2010年1月31日日曜日

法定相続分による相続登記3

①法定相続分による相続登記の



被相続人の家に居住していた相続人が,



この家は,おれのもの。預貯金もおれのもの。と主張するかもしれません,



他の相続人は,家はいらないけど,預貯金は分けて欲しい。と思っているとします。



(預貯金については,相続人全員の実印を押した書類がないと,



原則として金融機関は,預貯金をおろしてくれません。)





ここで,交渉をすすめるため,家の名義を法定相続分により変更するのです。



自分の住んでいる家が,他の相続人名義にもなっていると,



通常は,いやな気分になります。



そこで,居住者の単独所有に名義変更してもいいけど,預貯金を分けろと交渉するのです。





②法定相続分による相続登記の



法定相続分による相続登記と遺産分割協議による登記の2回の登記が必要になります。



その結果,登録免許税として固定資産評価額の0.4%×移転する持分が,余分に必要になります。



司法書士に依頼する場合,2回の登記になるので,余分な報酬が必要になります。



(遺産分割協議において,登記費用の負担を決めておく方が,よいかもしれません。)



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2010年1月29日金曜日

法定相続分による相続登記2

法定相続分による相続登記をすると,



(例)被相続人に,配偶者A,子どもBCの場合,





登記簿には,



共有者 持分 4分の2  A



     持分 4分の1  B



     持分 4分の1  C



と表示されます。



その後,遺産分割協議が成立し,



Aが単独の所有者になる場合,



年月日遺産分割協議を登記原因として



BとCの持分移転の登記をします。



この登記の結果,Aの持分が4分の4になり,単独所有者を示すことになります。





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2010年1月27日水曜日

法定相続分による相続登記

相続登記(相続による不動産の名義変更)は,

遺産分割協議によって所有者を決定した後にすることが多いかと思います。

しかし,遺産分割協議が整わない場合でも,

相続登記が可能です。

これを「法定相続分による相続登記」といいます。

法定相続人の1人から,保存行為として,

法定相続分にしたがった持分による相続登記が可能です。

登記簿上に,「相続が発生しました。」ということを示すことは,

第三者に不利益をもたらすものではないですし,

法定相続分による持分のよる登記(名義変更)は,

相続人に不利益をもたらすものでもないからです。


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2010年1月25日月曜日

遺留分減殺請求2

被相続人が遺言を残していたが,



その遺言で不利益を受ける相続人(遺言で遺留分未満の相続分が指定されていた場合)が,



その遺言は,無効であると思い,



遺留分減殺請求をしないことがあります。



(遺留分減殺請求をすると,その遺言を認めたことになるから。)



しかし,結果として,遺言の無効が認められなかったとき,



(裁判をしようと思ったが,弁護士費用などの関係からあきらめた場合も含む。)





すでに,1年の遺留分減殺請求の時効期間が経過していることがあります。





最高裁判所の判例によると,



遺言無効の主張の中には,



遺留分減殺請求の主張は含まれていない。



と解されているので,



遺言無効の主張とは別に,遺留分減殺請求の主張をしておく必要があります。



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事件名 所有権移転登記等抹消登記手続

裁判年月日 昭和57年11月12日 最高裁判所第二小法廷判決第36巻11号2193頁


判示事項


一 民法一〇四二条にいう減殺すべき贈与があつたことを知つた時の意義二 遺留分権利者が減殺すべき贈与の無効を訴訟上主張しているときと減殺すべき贈与があつたことを知つたと推認される場合


裁判要旨


一 民法一〇四二条にいう減殺すべき贈与があつたことを知つた時とは、贈与の事実及びこれが減殺できるものであることを知つた時をいう。

二 遺留分権利者が、減殺すべき贈与の無効を訴訟上主張していても、被相続人の財産のほとんど全部が贈与されたことを認識していたときは、その無効を信じていたため遺留分減殺請求権を行使しなかつたことにもつともと認められる特段の事情のない限り、右贈与が減殺することができるものであることを知つていたと推認するのが相当である。



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(減殺請求権の期間の制限)
民法 第千四十二条  
 減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。


最高裁判所HPhttp://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=26255&hanreiKbn=01


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2010年1月24日日曜日

遺留分減殺請求

遺留分減殺請求の注意点



遺留分減殺請求権の行使には,時間的な制限があります。



下記のどちらかに該当すると,遺留分減殺請求権を失います。



①遺留分権利者が,相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年を経過したとき



②たとえ,遺留分権利者が,相続開始を知らなかったとしても,相続開始の時から十年を経過したとき





通常は,①が適用されるでしょうから,

なるべく早く,遺留分減殺請求権を行使しましょう。

なお,遺留分減殺請求権を行使する相手方は,

A:他の相続人

B:相続人以外の第三者(生前贈与をもらってる,遺言書で財産をもらっている場合)


になります。

通常は,Aでしょう。

しかし,被相続人に愛人などがいた場合は,Bもあります。




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(減殺請求権の期間の制限)

民法
第千四十二条  

 減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

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2010年1月22日金曜日

相続回復請求権2

相続回復請求権に関する最高裁判所の判例です。


事件番号 平成7(オ)2468
事件名  不当利得金請求事件
裁判年月日  平成11年07月19日最高裁判所第一小法廷判決第53巻6号1138頁

判示事項
 
 共同相続人相互の間で一部の者が他の者を共同相続人でないものとしてその相続権を侵害している場合に相続回復請求権の消滅時効を援用しようとする者が立証すべき事項

裁判要旨

 共同相続人相互の間で一部の者が他の者を共同相続人でないものとしてその相続権を侵害している場合において、

 相続回復請求権の消滅時効を援用しようとする者は、

 真正共同相続人の相続権を侵害している共同相続人が、
 
 当該相続権侵害の開始時点において、

 他に共同相続人がいることを知らず、かつ、これを知らなかったことに合理的な事由があったことを立証すべきである。

最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=25384&hanreiKbn=01


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2010年1月20日水曜日

相続回復請求権

相続回復請求権とは,

真正相続人(本物)が,

表見相続人(偽物,ただし,真正相続人でも自己の相続分を超えて侵害した者も含む。)に,

相続権を侵害された場合,

相続回復請求権という権利の基づいて。

相続権の回復を図ることができます。

ただし,時効期間の定めがあるので,注意してください。


*なお,共同相続人のうち,

相続人Aが,自己の相続分を超えて,

他の相続人Bの相続分を侵害した場合,

相続権の侵害について,Aに合理的な事由がない限り,

Bの相続回復請求に対し,

Aは,相続回復請求権の時効を援用するができません。

(要約すると,共同相続人の間では,相続権を侵害した相続人は,相続回復請求権の時効を援用して,他の相続人からの相続回復請求を拒むことは,かなり難しいということです。)


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(相続回復請求権)
民法
第八百八十四条  
 相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から二十年を経過したときも、同様とする。

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2010年1月16日土曜日

遺言と遺産分割協議

相続人に行方不明の人がいると,

そのままでは,遺産分割協議ができません。

(遺産分割協議は,相続人全員が参加する必要があります。)

その場合は,行方不明の相続人の代理人として

家庭裁判所で不在者財産管理人を選任してもらうことになります。

遺産分割に時間もかかるし,費用もかかることになります。

相続人に行方不明者がいた場合は,

遺言書を作成しておくべきです。

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2010年1月11日月曜日

遺言書作成後

遺言書作成後,

判断能力の衰えに基づき,

家庭裁判所への申立てにより,

成年後見の開始決定がされる場合があります。

財産管理権が後見人に移転する結果,

遺言書の内容を知らない後見人は,

遺言書の内容とは無関係に財産を消費していくことになります。

つまり,遺言書の内容の財産が,

相続開始時には,存在しない場合があります。

遺言者の希望が実現できないことになります。

この問題の対処法としては,

①近親者に,あらかじめ消費していく財産の順番を伝えておく,

②同一の専門家に遺言書作成と後見人の就任を依頼しておく,

等の方法が考えられます。
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2010年1月10日日曜日

遺言の内容

遺言の内容になっている財産を,

遺言書作成後,日常生活費などのために消費してしまうことがあります。

遺言書作成時は,各相続人に対する適度な配分になっていても,

その後,消費することで,

相続開始時には,偏った配分になってしまうことがあります。

したがって,日常生活費に使う預金については,

遺言の主たる内容から外すようにしましょう。

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2010年1月9日土曜日

自筆証書遺言と相続登記

自筆証書遺言は,

遺言者死亡後,

家庭裁判所に検認を請求しなければなりません。

検認期日において,

ある相続人が,遺言書の無効を主張し

家庭裁判所の審問調書に,その旨の記載があるときは

その遺言書の記載内容の相続登記(不動産の名義変更)をすることができません

ただし,

遺言書の無効を主張した相続人作成の

「相続登記の申請に異議がない旨の証明書」(その相続人の印鑑証明書も添付)を

相続登記の申請書に添付した場合は,

相続登記が可能になります。

なお,上記証明書を作成してもらえない場合は,

裁判所に訴訟を提起することになります。

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2010年1月6日水曜日

検認の効力

自筆証書遺言は,

遺言者の死亡後,

家庭裁判所に対し,検認の請求を行わなければなりません。

検認は,

裁判所が,

遺言書の実体上の効果(有効・無効)や内容を判断するものではなく

遺言書の現状を確認する,

証拠を保全する,

相続人などの利害関係人に遺言書の存在を周知するためのものです。

したがって,検認を得た遺言書が,

後の訴訟で,無効との判断をされることがあります。

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