遺贈(遺言による贈与)が,無効になる場合の一つに,
遺贈の目的である権利や財産が,遺言者の死亡時において,
相続財産に属していなかったとき,があります。
つまり,遺言者が遺贈の目的物(権利や財産)を所有しているのであれば,
所有者として,目的物の処分権限があるので,
だれに目的物を遺贈するかは,遺言者が自由に決定できます。
しかし,そもそも,遺贈の目的物を所有していない場合は,
目的物の処分権限がないので,遺言者が原則としては,
その目的物を遺贈することはできない,ということです。
*ただし,遺言者が,ぜひとも,その目的物を遺贈したいと願うのであれば,
例外的に,その遺言は有効になります。
その場合は,相続人や遺言執行者は,
その目的物を入手して,遺言内容を実現することになります。
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(相続財産に属しない権利の遺贈)
民法
第九百九十六条 遺贈は、その目的である権利が遺言者の死亡の時において相続財産に属しなかったときは、その効力を生じない。ただし、その権利が相続財産に属するかどうかにかかわらず、これを遺贈の目的としたものと認められるときは、この限りでない。
第九百九十七条 相続財産に属しない権利を目的とする遺贈が前条ただし書の規定により有効であるときは、遺贈義務者は、その権利を取得して受遺者に移転する義務を負う。
2 前項の場合において、同項に規定する権利を取得することができないとき、又はこれを取得するについて過分の費用を要するときは、遺贈義務者は、その価額を弁償しなければならない。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
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