2016年6月17日金曜日

未支給年金に関する裁決

未支給年金の順位に関する裁決

平成17年12月22日裁決 裁決集921頁 容認

旧厚年法の老齢年金と旧国年法に通算老齢年金の受給権者のAが平成15年死亡した。Aの子である請求人が未支給年金を請求したところ,保険者はAの妻(利害関係人)が先順位者であるとして,不支給処分にした。

昭和54年頃からBの宗教活動などにより夫婦仲は冷却していた。平成14年からBと別居して請求人と同居するようになった。AとBはお墓を巡って争いがあった。別居後もAがBに対する公共料金を支払っていた。BがAの見舞いに来たことがあった。本件状況の下では,Aの死亡当時のBとAの生計同一を否定したうえで,請求人とAの生計同一を肯定した。


未支給年金と失踪宣告に関する裁決

平成20年7月31日裁決 平成19年(厚)564号

(旧厚年法上の)遺族年金については,死亡配偶者が失踪宣告を受けていた場合,生計同一要件などは,同人が行方不明となった当時で判断するとの明文の規定があるが(旧厚年法59条1項柱書本文),未支給の保険給付については,このような明文の規定がない。

遺族年金の場合は,遺族自らの権利として受給権を得るのに対し,老齢年金等の未支給保険給付は,当該老齢年金の受給権者が得た一身専属生を有する受給権でまだその給付が行われていないものについて,遺族がその名で請求することを特に認めているという権利の構造上の相違によるものと考えられ,遺族年金に関する前記規定の類推適用は,基本的に考えられない。

老齢年金等の受給権者に失踪宣告がされた場合,死亡とみなされる日(原則として行方不明から7年経過した日)当時現に生計同一関係があるはずもないので,常に未支給の老齢年金等を受けることができなくなるとの批判が生じることが考えられる。

しかし,老齢年金をもっぱら実際は当該遺族の生計費を賄うためのものとして受給することが老齢年金制度の趣旨にもとることは明らかであり,上記批判は認められない。
 


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