26255&hanreiKbn=01
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