高松高判平22年8月30日判時2106号52頁
概略すると,被相続人A,Aの娘で被相続人B,AおよびBの唯一の相続人である原告X(Aの孫,Bの甥),Aの姪である被告Y。
Xは,YがA名義とB名義の預金を費消したとして,不法行為に基づく損害賠償請求または不当利得返還請求を原因としてYを訴えた。
Yは,
Aとの間の負担付贈与契約,死後委任契約,
Bとの間の財産管理契約の成立を主張しました,
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裁判所は,
Aとの間の負担付贈与契約の成立を否定しましたが,死後委任契約の成立を認めました。
Bとの間の財産管理契約の成立を否定しましたが,事務管理を認めました。
ただし,
YがA名義の口座から払い戻した2332万円のうち1887万円を,
YがB名義の口座から払い戻した1015万円のうち836万円を,
Yの自己のための費消として認定し,
YのXに対する上記金額の損害賠償請求を認めました。
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契約書を作成していない場合,負担付贈与契約の成立を立証することは困難のようです。
なぜなら,民法は遺産の処分は遺言書作成を大原則としているからです。
事務管理(準事務管理)と善解しても,
被相続人の財産のうち余った部分を事実上の財産管理人が懐に入れるようなことは,法律が認めていません。
事実上の財産管理人は,相続人から損害賠償請求(不当利得返還請求)された場合,
被相続人のために費消したことをまったく立証できなければ,全額を賠償する責任を負います。
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