2013年5月26日日曜日

ゆうちょ銀行の戸籍謄本取得書類への雑感

ゆうちょ銀行の相続手続において,

ゆうちょ銀行が交付してくれる

「ゆうちょ銀行(郵便局)の市町村・役所(役場)の戸籍担当職員様へ」

と題する書類のことへの雑感です。


ある相談者が持参されたその書類には,

「被相続人の【出生・16才・婚姻】以降から死亡まで繋がる戸籍謄本」

との部分において,

婚姻に〇がつけられていました。


不動産の相続登記や,他の銀行では,

【出生】以降から死亡までの戸籍謄本を要求するのが原則です。


したがって,ゆうちょ銀行はOKでも,

相続登記や他の銀行の手続のためには,

出生以降からの戸籍謄本を集める必要があるので,

親切なように見えるが,実は親切ではない気がしました。



*通常は,相続登記用1通,各銀行用〇通分の合計〇通の被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集します。

銀行によっては戸籍謄本を原本還付してくれたりする場合もあるので,
戸籍謄本が余ることもあります。

しかし,戸籍謄本に不足が生じた場合は,その分の戸籍謄本を集めなければなりません。

とくに遠隔地の役所に郵送で戸籍謄本を請求する場合は,面倒になります。

なお,経験上から言って,一度で過不足なく戸籍謄本を収集することは,なかなか困難だと思います。


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2013年5月24日金曜日

(札幌 相続放棄) 田舎の不動産(=無価値な不動産)を相続しない方法





札幌,岩見沢,室蘭,小樽,滝川,浦河,岩内,夕張,静内の各家庭裁判所の相続放棄の申述書の作成



<北海道内や札幌市内だけでなく,全国対応しております。>
当事務所(司法書士・行政書士・社会保険労務士)のHP
 札幌市中央区 
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相続放棄は,プラスの財産もマイナスの財産もすべて放棄することになります。

よって,原則として,特定の財産のみを相続したり,相続しなかったりというような選択をすることはできません。

田舎の不動産(土地・建物)のように,

固定資産税が課税され続ける,買い手が付かない,周辺住民から苦情がくる,老朽化により建物を取り壊さないといけないというような,デメリットがある場合は,

相続発生前に,入念に準備をしておくことで,特定の財産を相続しない方法を選択することも可能となります。

相続発生後では,手遅れです。


相続したことによる,その後の固定資産税の累積額(年額1万としても30年経てば30万円)や建物の管理費用・取壊し費用(取壊し費用は70万円~100万円)などをトータルで考えれば,

結果的に,専門家に報酬を支払ってでも依頼することで,特定の財産を相続しない方が,安くなると考えられます。


当事務所では,特定の財産を相続しない方法を,依頼者ごとに応じて,書類の作成も含めて,具体的にアドバイスしております。

相続発生前の,被相続人がお元気なときが,一番好ましい時期となりますので,ご留意ください。



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2013年5月4日土曜日

死亡による奨学金の返還免除(日本学生支援機構)





平成28年4月23日追記:平成28年熊本地震で被災された方で、奨学金の貸与を希望される方のための特設窓口


緊急・応急採用奨学金を希望される方
(1) 対象者:大学・大学院・短期大学・高等専門学校・専修学校専門課程の学生(生徒)で、本災害により家計が急変し、奨学金の貸与を希望される方
(2) 申込方法:在学している学校を通じて申し込む。(具体的な申込み方法は、在学されている学校に相談)
(3) 奨学金の種類:第一種奨学金(無利息)、第二種奨学金(利息付)
(4) 緊急・応急採用相談窓口について
   A.設置期間 平成28年4月20日(水曜日)~平成28年4月28日(木曜日)
    (平日8時30分~20時00分)
   B.電話 03-6743-6719(特設窓口)



【奨学金の返還についてのご相談】
平成28年熊本地震で被災された方で、返還期限猶予など奨学金の返還に関する相談については、奨学金返還相談センター(0570-666-301)にご連絡ください


平成27年9月12日追記:平成27年台風第18号等による大雨に係る被害地域の方
災害救助法が適用される地域で,奨学金の返還が困難になった方は,返還期限の猶予制度または減額返還制度を利用できる場合があります。「奨学金返還期限猶予願」に罹災証明書(原本)を添付して、日本学生支援機構に提出してください。


また、災害救助法の適用を受けない近隣の地域で、同等の災害にかかった方並びに同地域に勤務し勤務先が被災して、同等の災害にかかった方についても、返還期限が猶予される場合がありますので、日本学生支援機構へご相談ください。


 減額返還は,願出及び審査の時点で延滞している場合は、利用できません。
延滞を解消することにより願出が可能となります。)




減額返還は、毎月返還する割賦金を減額して、返還期間を延長するものです。返還予定総額が減額されるわけではありません。





●平成27年台風第18号等による大雨に係る被害地域
【茨城県】
古河市、結城市、下妻市、常総市、筑西市、結城郡八千代町、猿島郡境町(第1報、法適用日:平成27年9月9日)

【栃木県】
栃木市、佐野市、鹿沼市、日光市、小山市、下野市、下都賀郡野木町(第2報、法適用日:平成27年9月9日)



平成27年6月15日追記機関保証を利用した場合において,本人が死亡したときは,下記のとおり,全額または一部の額の返済が免除されることがあります。(日本学生支援機構の奨学金の機関保証は,公益財団法人日本国際教育支援協会がおこなっています。)


公益財団法人 日本国際教育支援協会HP
http://www.jees.or.jp/guarantee/index.htm


3.代位弁済後の返済猶予、返済免除

 本協会の機関保証には、他の保証機関にはない制度として、代位弁済後における返済期限の猶予及び返済の免除制度があります。返済期限の猶予は、返済が困難であると本協会が認めた場合、返済の期限が猶予される制度です。また、返済の免除は本人が死亡又は精神若しくは身体の障害により返済ができなくなったときに、返済未済額の全額又は一部の額が免除されることがある制度です。なお、いずれの制度もご利用には願い出が必要です。


平成26年4月3日追記:日本学生支援機構は,平成26年4月1日から奨学金の返還制度について変更をしています。

変更点は,下記のとおりです。

1.延滞金の賦課率の引き下げ

2.返還期限猶予制度の適用年数の延長

3.減額返還制度及び返還期限猶予制度の基準の緩和 

4.延滞者への返還期限猶予の適用(申請月において真に返還が困難な方が対象です)

5.減額返還制度の申し込みに係る提出書類の簡素化


よって,免除についての変更点はありません。


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死亡による奨学金の返還免除(日本学生支援機構)


奨学金を借りていた人が,不幸にも交通事故・病気・自殺などでお亡くなりになることがあります。

奨学金には,死亡による返還免除の制度が設けられています。




*死亡・心身障害免除の適用状況ですが,下記のとおりです(文部科学省 平成24年6月 (独)日本学生支援機構(JASSO)奨学金貸与事業の概要より抜粋) 。
平成20年度は1264件(17億円)
平成21年度は1289件(19億円)
平成22年度は 953件(15億円)


1 奨学金の返還免除を受けるには,相続人又は連帯保証人が,日本学生支援機構に対し,返還免除の願出をしなければなりません。


2 死亡した者については,死亡事由を問わず,奨学金の返還が全額免除されるようです(*根拠条文に死亡した者の奨学金の返還を免除すると明示されているわけではありません。)。
【平成27年1月26日,上記記事を下記に訂正します。】


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「奨学金問題に関するQ&A」(日本司法書士会連合会 平成27年1月26日)によりますと,
Q10
返還が免除される場合がありますか。その例として、どのような場合がありますか。
A10
返還が免除される例としては、
①略
②略

③略

(参考)本人が死亡した場合の返還免除制度と保証人
本人が死亡した場合、保証人は当然には返還免除となるわけではないようです。以前は、本人名の死亡届が提出されると連帯保証人と保証人も自動的に返還免除とされていたようです。

しかし、現在では、「返還免除願」を提出し、保証人が返還できない理由(例えば「年金生活等」)が認められると、免除となる扱いがなされているようです。


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*施行令7条は,「死亡した者については,・・・免除することができる。」との規定になっています。つまり,「免除する。」や「免除しなければならない。」とは規定されていないことから,死亡によって当然に免除になるわけではなく,日本学生支援機構に対して返還免除の願出をしなければなりません。

3 ただし,死亡時において,すでに延滞していた額は,真にやむを得ない事由がある場合でなければ免除されません(返還免除に関する施行細則5条)。

*日本学生支援機構は,延滞を解消しないと,死亡による返還免除を認めない,というような記事があります。

『支援機構には「死亡免除」規程があるが、「手続きがされていない」「延滞した場合は適用できない」などと拒否、全額返せと言い張るばかり』
My News Japan HP
http://www.mynewsjapan.com/reports/1983


4 なお,精神若しくは身体の障害により労働能力を喪失、又は労働能力に高度の制限を有し、返還ができなくなったときも,全部又は一部が免除されます(業務方法書25条
  ただし,「各号の障害は,症状が固定し,又は回復の見込みのないものに限る。」との注意書きがあるので,精神障害の場合は,現時点での回復の見込みについては不明ですので,まず返還猶予の申請することになると思われます。


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【平成27年1月26日,「奨学金問題に関するQ&A」(日本司法書士会連合会 平成27年1月26日)の記載をふまえた結果,
下記の「死亡した者の全額免除になる根拠」を,全部削除します。


削除の理由ですが,免除について2つのパターンが考えられます。
パターン①死亡した者の奨学金の返還は免除する(相続人は返還債務を相続しない。)が,保証人は当然に免除されない。
パターン②死亡した者の奨学金の返還も当然に免除されない(相続人が返還債務を相続する。)し,保証人も当然に免除されない。
ふつうは,パターン①のように考えてしまうでしょう。
しかし,法律上の原則である保証債務の附従性が適用される結果,主たる債務者(奨学金を借りていた人=死亡した者)が免除された場合は,保証人についても当然に免除されなければなりません(厳密には免除されるというよりも,当然に消滅することになります)。
なぜか,日本学生支援機構は,保証人を当然に免除しない取り扱いのようです。そうなると,パターン②のように考えることになります。つまり,保証人が免除されない間は,相続人も免除されないということです。


保証人が免除されずに,代わりに返済した場合は,保証人は立て替え払いしたことになります。保証人は相続人に対して,立て替えた金額の支払いを請求してきます。相続放棄をしていれば,保証人からの支払い請求に応じる必要はありません。


よって,相続人は相続放棄をした方が,安全ということになります。なお,日本学生支援機構の保証人に対する返還免除の審査期間と相続放棄の熟慮期間(通常は,相続発生を知ったときから3ヵ月。)とは,無関係ですので,審査期間分だけ熟慮期間が延長されるわけではありません。


(*労働災害による死亡の場合は,相続放棄をすると,遺族は,勤務先の会社に対して損害賠償請求ができなくなります。交通事故による死亡の場合も,相続放棄をすると,遺族は,加害者に対して損害賠償請求ができなくなります。ただし,遺族固有の慰謝料を請求できる場合があります。)
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平成27年1月26日 下記は削除します。
*死亡した者の奨学金の返還免除について,死亡事由を問わず,全額免除になる根拠ですが,下記の条文を総合考慮しました。

施行令7条には「死亡した者については,・・・全部又は一部を免除することができる。」と規定されています。

業務方法書25条には,「死亡等による返還免除」との表題になっているにもかかわらず,死亡に関する規定がありません。障害に関しては障害等級に応じて,全部免除または一部免除の区別が規定されています。

奨学規定44条には,返還免除の願い出の添付書類として死亡の戸籍抄本のみが挙げられています。

返還免除に関する施行細則2条には,死亡の場合の書式として様式1-1が規定されています。様式1-1には死亡事由,延滞事由および相続財産などの記載欄がありません。

⑤廃止された従前の返還免除規則2条には,死亡事由または相続人および連帯保証人の返還能力に応じて,免除額を決定するとの規定がありましたが,現行の返還免除に関する施行細則には,そのような記載が一切ありません。


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独立行政法人日本学生支援機構法施行令(一部抜粋)
(平成十六年一月七日政令第二号)



最終改正:平成二五年三月二九日政令第九六号



第七条  死亡した者又は精神若しくは身体障害により労働能力を喪失した者については、その学資金の返還未済額の全部又は一部を免除することができる。

 精神又は身体の障害により労働能力に高度の制限を有する者については、その学資金の返還未済額の部の返還を免除することができる。


 機構は、前二項の規定による学資金の返還の免除につき必要な事項を定め、文部科学大臣の認可を受けなければならない。 


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独立行政法人日本学生支援機構  業務方法書(一部抜粋)


(平成16 年4月1日文部科学大臣認可)


(平成25 年3月29 日文部科学大臣変更認可)

独立行政法人日本学生支援機構
平成16年4月1日
最終変更 平成25年3月29日


(死亡又は心身障害による返還免除)


第9節 返還免除

(死亡等による返還免除)

第25条 第7条第1項の精神若しくは身体の障害とは,別表第6の第1級の項に掲げる精神又は身体の障害の状態とし,免除する額は返還未済額の全部とする。

2 令第7条第2項の精神又は身体の障害とは,別表第6の第2級の項に掲げる精神又は身体の障害の状態とし,免除する額は返還未済額の4分の3以内の額とする。

(返還免除の願い出)

第27条 令第7条による奨学金の返還免除については,要返還者,連帯保証人又は相続人が,奨学金返還免除願に所定の要件を具備していることを証する書類を添えて理事長に提出することにより願い出るものとする。

2 令第8条第1項による奨学金の返還免除については,奨学生が在学学校長の定める期日までに申請書を在学学校長に提出することにより,願い出るものとする。


別表第6 


第1級

1 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるもの
2 両眼の視力が0.02以下に減じたもの

3 片目の視力を失い,他方の目の視力が0.06以下に減じたもの

4 そしゃくの機能を失ったもの

5 言語の機能を失ったもの

6 手の指を全部失ったもの

7 常に床について複雑な看護を必要とするもの

8 前各号に掲げるもののほか,精神又は身体の障害により労働能力を喪失したもの


第2級


1 両眼の視力が0.1以下に減じたもの

2 鼓膜の大部分の欠損その他の理由により両耳の聴力が耳かくに接しなければ大声を解することができない程度以上のもの

3 そしゃく及び言語又はそしゃく若しくは言語の機能に著しく障
害を残すもの

4 せき柱の機能に著しい障害を残すもの

5 片手を腕関節以上で失ったもの

6 片足を足関節以上で失ったもの

7 片手の三大関節中の二関節又は三関節の機能を失ったもの

8 片足の三大関節中の二関節又は三関節の機能を失ったもの

9 片手の5つの指又は親指及び人差指を併せて4つの指を失ったもの

10 足の指を全部失ったもの

11 せき柱,胸かく,骨盤軟部組織の高度の障害,変形等の理由により労働能力が著しく阻害されたもの

12 半身不随により労働能力が著しく阻害されたもの

13 前各号に掲げるもののほか,精神又は身体の障害により労働能力に高度の制限を有するもの


*備考


1 各号の障害は,症状が固定し,又は回復の見込みのないものに限る。

2 視力を測定する場合においては,屈折異常のものについてはきょう正視力により,視表は,万国式試視力表による。



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○奨学規程(一部抜粋)

独立行政法人日本学生支援機構
平成16年規程第16号
最近改正 平成25年規程第10号


第5章 奨学金の返還免除


(返還免除の願い出)

第44条 令第7条の規定により奨学金の返還免除を受けようとするときは,要返還者又は相続人(第1号に該当する場合に限る。)は,連帯保証人との連署による奨学金返還免除願に,それぞれ次の各号の書類を添えて機構に提出しなければならない。

(1) 死亡によるときは戸籍抄本又は個人事項証明書等の公的な証明書

(2) 精神若しくは身体の障害によるときは次の書類

イ その事実及び程度を証する医師又は歯科医師の診断書
ロ 返還できなくなった事情を証する書類

(返還免除の決定)

第45条 前条の願い出があったときは,これを審査決定し,その結果を要返還者,連帯保証人又は相続人に通知する。



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 独立行政法人日本学生支援機構
 平成17年細則第4号 

死亡又は精神若しくは身体の障害による奨学金返還免除に関する施行細則(一部抜粋)


(返還免除の願い出)


第2条 奨学規程第44条第1号に規定する奨学金返還免除願は,死亡によるときは様式1-1(機関保証制度加入者の場合にあっては,様式1-2)と,精神又は身体の障害によるときは様式2-1(機関保証制度加入者の場合にあっては,様式2-2)とする。

2 奨学規程第44条第2号に規定する診断書は,様式3とする。
(返還免除の審査及び決定)

第3条 精神又は身体の障害による返還免除の願い出にかかる奨学規程第45条に規定する審査において,障害の程度については,提出された診断書に基づき,機構が委嘱している医師の審査を経て決定する。



(延滞額の取扱)

第5条 返還免除を願い出た返還未済額のうち,死亡又は精神若しくは身体の障害により,返還することができなくなった事由が発生したときまでに返還を延滞したは,これを免除しない。ただし,機構が真にやむを得ない事由があると認めたときは,延滞金も含めこれを免除することができる

2 延滞額は,本人と奨学金貸与契約を締結したときの最長返還期間による年賦額を基準として計算する。