遺留分減殺請求権の行使によって取得した不動産の所有権又は共有持分権に基づく登記請求権は,
時効によって消滅しません。
しかし,遺留分減殺請求権を行使した後でも,
受贈者又は受遺者は,遺留分減殺請求の目的物を譲渡することができます。
しかも,遺留分減殺請求権の行使後の目的物の譲受人に対して,
再び,遺留分減殺請求権を行使することはできません。
その結果,遺留分権利者と目的物の譲受人の関係は,
民法177条により,
登記名義を先に備えた方が,勝つことになります。
つまり,
遺留分減殺請求の相手方である受贈者または受遺者との関係では,
遺留分権利者が,登記名義を備えなくても勝ちます。
しかし,遺留分減殺請求権の行使後の目的物の譲受人との関係では,
登記名義を備えないと,勝てません。
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昭和35年07月19日最高裁判所第三小法廷判決民集 第14巻9号1779頁
判示事項
一 減殺請求後の転得者に対する減殺請求の許否。
二 転得者に対する減殺請求権の消滅時効の起算点。
裁判要旨
一 受贈者に対し減殺請求をしたときは、その後に受贈者から贈与の目的物を譲り受けた者に対してさらに減殺の請求をすることはできない。
二 受贈者から贈与の目的物を譲り受けた者に対する減殺請求権の一年の消滅時効の期間は、遺留分権利者が相続の開始と贈与のあつたことを知つた時から起算すべきである。
最高裁HPhttp://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=53639&hanreiKbn=01
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