団体定期生命保険契約と保険金の受取りに関する判例
団体定期保険(いわゆるAグループ保険)は,
本件事案のほか多数のトラブルが生じたことから,
平成8年11月からは,
総合福祉団体定期保険が創設されたことにより,消滅しました。
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事件番号 平成14(受)1358
事件名 保険金引渡請求事件
裁判年月日 平成18年04月11日
法廷名 最高裁判所第三小法廷 判決
民集 第60巻4号1387頁
判示事項
団体定期保険(いわゆるAグループ保険)に基づいて被保険者である従業員の死亡により保険金を受領した会社が生命保険会社との間の合意をもって社内規定に基づく給付額を超えて上記保険金の一部を死亡従業員の遺族に支払うことを約したと認めるべきであるとした原審の判断に違法があるとされた事例
裁判要旨
Y社が,複数の生命保険会社との間で,保険金受取人をY,被保険者をYの従業員全員とし,死亡保険金の合計額が従業員1人につき6000万円を超える団体定期保険(いわゆるAグループ保険)契約を締結し,従業員の死亡により保険金を受領する一方,当該従業員の遺族Xに対しては,社内規定に基づく給付額である1000万円程度の死亡時給付金を支払ったにとどまる場合において,
1 他人の生命の保険については被保険者の同意を求めることでその適正な運用を図るべく保険金額に見合う被保険利益の裏付けを要求する規制を採用していない立法の下では,直ちに上記契約が公序良俗に違反するとはいえないこと,
2 Yは,団体定期保険の主たる目的が受領保険金を従業員に対する福利厚生制度に基づく給付に充てることにあることは認識していたものの,死亡従業員の遺族に支払うべき死亡時給付金が社内規定に基づく給付額の範囲内にとどまることは当然と考え,そのような取扱いに終始していたのであり,社内規定に基づく給付額を超えて受領した保険金の全部又は一部を遺族に支払うことを黙示的にも合意したと認める余地はないことなど判示の事情の下では,上記のような団体定期保険の運用が公序良俗に違反することを前提として,これを免れるためには,Yは,生命保険会社との間の第三者のためにする契約をもって,社内規定に基づく給付額を超えて死亡時給付金として社会的に相当な金額(3000万円)に満つるまでの額をXに支払うことを約したと認めるべきであるとした原審の判断には,違法がある。
(補足意見がある。)
最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=32877&hanreiKbn=01
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