(2)私法上の債権の場合は,消滅時効を主張するには時効の援用が必要とされていますが,
公法上の債権(租税債権及び公課債権の徴収権)の場合は,
債務者(租税・公課滞納者)による時効の援用は不要であり,
時効期間の経過という客観的な条件を満たせば,
当然に債権が時効によって消滅することになります。
これを公法上の債権の時効の絶対的効力(地方税法18条2項,国税通則法72条2項,地方自治法236条2項,会計法31条1項)といいます。
(3)したがって,法定納期限の翌日から起算して5年経過以後に
債務者が誓約書を記載するなどして債務を承認したとしても,
消滅時効にかかる部分に対しては無効ですので,
債務者は時効消滅を主張することができます。
当然ながら,消滅時効期間の経過前の債務の承認は,有効ですので,消滅時効は中断することになります。
(4)公法上の債権の時効の絶対的効力を知らない弁護士が2名はいるようです。
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札幌市中央区 石原拓郎 司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所
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地方税法(昭和二十五年七月三十一日法律第二百二十六号)
第十八条 地方団体の徴収金の徴収を目的とする地方団体の権利(以下この款において「地方税の徴収権」という。)は、法定納期限(次の各号に掲げる地方団体の徴収金については、それぞれ当該各号に定める日)の翌日から起算して五年間行使しないことによつて、時効により消滅する。
一 第十七条の五第二項又は前条第一項第一号、第二号若しくは第四号若しくは同条第三項の規定の適用がある地方税若しくは加算金又は当該地方税に係る延滞金 第十七条の五第二項の更正若しくは決定があつた日又は前条第一項第一号の裁決等があつた日、同項第二号の決定、裁決若しくは判決があつた日若しくは同項第四号の更正若しくは決定があつた日若しくは同条第三項各号に定める日