2016年6月17日金曜日

年金の事務処理誤りに関する裁判例の傾向

(1)請求棄却のおおまかな傾向

社会保険事務所(年金事務所)の義務違反があったとの原告の主張は,「証拠がない」として,一蹴されているようです。


<請求棄却の理由>


①社会保険事務所(年金事務所)の対応に誤りはない

②社会保険事務所(年金事務所)に説明不足はない

③原告主張の説明誤りという事実は認められない

④原告に損害はない

⑤被告適格がない(社会保険庁や日本年金機構ではなくて,原告に対して誤った説明をした社会保険事務所(年金事務所)そのものや担当者個人を被告として訴えたようです。)


*国家賠償請求事件では,3年の時効期間の経過により,時効消滅しているので請求棄却というものもあります。




(2)請求認容の理由

①直接の証拠がある

②間接の証拠から周辺事情を総合判断などしているようです。

(社会保険事務所(年金事務所)で手続をしたが,その当時,得をするAを選択すべきところ,損なBを選択している場合など)


(3)行政処分と国家賠償請求

行政処分には該当しない,いわゆる行政サービスといわれるものに対しては,取消訴訟をしても却下されるので,国家賠償請求として訴訟提起がされているようです。
 
ーーーーーーーーーーーーー

当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com/