2009年12月29日火曜日

贈与税

税務署との関係上,

金銭の授受があった場合,

贈与税が,課税される恐れがあります。

金銭の授受の原因が,

贈与ではなく,

消費貸借(もらったのではなく,返す必要がある)の場合

①金銭消費貸借の契約書を作成すること

②返済を証するため,銀行振り込みで,毎月(定期的に)返済すること

が,必要です。


ところで,金銭授受の相手方が,

被相続人と相続人の関係の場合,

相続発生後に,

他の相続人から,

クレームがつくかもしれませんので,

金銭の授受の原因が,贈与なのか,消費貸借なのか(その他の原因なのか),

契約書を作成して,

原因を明示してあれば,無用な紛争を避けることができます。

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2009年12月28日月曜日

財産の管理

自分の財産について,


現在,他人がその財産を管理(所持)している場合があります。




他人が,財産を管理(所持)している場合として,



①自分の現金を他人に預けている場合,


②自分の預金通帳および印鑑を他人に預けている場合(預金口座の名義人は自分),


③自分の現金を元手にして,自分で他人名義の預金口座を開設し,自分で預金通帳および印鑑を所持している場合(現在では,本人確認が厳しいのでほぼ不可能ですし,原則として犯罪になります。),


④自分の現金を元手にして,自分で他人名義の預金口座を開設し,他人に預金通帳および印鑑を預けている場合(現在では,本人確認が厳しいのでほぼ不可能ですし,原則として犯罪になります。),


⑤自分の現金を他人に渡して,他人が他人名義の預金口座を開設し,他人が預金通帳および印鑑を所持している場合,


など,いろんなケースがあります。


重要なのは,法律上の問題はさておき,


管理(所持)している人の方が,事実上は強いと言うことです。



管理者(所持者)によって,その財産が費消されてしまい,

費消した者に返済能力がなければ,

お金は戻ってこないので,

他人(親族も含む)に財産を預けるときは,熟考してください。


預けた当時,財産があっても,


返済を求めたときに,

財産がなければ,どうしようもありません。


*なお,司法書士は,賠償責任保険に(強制)加入しています。

当職は,さらに任意賠償責任保険に加入しています。










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2009年12月27日日曜日

遺族年金の失権

遺族年金(遺族基礎年金,遺族厚生年金,遺族共済年金)は,

受給権者である(元)妻が,

再婚した場合,受給権を失権します。

つまり,遺族年金がもらえなくなります。


*受給権の失権事由は,ほかにもあります。

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2009年12月26日土曜日

遺留分減殺請求に対する価額弁償

相続人(兄弟姉妹を除く)は,


相続財産に対する最低の取り分として,


遺留分をもっています。

これに対し,遺留分減殺請求を受けた相続人は,

価額の弁償(現金の弁償)をすることで,

目的物に対する遺留分権利者の権利を排除できます。



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(例)相続人は,被相続人の子どもであるAとB。



相続財産は,甲不動産のみ。



遺言で,Aが甲不動産を相続した。



Bの遺留分は4分の1。

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遺留分を有する相続人Bは,



相続人Aに対する遺留分減殺請求により,



甲不動産に対し,4分の1の権利を取得します。



しかし,遺留分減殺請求をされた甲不動産の権利者Aは,



甲不動産の4分の1の価額を弁償(現金で弁償)することにより,



相続人Bの甲不動産に対する権利を排除することができます。





*問題点は,甲不動産の価額の評価で,AとBで揉めることがあることです。



決着がつかない場合は,裁判所で判断してもらいます。



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(遺留分権利者に対する価額による弁償)

民法
第千四十一条  

 受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる。
 前項の規定は、前条第一項ただし書の場合について準用する。



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2009年12月25日金曜日

推定相続人の権利

最高裁判所は,

推定相続人(相続開始前において,もし相続が発生したら相続人になる人)は,

相続が開始していない以上,現時点では,

将来の相続財産に対し,

なんら権利を持っていないと判断しています。

つまり,本人(被相続人)が生きている間は,

本人が,正常な判断能力を有している限り,

本人の財産処分行為に対し,

推定相続人は,なんら制止することができません。

もし,本人の判断能力に問題がある場合は,

成年後見制度を利用することで,

不適切な財産処分行為を止めることができます。

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事件番号
昭和27(オ)683
事件名
売買無効確認並びに所有権取得登記抹消手続請求
裁判年月日
昭和30年12月26日
法廷名
最高裁判所第三小法廷
裁判種別
判決
結果
判例集巻・号・頁
第9巻14号2082頁


【判示事項】

一 推定相続人は被相続人がなした仮装売買について無効確認を求め得るか。

二 推定相続人は被相続人の権利を代位行使し得るか。

【裁判要旨】

一 たとえ被相続人が所有財産を他に仮装売買したとしても、単にその推定相続人であるというだけでは、右売買の無効(売買契約より生じた法律関係の不存在)の確認を求めることはできない。

二 単に推定相続人であるというだけでは、被相続人の権利を代位行使することはできない。

最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=30331&hanreiKbn=01

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2009年12月22日火曜日

相続に関する本の紹介2

相続に関する本を紹介します。

紹介する本は,わたしが購入済みの本です。

<日本法令>

『わかりやすい相続登記の手続』

定価 2200円+税

平成19年5月20日 初版発行

リンク先は,「楽天ブックス」です。
わかりやすい相続登記の手続

相続登記は誰でもできるか/相続法の基礎知識/相続の承認と放棄/戸籍の見方/登記手続きの基礎知識/相続登記の前に/遺産分割による相続登記/遺言による相続登記/法定相続による相続登記/遺贈、死因贈与による登記/建物の表題登記(相続人が申請する場合)/建物の保存登記(相続人が申請する場合)/抵当権の抹消と相続/相続人の不存在と登記


通常の相続登記なら,この本で対応できると思います。


ただ,専門家として,アドバイスしますと,

①相続に際し,専門家に相談することで,

より適切な方法を選択することができる(かもしれない)。

*相続放棄を選択すべき場合もあります。


②相続登記は,印鑑証明書が必要なります。

しかし,相続人Aは,印鑑証明書の悪用をおそれて,

不動産を相続する相続人Bに印鑑証明書を渡したくない場合があります。

そういうときは,

利害関係のない第三者であり,

専門家である司法書士に相続登記を依頼すると,

司法書士が責任を持って相続登記を完了します。

万が一の場合は,その司法書士が責任を取ってくれます。


相続に限りませんが,

書類に実印を押印する前に,相談してください。
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2009年12月20日日曜日

相続に関する本の紹介

相続に関する本を紹介します。

紹介する本は,わたしが購入済みの本です。

<青林書院>

『遺産分割・遺言の法律相談改訂版』 青林法律相談 

2004年12月20日初版第1刷発行

定価 3800円+税金
リンク先は「楽天ブックス」です。
遺産分割・遺言の法律相談改訂版

第1編 遺産分割(相続の開始/相続人の範囲・相続分 ほか)/第2編 遺言(遺言の方式/遺言の効力 ほか)/第3編 相続と税金(贈与税と相続税/相続税の申告と納付 ほか)/第4編 その他の問題(相続と登記/渉外相続・遺言)


Q&A方式になっています。

相続に関する主要な疑問は,解決できると思います。

ただし,どちらかというと,専門家向けの本ですので,

細かいことも書いてありますし,

法律用語が頻繁に出てくるので,

一般の方の場合,難しいかもしれません。

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2009年12月15日火曜日

遺産分割手続の流れ

遺産分割手続の流れは,下記のとおりです。

名古屋家庭裁判所HP 遺産分割手続の流れ
http://www.courts.go.jp/nagoya/saiban/tetuzuki/syosiki/pdf/kasai11_01_kaji_isanbunkat.pdf

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2009年12月14日月曜日

農地の相続

平成21年12月15日施行の改正農地法により,

農地の所有者に相続が発生した場合,

農地の相続人は

農地の権利を取得したことを知ったときから,

おおむね10ヵ月以内に

農業委員会に届け出ることが必要になります。

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農地法第3条の3第1項の規定による届出書

農林水産省HP
http://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/kaikaku/pdf/youryou_2.pdf
PDFの36枚目
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2009年12月13日日曜日

遺産分割と詐害行為

遺産分割協議は、詐害行為取消権の対象になります。



(例)

相続人Aは,連帯保証債務を負っており,


債権者から借金の返済を要求されました。


相続人Aは,このままでは,現在居住している建物(相続財産)が,


債権者に差し押さえられてしまうと思い,


事情を知っている相続人BとCとの間で


当該建物につき,


相続人Aは,相続分なし,


相続人BとCが各相続分2分の1,


という遺産分割協議をしました。


その後,相続人Aは,自己破産しました。



上記の場合,債権者は,


当該遺産分割協議は,


債権者を害する行為(詐害行為)であるとして,


取り消すことができます。



実務上,詐害行為取消権は要件が複雑です。


債務者の行為が,明白に債権者を害する場合はともかく,


現実には,むしろグレーゾーンの場合が多く,


なかなか,判断が難しいようです。


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民法

(詐害行為取消権)
第四百二十四条  

 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。
 前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない。

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最高裁判所HP 平成11年06月11日 最高裁判所第二小法廷判決

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=25388&hanreiKbn=01


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2009年12月12日土曜日

相続税の連帯納付義務

相続税が発生する場合,

相続人は,自己の相続税だけでなく,

他の相続人の相続税についても,連帯納付義務を負っています。

相続人は互いに,

相続によって,受けた利益を限度として,

相続税を連帯して納付しなければなりません。


なお,相続人Aの相続税を,

相続人Bが,

相続人Aに代わって,立て替えて納税した場合,

原則として贈与税が課税されます。

ただし,相続税の立て替え納税時に,

相続人Aが資力を喪失していて,

相続税の納税が困難だった場合は,

贈与税は課税されません。


*詳しいことは,税務署,税理士に尋ねてください。

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相続税法
(連帯納付の義務)

第三十四条  
 同一の被相続人から相続又は遺贈(第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産に係る贈与を含む。以下この項及び次項において同じ。)により財産を取得したすべての者は、その相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税について、当該相続又は遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を限度として、互いに連帯納付の責めに任ずる。

 同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者は、当該被相続人に係る相続税又は贈与税について、その相続又は遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を限度として、互いに連帯納付の責めに任ずる。

 相続税又は贈与税の課税価格計算の基礎となつた財産につき贈与、遺贈若しくは寄附行為による移転があつた場合においては、当該贈与若しくは遺贈により財産を取得した者又は当該寄附行為により設立された法人は、当該贈与、遺贈若しくは寄附行為をした者の当該財産を課税価格計算の基礎に算入した相続税額に当該財産の価額が当該相続税の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合を乗じて算出した金額に相当する相続税又は当該財産を課税価格計算の基礎に算入した年分の贈与税額に当該財産の価額が当該贈与税の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合を乗じて算出した金額に相当する贈与税について、その受けた利益の価額に相当する金額を限度として、連帯納付の責めに任ずる。

 財産を贈与した者は、当該贈与により財産を取得した者の当該財産を取得した年分の贈与税額に当該財産の価額が当該贈与税の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合を乗じて算出した金額として政令で定める金額に相当する贈与税について、当該財産の価額に相当する金額を限度として、連帯納付の責めに任ずる。

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2009年12月11日金曜日

遺産分割と第二次納税義務

遺産分割の当事者である,相続人Aが国税を滞納していた場合で,

相続人Aの相続分が,

本来の相続分よりも少なくなるような遺産分割をし,

滞納していない相続人Bの相続分が増えたとき,

相続人Bは,相続分が増えた部分を限度に

相続人Aに代わって,

相続人Aが滞納している国税を支払わなければなりません。

(この場合の相続人Bの納税義務を第二次納税義務といいます。)

ーーーーーーーーー
平成21年12月10日最高裁判所第一小法廷判決(裁判要旨)によると,

「1 国税の滞納者を含む共同相続人の間で成立した遺産分割協議は,

滞納者である相続人にその相続分に満たない財産を取得させ,

他の相続人にその相続分を超える財産を取得させるものであるときは,

国税徴収法39条にいう第三者に利益を与える処分に当たり得る。

 2 滞納者に詐害の意思のあることは,

国税徴収法39条所定の第二次納税義務の成立要件ではない。」

ーーーーーーーーーー

遺産分割によって相続分を取得しても,

国に国税として徴収されてしまうから,

それなら,他の相続人に相続分を多く取得させようと考える人がでてきます。

しかし,そんな遺産分割をしても,国には通用しません,というのが,

この判決の主旨です。

ーーーーーーーーーーーーーーーー
国税徴収法
(無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務)
第三十九条  
滞納者の国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合において、その不足すると認められることが、当該国税の法定納期限の一年前の日以後に、滞納者がその財産につき行つた政令で定める無償又は著しく低い額の対価による譲渡(担保の目的でする譲渡を除く。)、債務の免除その他第三者に利益を与える処分に基因すると認められるときは、これらの処分により権利を取得し、又は義務を免かれた者は、これらの処分により受けた利益が現に存する限度(これらの者がその処分の時にその滞納者の親族その他の特殊関係者であるときは、これらの処分により受けた利益の限度)において、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。

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平成21年12月10日最高裁判所第一小法廷判決

最高裁HPhttp://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=38248&hanreiKbn=01

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2009年12月9日水曜日

遺言による保険金受取人の変更

◇ メール相談を承ります:相談料5250円(前払い):3回まで回答いたします。相談内容を下記のメールアドレスまで送信ください。 soudann@ishihara-shihou-gyosei.com 

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保険法(平成22年4月1日施行)により,

遺言によって,

保険金受取人の変更をすることが,できるということが,明文化されました。

(保険法の制定前においても,

実務上は,遺言により,保険金の受取人の変更は可能と解されていました。)


*ただし,遺言による保険金受取人の変更は、

その遺言が効力を生じた(通常は,遺言者の死亡時)後、

保険契約者の相続人(通常は,遺言者の相続人)が,

その旨を保険者(保険会社)に通知しなければ、

これをもって保険者(保険会社)に対抗することができません。

=保険会社は,遺言による保険金受取人の変更を知りません。

遺言によって,受取人が変更されたことを

保険会社に通知しないと,

変更前の受取人が,保険会社に対して請求することによって,

保険会社は,変更前の受取人に保険金を支払ってしまいます。

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保険法

(遺言による保険金受取人の変更)=生命保険
第四十四条  保険金受取人の変更は、遺言によっても、することができる。
2  遺言による保険金受取人の変更は、その遺言が効力を生じた後、保険契約者の相続人がその旨を保険者に通知しなければ、これをもって保険者に対抗することができない。

(遺言による保険金受取人の変更)=傷害疾病定額保険
第七十三条  保険金受取人の変更は、遺言によっても、することができる。
2  遺言による保険金受取人の変更は、その遺言が効力を生じた後、保険契約者の相続人がその旨を保険者に通知しなければ、これをもって保険者に対抗することができない。

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2009年12月7日月曜日

NTTの電話加入権の相続

NTTの電話加入権の相続手続きは,

下記のとおりです。

NTT東日本のHP
http://web116.jp/cgi-bin/shop/faq/qaview.cgi?q_code=0081&cat_id=DW07

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2009年12月2日水曜日

法人役員の相続

法人(株式会社,有限会社,宗教法人,学校法人,医療法人,社会福祉法人など)

の役員(代表取締役,取締役,監査役,理事,監事など)に

相続が発生した場合,

死亡による退任の登記を申請しなければなりません。

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2009年11月30日月曜日

自営業者の相続






営業につき,許可(登録)を要する自営業者に相続があった場合で,

相続人が,営業を継続するときは

許可(登録)営業者の地位の承継を届け出なければなりません。


*下記は,許可(登録)を要する営業の例示です。

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<札幌市 保健所 HP>

A:承継の届出(相続)(食品の製造販売行商等衛生条例の許可・登録営業者)概要説明  
食品の製造販売行商等衛生条例による許可・登録営業者の地位を相続により承継した方が提出していただくものです。

B:承継の届出(相続)(食品衛生法の許可営業者)概要説明  
食品衛生法による許可営業者の地位を相続により承継した方が提出していただくものです。

C:クリーニング所承継(相続)
クリーニング所の営業者が亡くなられて、その相続人がクリーニング所を引き継ぐ場合。 このような場合は,すみやかに保健所に相談してください。

D:美容所承継(相続)
美容所の開設者が亡くなられて,その相続人が美容所を引き継ぐ場合。 このような場合は,すみやかに保健所に相談してください。

E:理容所承継(相続)
理容所の開設者が亡くなられて,その相続人が理容所を引き継ぐ場合。 このような場合は,すみやかに保健所に相談してください。


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2009年11月26日木曜日

自動車の相続

自動車の相続による名義変更手続きは,

普通自動車と軽自動車で,

担当部署が異なります。

①普通自動車

北海道運輸局HP

http://wwwtb.mlit.go.jp/hokkaido/touroku/08_etc/07_souzoku/souzoku2.html
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②軽自動車

軽自動車検査協会HP

札幌主管事務所 http://www.keikenkyo.or.jp/about_lmvio/jimusho/001.html

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2009年11月23日月曜日

公正証書遺言の検索

昭和64年1月1日以降に,作成された公正証書遺言は,

遺言検索システムにより,どこの公証役場で作成していても,

お近くの公証役場で,検索することができます。

ただし,検索で知ることができる情報は,

どこの公証役場で遺言書を保管しているかの情報のみです。

遺言内容を知るには,

さらに保管している公証役場に

遺言書の謄本(コピー)を請求することになります。


*なお,遺言者の生存中は,

遺言者本人のみが,
遺言書の謄本の請求ができます。

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2009年11月20日金曜日

未支給の年金

下記の記載は,国民年金および厚生年金の場合です(共済年金は,取扱いが異なる場合があります。)。



年金は死亡した月の分まで支払われます。

死亡した方に支払われるはずであった年金が,

支給されずに残っていた場合,

遺族の方にその分の年金(未支給年金)が支払われます。


ただし,未支給年金を請求できる遺族とは,

民法の相続人とは異なり,

国民年金法・厚生年金法により独自に定めてあります。

したがって,相続財産には含まれず(旧船員保険の未支給保険給付を除いて,遺言で未支給年金の受給者を指定することはできません。),

その遺族の独自の権利として取得をします。


遺族とは,

年金を受けていた方の死亡当時、

その方と生計を同じくしていた

配偶者、子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹です。


さらに,遺族には,請求できる順位があります。

その順位は,

生計を同じくしていた

一位:配偶者 二位:子 三位:父母 

四位:孫 五位:祖父母 六位:兄弟姉妹

になっています。

*平成26年4月1日以後の受給権者の死亡から甥・姪、子の配偶者、叔父・叔母、曾孫、曾祖父母,甥・姪の配偶者、おじ・おばの配偶者、配偶者の曾祖父母,配偶者の甥・姪、配偶者のおじ・おば、などの3親等内の親族も未支給年金の請求することができるようになります。


同居し,世帯を同じくしている者は,


生計同一要件を満たしているとして取り扱われます。


ただし,住民票上の世帯を異にし,かつ,起居を共にしていない別居中の者は,


当該遺族が,配偶者又は未成年の子の場合で,


当該別居が,就学,病気などやむを得ない事由によるものであり,


①生活費,療養費などの経済的な援助があり,


かつ,


②定期的に音信,訪問がおこなわれている場合は,


例外的に生計同一要件を満たしているものとして取り扱われます。


したがって,


当該遺族が,配偶者又は未成年の子以外の場合で,


住民票上の世帯を異にし,かつ,起居を共にしていない別居中の者は,


その生活費,療養費などの生活の基本的部分に要する費用が,


いずれか一方によって賄われているという特段の事情があった場合のみ,


生計同一要件を満たしているものとして取り扱われます。


なお,特段の事情の立証責任は,特段の事情を主張するものにあります。



^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

①生計同一要件を満たしていなければ,葬式費用の負担者であったとしても,未支給年金は請求できません。


②義父又は義母が死亡の場合,婿又は嫁は未支給年金を請求できません。


③おじ又はおばが死亡の場合,おい又はめいは未支給年金を請求できません。

*平成26年4月1日以後の受給権者の死亡から甥・姪、子の配偶者、叔父・叔母、曾孫、曾祖父母などの3親等内の親族も未支給年金の請求することができるようになります。

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国民年金法

(未支給年金)
第十九条  年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。
 前項の場合において、死亡した者が遺族基礎年金の受給権者であつたときは、その者の死亡の当時当該遺族基礎年金の支給の要件となり、又はその額の加算の対象となつていた被保険者又は被保険者であつた者の子は、同項に規定する子とみなす。
 第一項の場合において、死亡した受給権者が死亡前にその年金を請求していなかつたときは、同項に規定する者は、自己の名で、その年金を請求することができる。
 未支給の年金を受けるべき者の順位は、第一項に規定する順序による。
 未支給の年金を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その一人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

厚生年金保険法

(未支給の保険給付)
第三十七条  保険給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。
 前項の場合において、死亡した者が遺族厚生年金の受給権者である妻であつたときは、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた被保険者又は被保険者であつた者の子であつて、その者の死亡によつて遺族厚生年金の支給の停止が解除されたものは、同項に規定する子とみなす。
 第一項の場合において、死亡した受給権者が死亡前にその保険給付を請求していなかつたときは、同項に規定する者は、自己の名で、その保険給付を請求することができる。
 未支給の保険給付を受けるべき者の順位は、第一項に規定する順序による。
 未支給の保険給付を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その一人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。


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2009年11月16日月曜日

遺言の内容

遺言の内容として,

遺言者が,

〇〇さんの連帯債務者(連帯保証人)になっていることは,

記載すべきです。

(遺言者が,うっかり忘れていることもありますが・・・)

相続から数年後になってから,大騒動になるかもしれません。


特に,相続人の連帯債務者(連帯保証人)になっていた場合,

 (相続人の住宅ローンの連帯債務者・連帯保証人になっている可能性があります。

   また,相続人が商売をしている場合,なっている可能性があります。)

財産はもちろん,感情的な問題も生じ,大変なことになります。


支払いが,滞ったという最悪の時に,判明しますので,

遺言書に記すなどして,連帯債務者(連帯保証人)になっていることは,明らかにしましょう。

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2009年11月13日金曜日

身元保証人の相続

被相続人が,身元保証人になっていた場合。


身元保証人とは,

ある人が就職する場合において,

その人の身元を保証するための保証人です。

身元保証は,対人関係の信頼を基礎としていますので,

相続人は,基本となる身元保証人としての地位を相続しません。


しかし,被相続人の生前において,

既に発生していた,身元保証人としての債務は相続します。


(例)

身元保証の対象であった人が,会社の金を横領した場合につき,

①横領が,身元保証人の相続発生の時は,

相続人は,その横領に対する損害を賠償しなければなりません。


*ただし、会社の管理監督に過失があった場合、

身元保証人の損害賠償は、軽減されます。



②横領が,身元保証人の相続発生の時は,

相続人は,その横領に対する損害を賠償する必要はありません。

身元保証人たる地位は,相続していないからです。


なお、身元保証契約の契約期間は、3年から5年です。

なお、契約の更新もできますが、最長でも5年ごとの更新契約が必要です。

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2009年11月11日水曜日

住宅ローンの団体信用生命保険

被相続人が,住宅ローンの債務者になっていた場合,

団体信用生命保険に加入していれば,

保険金により,住宅ローンの残債務が,全額返済されることがあります。


ただし,返済されない場合として,

①そもそも,保険に加入していなかった(通常は,加入しています)。

②死亡時年齢が,保険の保障期間を超過していた。

③保険料が未払いだった。

④保険の申込書に,事実を記載しなかった,または,虚偽の記載をしたため,保険契約を解除された。

など,があります。


*保険金請求権の消滅時効は,死亡時から,3年です。

3年を経過すると,保険金が支払われないことがあるので,

保険金の請求手続きは,早めにしてください。



*なお,死亡だけでなく,高度障害状態,3大疾病(がん,急性心筋梗塞,脳卒中)の場合でも,

保険金が支払われることがあります。


住宅金融支援機構(旧 住宅金融公庫)の団体信用生命保険については,

住宅金融支援機構のHPhttp://www.jhf.go.jp/customer/yushi/danshin/index.html

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2009年11月7日土曜日

遺産分割協議書

遺産分割協議において,書類に実印を押印するときは注意しましょう。


とりまとめ役の相続人から,

①口頭で,財産配分は〇〇にする,と言われ

相続の書類に,実印を押印したところ,

実は,その書類には,とりまとめ役の相続人が全部取得する内容になっていた。


②金融機関との手続き上,

書類の上では,とりまとめ役の相続人が全部取得することにしておくが,

あとで,配分するからといわれたが,未だに配分されない。


という,トラブルはよくあります。


①については,書類を熟読した上で,押印しましょう。

②については,金融機関は,

実務上,特定の相続人に全額を振り込み,あとは,相続人の間で,配分してください。

という対応をすることが多いです。

したがって,金融機関へ提出する書類とは別に,遺産分割協議書を作成し,

遺産の配分をしっかり,記載しておきましょう。


*なお,とりまとめ役の相続人から,

書類に押印してないのは,おまえだけだ。他の相続人は押印している。

といわれても,納得できなければ,押印してはいけません。


トラブルになってから,専門家に相談に行くのではなく,

トラブルになる前に,相談に行ってください。

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2009年11月5日木曜日

負担付贈与




贈与は,

①贈与契約書を作った場合は,

 贈与者が一方的に撤回することはできません。

 撤回するには,受贈者の同意が必要になります。


②贈与契約書を作らなくても,

 贈与を実行(名義変更,金銭の交付など)してしまえば,

 贈与者が一方的に撤回することはできません。


扶養や介護をしてくれた(将来の扶養や介護に期待して)

近親者に財産を贈与することが,よくあります。

しかし,贈与後,

手のひらを返して贈与者の期待を裏切ることも,しばしばあります。


その場合に対処するため,「負担付贈与」という特殊な贈与があります。

扶養や介護をしてくれることを負担(条件)として,

贈与するのです。

もし,扶養や介護をしてくれない場合は,贈与契約を解除できます。


当事者だけでなく,他の相続人に対しても,

この贈与は,扶養や介護に対する対価であることを示すために,

負担付贈与の契約書を作成した上で,

贈与を実行するのが望ましいでしょう。

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(書面によらない贈与の撤回)
民法第五百五十条  
 書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。

(負担付贈与)
第五百五十三条  
 負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。

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2009年11月2日月曜日

家庭裁判所の申立先

遺産分割の協議が成立せず,裁判所に申立てをする場合,


1 調停の場合は,相手方の住所地又は当事者が合意で定めた家庭裁判所

2 審判の場合は,被相続人の住所地又は相続開始地の家庭裁判所

が申立先になります。

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2009年11月1日日曜日

遺族給付と相続放棄

遺族給付の受給権は,被相続人の死亡を原因として発生しますが,

法律の規定に基づいて,遺族に給付されるので,

相続放棄をしたとしても,遺族は受給することができます

(例)

遺族基礎年金 (国民年金法),遺族厚生年金 (厚生年金保険法)

遺族補償給付(労働者災害補償保険法)

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2009年10月31日土曜日

相続人が承継する権利義務

相続人が,相続放棄や限定承認をしない場合は,

相続人は,被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(ただし,一身専属権を除く。)。


つまり,不動産の売主(買主)といった地位も承継します。


(例) 生前,乙が,被相続人の甲からA不動産を買ったが,

  まだ名義変更をしていなかった場合,

  乙は,甲の相続人に対し,A不動産は,私が買ったから名義変更してくれ,と主張できます。

 
*ただし,甲の相続人が,第三者にA不動産を売却し,第三者名義に変更されてしまうと,

 乙は,A不動産の所有権を主張できなくなります。

 乙は,甲の相続人に損害賠償を請求することはできます。

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2009年10月30日金曜日

株式の相続

「株式」が,相続財産に含まれていた場合で,

その株式について,遺言がないときは,

株式は,相続人全員による共有状態になります。

(つまり,各相続人は,それぞれ独立して,株主としての権利を行使することができません。)


各相続人が,法定相続分に基づいて相続した共有持分の過半数の決議により,

株主の権利を行使すべき者を指定します。

その結果,この指定された権利行使者のみが,株主総会で議決権を行使できます。

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2009年10月29日木曜日

遺言無効確認の訴え

遺言無効確認の訴えは,

遺言について,

他人が偽造した,と疑われる場合や

遺言作成時,判断能力がなかった,と疑われる場合

などに,その遺言は無効であるとの確認をもとめる訴訟です。


しかし,遺言者が,生存している時点では,

かりに,遺言者が,医学上,判断能力を回復しないとされるような状態でも(いわゆる植物状態),

遺言無効確認の訴えは,できない,とされています。

(最高裁判所昭和31年10月4日判決民集10巻10号1229頁)

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2009年10月28日水曜日

死後事務の委任契約

亡くなった後の,

火葬,葬儀,家財道具の処理,家屋の明渡し,公共料金の解約など,

を行ってくれる人がいない場合,

死後事務の委任契約を第三者(専門家など信頼できる人)と締結することで対処できます。

報酬もあらかじめ決定しておきます。

なお,残った遺産については,遺言により分配方法を決定しておきます。

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2009年10月27日火曜日

推定相続人の廃除

被相続人に対し,推定相続人が虐待をしたり,重大な侮辱を加えた場合や

推定相続人に著しい非行があった場合は,

被相続人は,遺言により,その推定相続人を廃除することができます。

しかし,最終的に廃除の決定をするのは家庭裁判所です。

廃除を認める決定(認めない決定)が,出るまでは時間がかかります。

その決定が出るまでは,相続人が確定しないので,

遺産分割協議もできないことになってしまいます。

したがって,廃除にこだわるよりも,

他の相続人に遺産の全部を相続させる旨の遺言をした方が良いようです。

(この場合,被相続人としては不満でしょうが,最低の相続分のとして,遺留分を与えることになります。)


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2009年10月26日月曜日

特別縁故者への財産分与

亡くなった人につき,相続人が,誰もいない場合で,

相続債権者や受遺者に対する清算手続きをした後,

なお,残余の遺産がある場合,

家庭裁判所に対して,請求することにより,残余の遺産を取得できる可能性があります。

ただし,請求者は,

亡くなった人と生計を同じくしていた者(内縁の配偶者,事実上の養子)

亡くなった人への療養看護に努めた者

など,特別な縁故者でなければなりません。


*請求期間には,制限があるので注意してください。


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(特別縁故者に対する相続財産の分与)
民法第九百五十八条の三  
 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
 前項の請求は、第九百五十八条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。

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2009年10月21日水曜日

相続人からの預金口座の取引経過の開示請求の判例(遺言無し,遺産分割前)

最高裁平成21年1月22日判決
(最高裁HPhttp://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37210&hanreiKbn=01

により,共同相続人の1人から,金融機関に対して,

預金口座の取引経過の開示請求をすることが,認められました


この判例が出るは,共同相続人の全員の同意がなければ,

金融機関は,開示に応じなかったようです。


この結果,被相続人の財産を管理していた相続人が,

被相続人の預金を不正に引き出していなかったか,

他の共同相続人が,調査できるようになりました。


ただし,上記判例は,遺言がなく,かつ,遺産分割協議をしていない事例です。

したがって,

①遺言により,預金を取得しないとされた相続人や

②遺産分割協議により預金を取得しないことになった相続人は,

金融機関に対して,預金口座の取引経過の開示請求をしても認められない可能性が高いでしょう。

なお,①遺言により,預金を取得しないとされた相続人であっても,遺留分減殺請求権を有する場合は,預金口座の取引経過の開示請求が認められる可能性があります。

遺産分割協議が成立した場合は,たとえ遺産分割により取得する相続財産が遺留分を下回っていたとしても,通常は,遺留分を放棄したと解されことになるでしょう。

遺産分割協議の成立後であっても,遺産分割協議をやり直すなどの正当な理由があれば,預金を取得しないとされた相続人であっても,預金口座の取引経過の開示請求が認められる可能性があります。

いったん遺産分割協議が成立した場合は,相続人の一人がその協議で負担した債務を履行しない場合でも,その債権を有する相続人は債務不履行に基づく解除することができません。つまり,相続人全員で遺産分割協議のやり直しを合意したなどのよほどの事情がない限り,遺産分割協議のやり直しは認められていないということです。


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2009年10月19日月曜日

遺産分割協議から漏れた財産




遺産分割協議において,協議内容に含まれていない遺産が見つかった場合,

改めて,その遺産に関する遺産分割協議をするのが原則です。

したがって,遺産分割協議の際は,遺産を網羅するようにしましょう。


*よく見つかる例として,私道(私道持分)があります。

建物と敷地以外の不動産として,前面道路が遺産に含まれていることがあります。

前面道路が,市道ならよいのですが,私道の場合,私有地ですので,所有者がいます。

この私道は,公衆用道路として固定資産税が課税されていないことが多く,

(権利書を見れば分かるのですが),納税通知書に記載されておらず,

失念していることが多いようです。


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2009年10月7日水曜日

遺産分割協議

父が亡くなった時の遺産分割協議において,〇〇だったから,

母が亡くなった,今回の遺産分割協議においては,△△にすべき,

と主張する相続人がいますが,

法律上は,父と母の相続は別々と考えますので,

前回の父の遺産分割協議の内容が,

今回の母の遺産分割協議の内容に影響するものではありません

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2009年9月30日水曜日

贈与税の配偶者控除

相続税の軽減方法の一つとして,

配偶者に対する,居住用不動産の贈与があります。

通常は,贈与税が課税されるはずですが,

婚姻期間20年以上の夫婦の間で居住用不動産の贈与が行われ、

一定の条件に当てはまる場合には贈与税の配偶者控除が受けられます。


*婚姻届出をしていない,いわゆる内縁関係では,

贈与税の配偶者控除が認められません


相続税の軽減という点からは,

この配偶者控除を使って,配偶者に対する贈与をしておいて,損はないと思います。

ただし,贈与後,夫婦の仲が悪くなって・・・という可能性がないとは言えないので,

相続税以外のことも,よく考えてください。


他の要件も含めて,詳しいことは,国税庁のHPをご覧ください。

1 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
 http://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4452.htm

2 配偶者控除の対象となる居住用不動産の範囲  http://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4455.htm

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2009年9月26日土曜日

遺産分割調停,遺産分割審判




共同相続人の間で,遺産分割協議が成立しないときは,

家庭裁判所の

遺産分割調停(裁判所の調停委員を交えた共同相続人の話し合い)または,

遺産分割審判(裁判所の一方的な決定)により,

遺産を分割することになります。


平成19年の最高裁判所の統計によると

(1)遺産分割事件の平均審理期間は,

約1年(12.6ヵ月)です。

やはり,遺産額が多い場合や,相続人の数が多い場合は,

審理期間が長くなっているようです。


(2) 67.2%は,1年以内に遺産分割事件が終了しているようです。

ただし,67.2%の中には,調停不成立,取下げなど,

遺産分割が成立せず,終了した事件も含んでいます


(3)遺産分割事件の終局区分別割合によると,

62.1%が遺産分割の調停成立(話合いで合意が成立した)で終了しています。

ただし,審理期間の内訳は,示されていません。

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【最高裁判所HP】 

裁判の迅速化に係る検証に関する検討会(第26回)

平成19年 遺産分割事件等の審理について(PDF)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(遺産の分割の協議又は審判等)
民法
第九百七条  共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。
 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。
 前項の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
家事審判法
第九条  家庭裁判所は、次に掲げる事項について審判を行う。

甲類 省略

乙類
一から九 省略

十 民法第九百七条第二項 及び第三項 の規定による遺産の分割に関する処分

家事審判法
第十一条  家庭裁判所は、何時でも、職権で第九条第一項乙類に規定する審判事件を調停に付することができる。

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2009年9月24日木曜日

遺体・遺骨の承継

被相続人の「遺体」や「遺骨」は,

相続人や喪主ではなく

祭祀承継者に帰属することになります(最高裁判所平成1年7月18日判決)。

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2009年9月19日土曜日

遺贈の無効

遺贈(遺言による贈与)が,効になる場合の一つに,

遺贈の目的である権利や財産が,遺言者の死亡時において,

相続財産に属していなかったとき,があります。

つまり,遺言者が遺贈の目的物(権利や財産)を所有しているのであれば,

所有者として,目的物の処分権限があるので,

だれに目的物を遺贈するかは,遺言者が自由に決定できます。

しかし,そもそも,遺贈の目的物を所有していない場合は,

目的物の処分権限がないので,遺言者が原則としては,

その目的物を遺贈することはできない,ということです。


*ただし,遺言者が,ぜひとも,その目的物を遺贈したいと願うのであれば,

例外的に,その遺言は有効になります。

その場合は,相続人や遺言執行者は,

その目的物を入手して,遺言内容を実現することになります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(相続財産に属しない権利の遺贈)
民法
第九百九十六条  遺贈は、その目的である権利が遺言者の死亡の時において相続財産に属しなかったときは、その効力を生じない。ただし、その権利が相続財産に属するかどうかにかかわらず、これを遺贈の目的としたものと認められるときは、この限りでない。

第九百九十七条  相続財産に属しない権利を目的とする遺贈が前条ただし書の規定により有効であるときは、遺贈義務者は、その権利を取得して受遺者に移転する義務を負う。
 前項の場合において、同項に規定する権利を取得することができないとき、又はこれを取得するについて過分の費用を要するときは、遺贈義務者は、その価額を弁償しなければならない。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

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2009年9月17日木曜日

相続登記

相続登記とは,被相続人名義の不動産を

相続人の名義に変更する手続です。

*遺産分割協議書の作成のみの場合,相続人の間では有効ですが,

第三者には,名義変更を主張できません

相続登記をすれば,第三者にも名義変更を主張できます


不動産の所有者には,固定資産税が課税されます。

相続登記をしなくても,市町村に固定資産税を納税していれば,

特に,市町村から問い合わせはありません。

(通常は,相続が発生したら,市町村に納税義務者変更(所有者変更)の届け出をします。)


つまり,相続登記をするかしないかは,原則として相続人の自由です。

*被相続人が,銀行から不動産を担保にお金を借りていた場合などは,相続登記が必要になります。


相続登記をすると,司法書士報酬と税金を含めると,最低10万円は必要になります。

*都市部は地価が高いので,税金も高くなります。固定資産税の評価額の0.4%です。


「夫婦」と「子ども1人」の家族において,夫名義の不動産について,夫の相続発生後,

①妻名義にもしないし,子ども名義にもせず,妻死亡時に相続登記することを考えている場合。

(現時点では,夫名義のまま放置状態。)

②妻名義にせず,子ども名義に変更すれば,妻名義の相続登記の費用を節約できるので,

夫から直接,子ども名義に相続登記をする場合。


<問題点>
①の場合つき,相続後,子どもが借金のため破産することになった場合,

不動産の2分の1は,子どもの財産ですので,

売却して現金化し,2分の1を裁判所に差し出すか,

売却せずに,妻が2分の1相当額を現金で裁判所に差し出すことになります。

(妻が,夫死亡後,不動産に居住し続けている場合,大変な問題になります。)


②の場合につき,相続後,「妻」と「子ども夫婦」の仲が悪くなった場合,

不動産の名義人である子どもの方が,事実上有利な立場になります。


事案によって異なりますが,が自分の立場を守ろうと思えば,

やはり,妻名義の相続登記をしておくのが無難です。

子どもが,複数いた場合は,妻(親)名義にした方が,子どもたちの間の納得も得やすいように思います。

(長男が妻(親)の世話をすることを条件に長男名義に変更したところ,

妻(親)の世話を放棄してしまった,という場合は,結構あるようです。)

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2009年9月16日水曜日

遺言内容に反する遺産分割協議

◇ メール相談を承ります:相談料5250円(前払い):3回まで回答いたします。相談内容を下記のメールアドレスまで送信ください。 soudann@ishihara-shihou-gyosei.com 

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遺言内容に反する,遺産分割協議をすることもできます

遺言で財産を多くもらえる相続人が,他の相続人との関係を考慮して,

あえて,遺言内容に反する遺産分割協議をすることがあります。

亡くなった被相続人の意思よりも,共同相続人全員の合意があるのであれば,

共同相続人の意思を尊重しよう,ということです。

このような,遺産分割協議も効です。

いったん,遺産分割協議が成立してしまうと,

遺言で財産を多くもらえたはずの相続人は,後になってから,

「やっぱり遺言内容のとおり,遺産を分配せよ。」とは,言うことができません

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2009年9月15日火曜日

限定承認

限定承認というのは,

相続財産が,プラス超過になるのか,マイナス超過になるのかを把握できない場合に行う方法です。

原則として,相続開始から3ヵ月以内に,相続人は,

①単純承認(プラスの財産もマイナス財産も承継する)

②限定承認

③相続放棄(プラスの財産もマイナス財産も承継しない)

①②③のいずれかを選択する必要があります。


仮に相続財産につき,マイナスの財産が多かった場合,

①単純承認した相続人は,

承継した相続財産では足りない,不足分を自己の財産で弁済することになります。

③相続放棄した相続人は,

マイナスの財産を承継しないので,自己の財産で弁済することはありません。

②限定承認した相続人は,

承継した相続財産では足りない,不足分を自己の財産で弁済する必要がありません。

しかも,仮に相続財産につき,プラスの財産が多かった場合は,

マイナスの財産の弁済後,余ったプラスの財産を相続できます。


*相続開始時に,相続財産の内容が確定していれば,

通常は,単純承認か相続放棄を選択します。


限定承認をするには,原則として相続開始後,3ヵ月以内に家庭裁判所に申立てる必要があります。

しかし,限定承認は,あまり利用されていません。

①相続人全員で限定承認する必要があること。

②被相続人から相続人に対し資産の譲渡があったとみなされ,譲渡所得などの課税がされること。

③マイナスの財産に対する,弁済の手続が複雑なこと

などが,理由とされています。

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(相続の承認又は放棄をすべき期間)
民法
第九百十五条  相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

(限定承認の方式)
第九百二十四条  相続人は、限定承認をしようとするときは、第九百十五条第一項の期間内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない。

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2009年9月14日月曜日

姻族関係の終了





夫婦は,死別したとしても,

亡くなった夫(妻)の親族との親戚関係は存続します。

(例)夫が,姑より先に亡くなったとしても,妻と姑の親戚関係はそのままです。

そこで,妻は,姻族関係終了の届け出を市役所に提出することで,

姑との親戚関係を断ち切ることができます。

 *この届け出は,妻の一方的意思表示ですることができます。

  (舅や姑の同意は不要です。)


そもそも,妻(夫)は,舅や姑と血族関係はありません。

離婚すれば,夫(妻)はもちろん,舅や姑とも親戚関係が消滅します。

しかし,法律上,死後離婚は認められていないので,

生存している妻(夫)は,姻族関係終了の届け出をすることで,

夫(妻)の親族と親戚関係を切ることができます。


姻族関係終了の届け出をした妻(夫)は,舅や姑に対する扶養義務が消滅します。

つまり,法的には,舅や姑の世話をする必要がなくなります。

*ただし,夫婦の子である,舅や姑の孫には,

直系血族として,祖父(舅)や祖母(姑)の扶養義務があります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(離婚等による姻族関係の終了)
民法
第七百二十八条  姻族関係は、離婚によって終了する。
 夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。
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2009年9月11日金曜日

相続の承認および相続放棄の撤回

いったん,相続を承認(相続放棄は,しないこと。被相続人のマイナスの財産も含めて相続すること)したり,

相続放棄(相続を承認しないこと)をしたりすると,

たとえ,相続開始後3ヵ月以内であっても,

もはや,相続の承認および相続放棄を撤回する(取り消す)ことはできません。

*ただし,原因が詐欺・強迫,錯誤(勘違い)等に基づく場合,

撤回が認められるときがあります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
民法
第九百十五条  相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)
民法
第九百十九条  相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。
 前項の規定は、第一編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。
 前項の取消権は、追認をすることができる時から六箇月間行使しないときは、時効によって消滅する。相続の承認又は放棄の時から十年を経過したときも、同様とする。
 第二項の規定により限定承認又は相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
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2009年9月10日木曜日

死後離縁




養子縁組の当事者である,養親,または,養子の死亡後でも

生存している当事者は,家庭裁判所の許可を得て,離縁できます。

これを,死後離縁と言います。

(例)養子縁組後に生まれた,養子の子は,

養子が養親より先になくなった場合,養子の代襲相続人として,養親の相続人になります。

しかし,養親が死後離縁の申立てをして,家庭裁判所が許可を出すと,

養子の子は,養親との親族関係が無くなるため,

の相続において,相続人になれません

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(協議上の離縁等)
民法
第八百十一条  縁組の当事者は、その協議で、離縁をすることができる。
 養子が十五歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする。
 前項の場合において、養子の父母が離婚しているときは、その協議で、その一方を養子の離縁後にその親権者となるべき者と定めなければならない。
 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項の父若しくは母又は養親の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
 第二項の法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求によって、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任する。
 縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。
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2009年9月9日水曜日

離縁による親族関係の終了


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婚姻に離があるように,

養子縁組については,離があります。

離縁をすると,養親と養子との親族関係がなくなります。

したがって,離縁をすると,養子は養親の相続人ではなくなります。

*ところで,婿養子の場合,

 1:養親と養子との養子縁組と

 2:養親の娘と養子との婚姻とが,

 組み合わさっているのですが,法律上は,養子縁組と婚姻は,別々の制度なので,

婚姻関係が破綻したからといって,当然に養子縁組関係も破綻しているとは,

認定されません。

協議離縁(話合いの離縁)が成立しない場合は,裁判離縁をしなければなりません。

離縁が成立しなければ,養子は相続人のままです。

婿養子をする場合は,慎重に考えましょう。

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(離縁による親族関係の終了)

民法
第七百二十九条  養子及びその配偶者並びに養子の直系卑属及びその配偶者と養親及びその血族との親族関係は、離縁によって終了する。

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2009年9月7日月曜日

遺言の撤回権

遺言の撤回権(遺言を取り消す権利)は,放棄できません

(例) 
 1:遺言書において,「この遺言書が最終遺言である。」と記載していても,
 
  後の遺言書で,新たな遺言をすることができます。

 2:遺言により財産を取得する相続人との間で,「この遺言は撤回しない。」と約束をしても,

  撤回することができます。

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(遺言の撤回権の放棄の禁止)
民法
第千二十六条  遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない。

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2009年9月6日日曜日

養子の相続権

養子は,親(血縁上の親)および親(養子になった親)の相続権があります。

1 養親の相続につき,養子の法定相続分は,養親の実子の法定相続分と同じです。

(例)婿養子になった場合,養子とその妻の法定相続分は,同じになります。


2 実親の相続につき,養子になったこととは関係なく,他の兄弟と法定相続分は同じになります。

(ただし,非嫡出子(婚姻外の子)の法定相続分は,嫡出子の法定相続分の2分の1になります。)


*なお,上記のような,通常の養子(普通養子といいます。)に対し,

「特別養子」という,養子制度があります。この場合は,実親(血縁上の親)の相続権がありません。

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2009年9月5日土曜日

遺言執行者

遺言の内容として,遺言執行者指定しておくと,

遺言の実現(遺言の執行)を図ることができます。

遺言執行者が,指定されており,その指定された人が遺言執行者に就任した場合は,

相続人が,遺言執行者の職務を妨害する行為(勝手に,遺産を売却するなど)をしたとしても,

その行為は,効になります。


*なお,遺言執行者を指定するだけでなく,具体的な職務権限を明記しておくべきです。

(例) 遺言者名義の〇〇銀行△支店のすべての預金を全額払い戻す権限



*指定された遺言執行者は,就任の諾否の自由があります。
  
 つまり,就任を拒絶することもできます。


*遺言の内容で,遺言執行者の指定が無い場合でも,

利害関係人(相続人など)は,遺言執行者の選任を家庭裁判所に請求できます。

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(遺言執行者の任務の開始)
民法
第千七条  遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。

(遺言執行者の選任)
民法
第千十条  遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。
(相続財産の目録の作成)

(遺言執行者の権利義務)
民法
第千十二条  遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
 第六百四十四条から第六百四十七条まで及び第六百五十条の規定は、遺言執行者について準用する。

(遺言の執行の妨害行為の禁止)
民法
第千十三条  遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。

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2009年9月1日火曜日

相続分の公平

遺産を分配するに当たり,

被相続人の生前に,すでに贈与により財産をもらっている相続人と

贈与をもらっていない(贈与の金額が少ない)相続人とが,

遺産を法定相続分どおりに分配すると,不公平が生じます。

そこで,被相続人の生きている間に,贈与により財産を取得した相続人については,

贈与財産は,遺産の前渡しであるから,

相続発生時の遺産分配において,清算することになります。

*ただし,被相続人が,その贈与について,

「遺産分配に当たり清算する必要はない。」との意思表示をしていれば,

その贈与をもらった相続人は,贈与分について得をすることになります。

*被相続人の贈与が,遺留分を侵害するほど,多額な場合は,

相続分が少ない相続人は,贈与をもらった相続人に遺留分減殺請求することができます。


*なお,遺産分割協議において,共同相続人「全員の同意」があれば,

遺産の分配金額,分配方法は,自由に決めることができます。

つまり,不公平な分配もできます。

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(特別受益者の相続分)
民法
第九百三条  共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。

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2009年8月31日月曜日

胎児の相続権

母親の胎内にいる生まれる前の子(つまり,胎児)も,

相続人になります。

(例)父が死亡した場合,父の相続人,

   祖父と父が同時に死亡した場合,祖父の相続に対する父の代襲相続人

したがって,胎児がいるにもかかわらず,

遺産分割協議をした場合は,その遺産分割協議は無効になります。


*当然ながら,死産の場合は相続人になりません。

*胎児がいる場合は,生まれるまで遺産分割協議はしないことが賢明です。

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(相続に関する胎児の権利能力)
民法
第八百八十六条  胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

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2009年8月30日日曜日

遺言の撤回

自筆証書遺言にしろ,公正証書遺言にしろ,

後の遺言で,前の遺言を撤回(取り消すこと)できます。

もし,前の遺言を紛失した場合,前の遺言に何を書いたか思い出せない場合,

もう一度,現在の家族状態をふまえて,新たに遺言を作れば,

新たな遺言の内容が優先されます。


*今回が初めての遺言ではない場合(すでに前の遺言がある場合)は,

今回の遺言に,「前の遺言は,すべて撤回する。」と,記載しておきましょう。

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(遺言の撤回)
民法
第千二十二条  遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

(前の遺言と後の遺言との抵触等)
民法
第千二十三条  前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
 前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。
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2009年8月28日金曜日

遺言による認知

結婚していない男女の間に生まれた「子」は,

父である男性が,その子に対し「認知」をするか

子が,父に対し認知の訴えを起こして裁判所が認めないと,

自然血縁関係上はともかく,

法律上の父子関係は,発生しません

つまり,父の相続人になれませんし,扶養料を請求することもできません。

「認知」の方法として,

1 父が認知の届け出をする。

2 父が遺言で認知をする。

3 子が父に対し,認知の訴えを起こす。

があります。

「認知の届け出」をすると,「戸籍」に認知したことが記載されるので,

家族が,婚姻外の子どもの存在を知る可能性があります。

そのため,父としては認知することに,ためらうことがあるようです。

そこで,遺言によって認知をすれば,自分が亡くなるまで婚姻外の子を隠すことができます。

(自筆証書遺言の場合は,保管の関係上,相続開始前に,家族に発見される可能性があります。

公正証書遺言の方が安全です。)

そして,認知された子に遺産を相続させることができます。

遺言の内容につき,認知について記載せず,財産を取得させるために,

「Aに〇〇を相続させる。」との記載でも良いのですが,

認知する旨の記載もあったほうが,

つまり,相続人になっていた方が,遺留分,税金,登記手続きなど得なことが多いです。

したがって,遺言には,

「Aを認知する。Aに〇〇を相続させる。」と記載すべきです。

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2009年8月27日木曜日

遺言が無効になる場合

遺言が無効になる場合の一つに,

遺言者よりもに,

受遺者(遺言により財産を取得する人)が,死亡した場合があります。

遺言作成時と実際の相続開始時とは,長い期間になる場合があります。

そうすると,受遺者が先に亡くなってしまうことがあるのです。

その場合,

(例) 「私の財産をすべてAに相続させる。
 
      ただし,先にAが死亡した場合,Bに相続させる。」

としておけば,対応できます。

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(受遺者の死亡による遺贈の失効)
民法
第九百九十四条  遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。
 停止条件付きの遺贈については、受遺者がその条件の成就前に死亡したときも、前項と同様とする。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

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2009年8月26日水曜日

兄弟姉妹の相続

兄弟姉妹は,

被相続人に子がいない(孫もいない)場合で,

被相続人に父・母もいない(祖父母もいない)ときに,

相続人になります。

*被相続人に配偶者がいれば,配偶者とともに,兄弟姉妹は相続人になります。


ただし,兄弟姉妹が,被相続人より「先」に亡くなっていた場合,

相続人になれるのは,兄弟姉妹の「子」(つまり,被相続人の甥姪)までです。

兄弟姉妹の「孫」は,相続人になれません。
(相続開始が昭和55年12月31日以前なら孫も相続できます。)

*兄弟姉妹が,被相続人より「先」に亡くなっていた場合,

兄弟姉妹の配偶者は,相続人ではありません。


*高齢の兄弟姉妹が亡くなった場合,先に兄弟姉妹が亡くなっていることがよくあります。

兄弟姉妹が亡くなった場合で,他の兄弟姉妹が相続人になるときは,

子の有無が,相続人の資格の有無に直結します。

つまり,ある兄弟姉妹のところは,相続できるのに,

ある兄弟姉妹のところは,相続できないことがあります。

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2009年8月25日火曜日

内縁の配偶者の権利

 内縁の配偶者には,相続権がありませんが,

法律婚の配偶者同様に認められている権利もあります。

 健康保険,労働災害の遺族補償年金,遺族厚生年金,公営住宅や公団住宅の入居資格など,

社会保障に関する分野においては,内縁の配偶者も法律婚の配偶者と,ほぼ同様の保護を受けることができます。


ただし,被相続人が,法律婚の配偶者と離婚せず別居状態で,内縁関係になった場合,

遺族補償年金,遺族厚生年金,死亡退職金などを巡って,

内縁の配偶者と法律婚の配偶者は,対立することになります。

我が国は,法律婚主義を採用しているので,原則として法律婚の配偶者が優先されます。

内縁の配偶者が,上記権利を主張する場合,法律婚の破綻を証明する必要があります。


*なお,生命保険金は,受取人が自己の固有の権利として取得します。
 
 したがって,受取人として内縁の配偶者が指定されていれば,

相続とは関係なく,内縁の配偶者が保険金を取得できます。

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2009年8月24日月曜日

内縁の配偶者と相続

内縁の妻(夫)には,相続権がありません

(例)
   
1 離婚をせず,別居している配偶者がいるが,他方配偶者が内縁関係になっている。

2 配偶者死亡後,生存配偶者が内縁関係になっている。
  (子どもに配慮して,正式な婚姻届け出をしない。)


内縁の夫婦で,居住用不動産の名義人である内縁の夫(妻)が死んだ場合,

その不動産を巡って,相続人とトラブルになることがあります。

遺言書で,その不動産の使用者(または,不動産の名義人)について,

内縁の妻(夫)と記載しておけば,トラブルを事前に回避できます。


*なお,離婚をせず,別居している配偶者がいた場合,

「全相続財産を内縁の妻(夫)にあげる。」,との遺言内容は,

公序良俗違反により,無効になる可能性があります。

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2009年8月21日金曜日

共同遺言の禁止

二人以上の者が,同一の紙で遺言をすると,無効になります。


(例) 夫婦が,お互いに,相続できるように,

夫が,「私が,妻より先に死んだ場合は,妻に全遺産を相続させる。」

妻が,「私が,夫より先に死んだ場合は,夫に全遺産を相続させる。」

との内容の遺言をすることがあるようですが,

夫と妻が,遺言を同一の紙に記載すると,どちらの遺言も効になります。

別々の紙に,遺言を書いてください。


*遺言の作成について,お互いが自由な意思に基づいたのではなく,

他方に影響を受けた可能性があるので,共同遺言は法律で一律に無効とされています。

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(共同遺言の禁止)
民法 第九百七十五条  

遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。
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2009年8月20日木曜日

遺産分割協議と未成年の子ども

共同相続人の中に「未成年の子ども」がいた場合,

親権者が,未成年の子どもを代理して遺産分割協議を行うことが,利益相反行為に該当する場合,

無権代理(権限のない人が代理したこと)となり,その遺産分割は無効になります。


(例) 「夫婦」と「未成年の子ども」の家族で,夫(父)が死んだ場合,

 妻(母)は,遺産分割協議を行うにあたり,子を代理することができません。

 妻(母)が,自己に有利な遺産分割協議を決定するおそれがあるからです。

  (例) 妻(母)が,不動産,預貯金などすべての財産を取得し,子には財産を取得させない。

この場合,家庭裁判所に特別代理人の選任を請求します。

特別代理人が,子を代理して,妻(母)と遺産分割協議を行います。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(利益相反行為)

民法 第八百二十六条  

 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

2009年8月19日水曜日

相続人の廃除

遺留分を有する相続人(つまり,兄弟姉妹・甥姪の相続人は除かれます。)が,

被相続人に対して虐待,重大な侮辱をしたとき,

相続人に著しい非行があったときは,

被相続人は,家庭裁判所に対し,その相続人の廃除を請求できます。

家庭裁判所の判断により,排除されることになった相続人は,相続人たる資格を失うので,

その被相続人の相続財産を取得することが来ません

遺留分を請求することもできません


ただし,その相続人に子ども(被相続人の孫)がいた場合は,その子どもが相続人になります。

つまり,その相続人を廃除しても,その子どもが相続人になるので,

排除した相続人の一族自体の相続権を奪うことはできません。


*なお,遺言により,相続人の廃除を求めることもできます。

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(推定相続人の廃除)

民法 第八百九十二条  
 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

(遺言による推定相続人の廃除)

民法 第八百九十三条  
 被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

(推定相続人の廃除の取消し)

民法 第八百九十四条  
 被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
 前条の規定は、推定相続人の廃除の取消しについて準用する。

2009年8月18日火曜日

死因贈与






被相続人の死亡による,遺産の承継方法として,

1 相続させる旨の遺言(相続人に対してのみ可能。遺言書を作成する。)

2 遺贈(相続人以外にも可能。遺言書を作成する。)

3 死因贈与(相続人以外にも可能。死因贈与契約書を作成する。)


1,2,3,いずれも相続税の課税対象です。


3の死因贈与は,遺言書(遺言者が単独で作成できる)ではなく,

死因贈与契約書(財産をあげる人と,もらう人との間に契約が必要になります。)


3の死因贈与は,不動産に対して仮登記をすることができます。

つまり,被相続人が亡くなる前に,仮の名義変更ができることになります。

被相続人が亡くなった後,正式に名義変更ができます。


贈与(生前贈与)の場合,確実に不動産の名義変更ができますが,

贈与税がかかります(相続税と比較して,税率が高い)。

死因贈与も遺言同様に,財産をあげる人は,一方的に死因贈与を撤回できるとされています。

つまり,死因贈与の場合も,財産をもらう人は,確実に不動産をもらえる保証はありません。
しかし,仮登記がされていれば,財産をあげる人の心理として,撤回をためらうようです。

ただし,死因贈与の短所として,

1の相続させる旨の遺言や,2の遺贈と比較して,

不動産取得税がかかること,登録免許税(名義変更の税金)が高いことです。

不動産を確実に承継したい場合,

贈与(生前贈与)>死因贈与>相続させる旨の遺言>遺贈

の順になると思います。

2009年8月17日月曜日

相続税の申告・納税義務

遺産の総額が,基礎控除額を下回るなど,相続税額が算出されない場合,

相続税の申告義務はありません(納税義務もありません)。


相続税の申告・納税義務が生じるのは,

大雑把に述べると,相続税の「課税価格」の合計額が,

基礎控除額={(5000万円)+(法定相続人の数×1000万円)}を超えた場合です。


*不動産や株式などは,課税価格の計算に当たり,評価(現金に換算すること)が必要になります。

 評価方法は,財産評価基本通達に基づきます。

 具体的な相続税の計算は,債務の控除,特例の適用などにより,複雑になっています。


*相続税につき,申告義務を怠った場合,無申告加算税などによる制裁があります。

 相続税は,相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内に,申告書を提出し,納税します。

2009年8月15日土曜日

遺言と遺産分割

遺言の内容が,

「〇〇(氏名)に〇〇(具体的な財産)を相続させる。」,

というように,具体的に遺産分割の方法が指定されていた場合は,

共同相続人全員による遺産分割協議が不要になります。


一方,遺言の内容が,

「わたしの遺産の,4分の2を〇〇(氏名)に,4分の1を〇〇に,4分の1を〇〇に,相続させる。」

というように,相続分は指定されているが,

「だれが,どの財産を取得するか」,記載されていない場合は,

遺産分割協議により,だれが,どの財産を取得するかを決めることになります。


*なお,遺産分割協議により,遺言の内容と異なる遺産配分をすることは可能です。

(例):遺言により,遺産を多くもらう人が,少ない人との争いを避けるため,

  あえて,遺言による取得分を減らすことがあります。

2009年8月14日金曜日

相続させる旨の遺言

遺言書を作成するにあたり,「相続人」に財産を承継させる場合は,

文末を「相続させる。」としておくことが重要です。

法律的には,この遺言のことを「相続させる旨の遺言」といいます。

要件として,

①相続人に対する,財産の承継であること。

②文末を「〇〇(財産)を〇〇(相続人の氏名)に相続させる。」と記載すること。


この「相続させる旨の遺言」の長所は,

①不動産の場合,他の相続人が関与することなく,財産を承継する相続人のみの関与で,

不動産の名義を承継する相続人名義に変えることができることです。

*文末が「遺贈する。」「贈与する。」となっていた場合,他の相続人の実印と印鑑証明書が必要になります。

②承継する財産が「農地」の場合,農地法に基づく農業委員会や都道府県知事の許可が不要です。

2009年8月12日水曜日

賃貸借に基づく保証債務の相続

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被相続人が,賃貸借(借家・借地)の保証人になっていた場合で,

賃借人が,家賃を滞納していたときは,保証人の責任に基づいて,

①被相続人が亡くなる「前」の滞納家賃は,各共同相続人が法定相続分にしたがって,支払う義務があります。

②被相続人が亡くなった「後」の滞納家賃は,各共同相続人は全額支払う義務があります。

 
被相続人の賃貸借の保証人たる地位は,相続人が承継することになります。

(承継したくない場合は,相続放棄をすることになります。ただし,プラスの財産も承継できません。)

そして,保証人たる地位を承継した相続人は,賃借人の将来の滞納家賃についての支払義務も負うことになります。

(つまり,賃貸借の保証人の責任は,被相続人が亡くなった後も,継続するということです。)


*なお,長期間,賃借人が家賃を滞納し続けているのに,家主が賃貸借契約を解除しない場合,

(新規の入居者が見つかりそうにない場合,そのまま賃貸借契約を継続して,滞納家賃を保証人に請求しようと考えることがあります。)

そのような家主の行為は,信義則に反するので,

滞納家賃の一部について保証人の責任が免責されたり,

将来に向かって保証契約を解除できる場合があります。


さらに,保証人は賃借物件の「原状回復義務」も負担しますので,

賃貸借契約といえども,安易に保証人にならないようにしましょう。

2009年8月10日月曜日

家主=賃貸人の相続




家(マンション・アパートなど)を貸している人=家主=賃貸人が,亡くなった。

①相続発生前の賃料請求権,および,

 相続発生後から遺産分割協議までの賃料請求権は,

 家主の各共同相続人が,法定相続分にしたがって取得します。


*借家人からすると,家主の相続人を調査して支払うことになりそうですが,

ⅰ:通常は,不動産業者の口座に振り込むので,相続とは無関係であること。

ⅱ:家主の相続が発生しても,すぐに借家人に通知されることはなく,
  遺産分割協議成立後,賃料支払いの変更を通知されることが多いこと。

 から,借家人は,家主の相続について心配する必要はないと思います。


 ただし,家主の共同相続人の間で争いになったような場合,

 借家人は法務局に毎月の賃料を供託することになります。



②遺産分割協議「後」の賃料請求権は,遺産分割協議の内容にしたがって,分配することになります。


*なお,当然ながら,家主の相続人は敷金返還債務を承継します。

2009年8月9日日曜日

借家人の相続

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家(アパート,マンションなど)を借りている人が,亡くなった。

①相続発生時,賃料を滞納していたときは,

 各共同相続人は,滞納賃料合計を法定相続分に応じて分割した金額を,支払う義務があります。


②相続発生後の賃料は,

 各共同相続人につき,全額支払う義務があります。
 (一人が,家主に全額支払えば,他の人は支払義務を逃れます。
  全額払った人は,他の人に法定相続分に応じて,立て替えた金額を請求できます。)

③遺産分割協議により,この借家に住む相続人が決まった場合,以後,居住する相続人が賃料を支払うことになります。
 (ただし,家主がこの遺産分割協議に同意しない場合,共同相続人の内部関係はともかく,家主との関係では,共同相続人全員が,全額支払う義務を負うことになります。)

*借家権は,相続人が当然に承継できます。相続発生前と同じように,使用することができます。
  
*家主に対し,相続料のようなものを支払う義務はありません

2009年8月5日水曜日

生命保険金と相続放棄

生命保険の

 ①保険契約者(保険料の支払い者)

 ②被保険者(この人が亡くなった場合に保険金がおりる)

   ①②ともに,被相続人(亡くなった人)で,

 ③保険金の受取人が,相続人の場合,

 (一般的な生命保険契約は,①②③の要件を満たしています。)


 この生命保険金は,被相続人の相続財産には含まれ「ない」ので,

 相続人が,相続放棄をしても,生命保険金を受け取ることができます。

 
  (例)
     仮に,借金が1億円,生命保険金が5000万円の場合,

    このまま相続すると,マイナス5000万円ですが,

    相続放棄をすると,借金1億円は支払う必要がなく,

    なおかつ,保険金5000万円全額を受け取ることができます。

  
 *ただし,相続「税」の納税義務が生じる場合があります。

 

2009年7月26日日曜日

遺言書の発見

◇ メール相談を承ります:相談料5250円(前払い):3回まで回答いたします。相談内容を下記のメールアドレスまで送信ください。 soudann@ishihara-shihou-gyosei.com 

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相続が発生した場合,遺言書の保管者はもちろん,遺言書を発見した相続人についても,

なるべく早く,家庭裁判所に遺言書を提出する必要があります(「検認」といいます。)。

*ただし,家庭裁判所に対する検認手続きは,公正証書遺言の場合は不要です。

 (つまり,自筆証書遺言の場合は必要になります。)

 結局,家庭裁判所に対する検認手続きが必要になると,その分だけ,遺言執行(遺言内容の実現)を開始するのに時間がかかることになります。

 遺言書を発見した相続人が,家庭裁判所に対して検認手続きをすることなく,
遺言書を破棄,隠匿,偽造などをした場合,

 ①裁判所から,5万円以下の過料の制裁を受ける可能性(民法1005条)

 ②相続人の欠格事由に該当し,相続人の地位を失い,相続財産を取得できない可能性(民法891条)
 
  があります。

 明らかに,被相続人の遺言書だと認識できた場合は,開封することなく,家庭裁判所に遺言書を提出してください。
 よく分からず,開封してしまい,遺言書に気づく場合もあります。その場合も,家庭裁判所に提出してください。
 遺言書を読んで,自分に不利な遺言内容だからといって,破棄・隠匿・偽造すると相続欠格事由になります。そのような行為は,止めてください

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(遺言書の検認)
民法 第千四条  
 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

(過料)
第千五条  前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。

(相続人の欠格事由)
第八百九十一条  次に掲げる者は、相続人となることができない
 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

2009年7月24日金曜日

相続と破産

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住宅ローンで住宅を買ったが,給料が減額されて,支払が不能になった場合,

①住宅ローン特則付きの個人再生を裁判所に申し立てる

②破産を裁判所に申し立てる

の2つ方法があります。

ただし,①の再生は,住宅ローン「以外」の借金総額のみ減額できる制度なので,

そもそも,借金が住宅ローンしかない場合は,使いません。
住宅金融支援機構=旧住宅金融公庫や,銀行に対し,住宅ローンの返済金額の減額および返済期間の延長をお願いします。

②の破産は,住宅は手放すことになりますが,住宅ローンの支払もなくなります。
住居がなくなるので,実家で暮らすか,賃貸住宅に居住することになります。
通常(裁判所による競売ではなく,破産者本人が不動産の売却に同意する,いわゆる任意売却の場合)は,住宅の売却にあたり,引っ越しまでの猶予期間をもらえます。


さて,本題ですが,
再生手続や破産手続をした「後」に,親が亡くなって相続が発生した場合は,
当然ながら,相続財産を取得できます。

ポイントは,
再生をすれば,借金は減額されますし,
破産をすれば,借金は免責(0円)されます。

*税金などは,免責・減額されません。

その結果,取得した相続財産は,

破産の場合だと,相続財産-0円=相続財産の100%が手元に残ります。

再生の場合だと,相続財産-再生による減額借金=相続財産の?%が手元に残ります。

破産や再生を「しない」場合は,相続財産は,減額「されない」借金額への返済に充てられることになります。

つまり,法的手続き(破産・再生)を実行しておけば,借金が減った分について,相続財産による返済を免れるため,をするということになります。


似たような場合として,親・兄弟(親族)からの援助をしてもらう場合があります。

中途半端に,援助をしてもらって,借金の返済に充てても無駄です。
「とりあえず,借金の総額を減らしておこう。」,みたいな考えに基づくようですが,
法律的には,全くダメです。

法律的に,良い順番は,破産・再生などの法的手続きをした「」(借金を減らした後)に,援助することです。
この順番をまちがえては,いけません。

援助するなら,借金の返済ではなく,法的手続きへの報酬・費用に援助してください。

2009年7月21日火曜日

法律上の相続放棄

世間では,相続財産を一切もらわないという意味で,「相続放棄」という用語を使うことがあります。

法律上は,家庭裁判所で手続きをした場合のみ,相続放棄といいます。

したがって,ある相続人が,相続財産を独占する相続人に対して,

「私は相続財産は取得しません。」,と表明(書類に署名押印)しても,それは,法律上の相続放棄ではありません

法律上の相続放棄は,プラスの財産も「マイナスの財産も」含めた,すべての権利放棄,という効果が発生します。

これに対し,世間で言う相続放棄は,プラスの財産のみの権利放棄,という効果しか発生しません。
(本人は,プラスの財産を権利放棄するのだから,「マイナスの財産についても,支払い義務はない」。と思うことが多いようですが,間違いです。)

この違いが,目に見えて現れるのは,相続財産にマイナスの財産があった場合です。

*相続財産というのは,プラスの財産だけでなく,マイナスの財産も含むのです

相続財産を独占した相続人が,相続財産であるマイナスの財産(借金)を正常に返済していれば問題はありませんが,返済に行き詰まると,借金の貸付人(銀行など)は,相続財産を全く取得していない他の共同相続人に対して,借金の返済を請求してきます。

法律上,この貸付人の請求は,正当な権利行使として認められています。

つまり,共同相続人の間で,相続財産を独占した相続人が「プラスの財産を取得するが,責任をもってマイナスの財産も返済する」,という合意をしたとしても,法律上は借金の貸付人には通用しないということです。

悲惨な例は,相続財産を独占した相続人が,プラスの財産でマイナスの財産を返済せずに,プラスの財産を浪費するような場合です。

よって,相続財産を一切取得しない場合は,家庭裁判所で相続放棄の手続きをしましょう。


【注意】

相続登記(相続による不動産名義人の変更)に必要だからと言われて,
不動産を取得する相続人から
「特別受益証明書」,「相続分皆無証明書」,「相続分のないことの証明書」という書類が送られてくることがあります。
上記書類には,「わたしは,既に財産をもらっているから,相続分はありません。」みたいなことが記載してあります。しかし,上記書類に署名押印したとしても,法律上の相続放棄にはなりません

2009年7月19日日曜日

相続による預貯金口座の凍結

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金融機関が,預貯金の名義人が亡くなったことを知った場合,名義人の口座は凍結(払い戻しの停止)されます。

口座の凍結後は,原則として金融機関は,相続人全員の同意書(実印押印し,印鑑証明書を添付)がなければ,払い戻しに応じません。

ただし,金融機関によっては,相続人が「葬式費用」として請求する場合,払い戻しに応じてくれることがあります。
 この葬式費用の払戻金額は,各金融機関ごとに,

 ① 払い戻し請求をした相続人の法定相続分を限度とする場合
  
 ② 葬儀社に確認した葬式費用を限度とする場合

 ③ 当該地域における平均的な葬式費用を限度とする場合

 ④ ①と②,①と③の組み合わせの範囲内を限度とする場合

のように,限度額を定めているようです。
なぜなら,葬式費用としての払い戻しは,金融機関にとっては,便宜的な取扱いだからです。

 
 亡くなった方が,有名人・事故の被害者の場合,金融機関も情報を入手します。
 
 なお,北海道の場合,掲載希望者に限りますが,一般人についても新聞にお悔やみ欄があるので,金融機関は情報を入手します。
 
 情報入手の結果,金融機関が一方的に口座を凍結します。
 
 口座が凍結されると,公共料金の引き落としが止まるので,すみやかに各社に連絡をしましょう。
(金融機関によっては,公共料金の引き落としについては,そのまま継続してくれるとこともあります。)

 家賃の支払いも注意が必要です。家主に連絡しましょう。

 
相続が発生した場合,発生しそうな場合は,専門家に相談することをお勧めします。
 

2009年7月17日金曜日

ペットの葬儀

今回は,ペットの葬儀の話しです。
ペットは,法律上,動産になります。
したがって,ペットの亡骸は廃棄物の扱いになってしまいます。

ペットの死亡や火葬・埋葬について自治体に届け出をする必要はありません。
ただし,の場合,狂犬病予防法により,登録している市町村に対し,死亡から30日以内に届け出をしなければなりません。

自治体によっては,そのまま廃棄物として処理するところもあるようです。
札幌市では,動物管理センターが,ペットの火葬を行ってくれます。(ただし,焼骨は返却できません。)

【札幌市 保健福祉局 保健所 動物管理センター】
よくある質問http://www.city.sapporo.jp/inuneko/main/q_and_a.html


人間の場合は,墓地,埋葬等に関する法律がありますが,
ペットの場合は原則として,火葬・埋葬に関する法律がありません
(牛,馬,豚,めん洋,山羊については,化製場等に関する法律が適用されます。)

したがって,ペットの火葬・埋葬方法は,原則自由であり,
「自宅の庭に,焼骨を埋葬すること」や,「埋葬せずに焼骨を自宅で保管すること」も可能です。

ただし,近隣住民に対し不快感を与えないことが条件です。自宅の庭に埋葬した場合,土地を売却する際に買主からクレームが入る可能性もあります。

*自宅の庭に,火葬せずに埋葬することもできますが,衛生保健上の関係から火葬することをお勧めします。

また,ペットの火葬・埋葬を行う業者を規制する法律もありません
(ごく一部の自治体が,条例で規制しているようです。札幌市には,条例がないようです。)

【ペット火葬業者の問題が取り上げられたニュース】
http://www.zakzak.co.jp/top/200906/t2009060805_all.html

火葬の途中で,最初の提示金額とは異なる,高額な料金を請求し,
「応じないと生焼けのままで返す」,「応じるまで焼骨を返さない」など脅す手口があるようです。

ペットの葬儀についても,相手の業者が信頼できるかどうか,確かめてから依頼しましょう。

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狂犬病予防法
第四条  
 第一項及び第二項の規定により登録を受けた犬の所有者は、犬が死亡したとき又は犬の所在地その他厚生労働省令で定める事項を変更したときは、三十日以内に、厚生労働省令の定めるところにより、その犬の所在地(犬の所在地を変更したときにあつては、その犬の新所在地)を管轄する市町村長に届け出なければならない。

2009年7月14日火曜日

祭祀主宰者


祭祀財産は,祭祀主宰者が 承継します。

祭祀主宰者決定の順番は,

被相続人の指定,

指定がない場合その地方の慣習

指定も慣習もない場合は,家庭裁判所の審判

被相続人が指定する場合,遺言はもちろん,生前において書面だけでなく口頭でも,明示だけでなく黙示にも指定できるとされています。
(祭祀主宰者の資格につき,法律上は制限はないので,相続人・親族関係・氏の同一性とは関係なく,祭祀主宰者を指定することができます。)

家庭裁判所が審判で決定する場合は,被相続人との身分関係・生活関係,祭祀主宰の意思や能力などに基づき総合的に判断されます(特に被相続人との関係を重視するようです)。

祭祀主宰者は,原則として一人です。

祭祀主宰者は,その地位を放棄することができません。
しかし,祭祀を行う義務を負うわけでもありません。(祭祀を行う権利はある。しかし,義務はない。)

祭祀主宰者になったからといって,相続分を増やしてもらうことはできません。遺言により相続分が指定されている場合や遺産分割協議によって定めた場合を除いて,相続分は法定相続分によります。

なお,相続放棄した者も祭祀承継者になることができます。祭祀財産と相続財産は,別の財産であるとされているからです。

祭祀主宰者となった,夫(妻)が離婚により復氏した場合,養子が離縁により復氏した場合は,祭祀財産の承継者を「改めて」定めることになります。

2009年7月13日月曜日

祭祀財産

祭祀財産とは,系譜・祭具・墳墓のことをいいます。

法律上,祭祀財産は,相続財産(現金・預貯金・不動産など)とは,別の財産であると規定されています。

「系譜」とは,家系図,過去帳など祖先以来の系統を示すものです。

「祭具」とは,位牌,仏壇,仏具,神棚など祭祀・礼拝のために使用するものです。

「墳墓」とは,墓標・墓石のことです。墓地の所有権や使用権も墳墓に含まれると解されています。
  

*墓地所有権における墓地とは,墳墓の敷地として,墳墓と密接不可分な範囲に限られます。

 そして,祭祀財産を承継する者のことを祭祀主宰者と呼びます。


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民法
(祭祀に関する権利の承継)
第八百九十七条  系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

2009年7月12日日曜日

(札幌)葬式と相続放棄


札幌,岩見沢,室蘭,小樽,滝川,浦河,岩内,夕張,静内の各家庭裁判所の相続放棄の申述書の作成

【相続放棄の司法書士報酬】

*司法書士報酬には,戸籍謄本の取得報酬も含んでいます。
*実費として,収入印紙代・戸籍謄本代・切手代などが必要です。

(1)配偶者や子が相続放棄をする場合は,
①基本報酬2万円と②相続放棄者1人につき1万円を加算します(税抜き)。


(2)配偶者や子が相続から3ヵ月経過後に相続放棄をする場合は,
①基本報酬2万円と②相続放棄者1人につき2万円を加算します(税抜き)。


(3)兄弟姉妹が相続放棄する場合は,
①基本報酬3万円と②相続放棄者1人ごとに1万円を加算します。(税抜き)


<北海道内や札幌市内だけでなく,全国対応しております。>
当事務所(司法書士・行政書士・社会保険労務士)のHP 

http://ishihara-shihou-gyosei.com
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相続人が,自己の財産から葬式費用を負担して被相続人の葬式を行ったとしても,相続放棄をすることができます。

また,相続人が,相続財産から葬式費用を出したとしても,社会的許容範囲内の金額による葬式であれば,単純承認とはみなされず,相続放棄ができる場合もあるようです。


原則としては,相続放棄をすることが明確な場合は,相続財産からの支出は避けるのが賢明でしょう。


音信不通だった被相続人の場合は,借金を背負っている可能性もあります。財産調査の上,相続放棄について考えましょう。


相続放棄をする場合,死亡の連絡から3ヵ月以内に家庭裁判所で手続きをする必要があります。



したがって,死亡時から3ヵ月が経過していても,死亡の連絡がなければ,連絡があったときから3ヵ月以内であれば,相続放棄をすることができます。


音信不通で,葬式に参加していない相続人は,救済される可能性があります。


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参考:
①相続人が相続財産から被相続人の葬式費用を支払った行為につき,当然営まれるような葬式費用の範囲内であれば,単純承認には当たらないとする下級審判例があります。

東京控訴院昭和11年9月21日判決(新聞4059号13頁)
「遺族トシテ当然営マサルへカラサル葬式費用ニ相続財産ヲ支出スルカ如キハ道義上必然ノ所為ニシテ民法1024条(現行民法921条)第1号ニ所謂相続財産ノ処分ニ該当セス従ツテ之レヲ以テ控訴人カ単純承認ヲ為シタルモノト見做サルルコトナク・・・」

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②ほとんど経済的価値のない被相続人の見回り品を引き取ったこと,被相続人の僅少な所持金に相続人の所持金を加えて,被相続人の火葬費用および治療費残額を支払った行為につき,単純承認には当たらないとする下級審判例があります。

大阪高等裁判所昭和54年3月22日決定(判時938号51頁)
「本件のように行方不明であった被相続人が遠隔地で死去したことと所轄警察署から通知され,取り急ぎ同署に赴いた抗告人ら妻,子が,同署から戸籍法92条2項,死体取扱規則(公安委員会規則)8条に基づき,被相続人の着衣,見回り品の引取りを求められ,前認定1(11)のとおり,やむなく殆ど経済的価値のない財布などの雑品を引取り,なおその際被相続人の所持金2万0432円の引渡を受けたけれども,右のような些少の金品をもって相続財産(積極財産)とは社会通念上認めることができない。(このような経済的価値が皆無に等しい見回り品や火葬費用等に支払われるべき僅かな所持金は,民法897条所定の祭祀供用物の承継ないしこれに準ずるものとして慣習によって処理すれば足りるものであるから,これをもって,相続財産の帰趨を決すべきものではない)。のみならず,抗告人らは右所持金に自己の所持金を加えて金員をもって,前示のとおり遺族として当然なすべき被相続人の火葬費用ならびに治療費残額の支払に充てたのは人倫と道義上必然の行為であり,公平ないし信義則上やむを得ない事情に由来するものであって,これをもって,相続人が相続財産の存在を知ったとか,債務承継の意思を明確に表明したものとはいえないし,民法921条1号所定の『相続財産の一部を処分した』場合に該るものとはいえないのであって,右のような事実によって抗告人が相続の単純承認をしたものと擬制することはできない。」

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戸籍法
第九十二条
2  死亡者の本籍が明かになり、又は死亡者を認識することができるに至つたときは、警察官は、遅滞なくその旨を報告しなければならない。

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死体取扱規則(昭和三十三年十一月二十七日国家公安委員会規則第四号)
(死体の遺族等への引渡)
第八条  死体について、身元が明らかになつたときは、着衣、所持金品等とともに死体をすみやかに遺族等に引き渡さなければならない。ただし、遺族等への引渡ができないときは死亡地の市区町村長に引き渡すものとする。