遺留分減殺請求の対象となる被相続人の贈与は,
民法第千三十条により,
①相続開始前の一年間にしたものに限る贈与,
②1年より前の贈与でも,当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってなした贈与
とされています。
しかし,贈与の相手方が,相続人の場合で,
その贈与が,民法903条1項の特別受益に該当する場合,
遺留分は最低の取り分とされているので,
1年より前の贈与であっても,
当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってなした贈与という条件を無視します。
つまり,贈与の相手方が,相続人の場合で,
その贈与が,特別受益に該当する場合は,
何年前(何十年前)の贈与であっても,
原則として,遺留分減殺請求の対象の贈与として加えるということです。
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平成10年03月24日最高裁判所第三小法廷判決民集 第52巻2号433頁
判示事項
民法九〇三条一項の定める相続人に対する贈与と遺留分減殺の対象
裁判要旨
民法九〇三条一項の定める相続人に対する贈与は、右贈与が相続開始よりも相当以前にされたものであって、その後の時の経過に伴う社会経済事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮するとき、減殺請求を認めることが右相続人に酷であるなどの特段の事情のない限り、同法一〇三〇条の定める要件を満たさないものであっても、遺留分減殺の対象となる。
最高裁HPhttp://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=52811&hanreiKbn=01
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