2009年8月31日月曜日

胎児の相続権

母親の胎内にいる生まれる前の子(つまり,胎児)も,

相続人になります。

(例)父が死亡した場合,父の相続人,

   祖父と父が同時に死亡した場合,祖父の相続に対する父の代襲相続人

したがって,胎児がいるにもかかわらず,

遺産分割協議をした場合は,その遺産分割協議は無効になります。


*当然ながら,死産の場合は相続人になりません。

*胎児がいる場合は,生まれるまで遺産分割協議はしないことが賢明です。

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(相続に関する胎児の権利能力)
民法
第八百八十六条  胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

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2009年8月30日日曜日

遺言の撤回

自筆証書遺言にしろ,公正証書遺言にしろ,

後の遺言で,前の遺言を撤回(取り消すこと)できます。

もし,前の遺言を紛失した場合,前の遺言に何を書いたか思い出せない場合,

もう一度,現在の家族状態をふまえて,新たに遺言を作れば,

新たな遺言の内容が優先されます。


*今回が初めての遺言ではない場合(すでに前の遺言がある場合)は,

今回の遺言に,「前の遺言は,すべて撤回する。」と,記載しておきましょう。

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(遺言の撤回)
民法
第千二十二条  遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

(前の遺言と後の遺言との抵触等)
民法
第千二十三条  前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
 前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。
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2009年8月28日金曜日

遺言による認知

結婚していない男女の間に生まれた「子」は,

父である男性が,その子に対し「認知」をするか

子が,父に対し認知の訴えを起こして裁判所が認めないと,

自然血縁関係上はともかく,

法律上の父子関係は,発生しません

つまり,父の相続人になれませんし,扶養料を請求することもできません。

「認知」の方法として,

1 父が認知の届け出をする。

2 父が遺言で認知をする。

3 子が父に対し,認知の訴えを起こす。

があります。

「認知の届け出」をすると,「戸籍」に認知したことが記載されるので,

家族が,婚姻外の子どもの存在を知る可能性があります。

そのため,父としては認知することに,ためらうことがあるようです。

そこで,遺言によって認知をすれば,自分が亡くなるまで婚姻外の子を隠すことができます。

(自筆証書遺言の場合は,保管の関係上,相続開始前に,家族に発見される可能性があります。

公正証書遺言の方が安全です。)

そして,認知された子に遺産を相続させることができます。

遺言の内容につき,認知について記載せず,財産を取得させるために,

「Aに〇〇を相続させる。」との記載でも良いのですが,

認知する旨の記載もあったほうが,

つまり,相続人になっていた方が,遺留分,税金,登記手続きなど得なことが多いです。

したがって,遺言には,

「Aを認知する。Aに〇〇を相続させる。」と記載すべきです。

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2009年8月27日木曜日

遺言が無効になる場合

遺言が無効になる場合の一つに,

遺言者よりもに,

受遺者(遺言により財産を取得する人)が,死亡した場合があります。

遺言作成時と実際の相続開始時とは,長い期間になる場合があります。

そうすると,受遺者が先に亡くなってしまうことがあるのです。

その場合,

(例) 「私の財産をすべてAに相続させる。
 
      ただし,先にAが死亡した場合,Bに相続させる。」

としておけば,対応できます。

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(受遺者の死亡による遺贈の失効)
民法
第九百九十四条  遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。
 停止条件付きの遺贈については、受遺者がその条件の成就前に死亡したときも、前項と同様とする。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

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2009年8月26日水曜日

兄弟姉妹の相続

兄弟姉妹は,

被相続人に子がいない(孫もいない)場合で,

被相続人に父・母もいない(祖父母もいない)ときに,

相続人になります。

*被相続人に配偶者がいれば,配偶者とともに,兄弟姉妹は相続人になります。


ただし,兄弟姉妹が,被相続人より「先」に亡くなっていた場合,

相続人になれるのは,兄弟姉妹の「子」(つまり,被相続人の甥姪)までです。

兄弟姉妹の「孫」は,相続人になれません。
(相続開始が昭和55年12月31日以前なら孫も相続できます。)

*兄弟姉妹が,被相続人より「先」に亡くなっていた場合,

兄弟姉妹の配偶者は,相続人ではありません。


*高齢の兄弟姉妹が亡くなった場合,先に兄弟姉妹が亡くなっていることがよくあります。

兄弟姉妹が亡くなった場合で,他の兄弟姉妹が相続人になるときは,

子の有無が,相続人の資格の有無に直結します。

つまり,ある兄弟姉妹のところは,相続できるのに,

ある兄弟姉妹のところは,相続できないことがあります。

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2009年8月25日火曜日

内縁の配偶者の権利

 内縁の配偶者には,相続権がありませんが,

法律婚の配偶者同様に認められている権利もあります。

 健康保険,労働災害の遺族補償年金,遺族厚生年金,公営住宅や公団住宅の入居資格など,

社会保障に関する分野においては,内縁の配偶者も法律婚の配偶者と,ほぼ同様の保護を受けることができます。


ただし,被相続人が,法律婚の配偶者と離婚せず別居状態で,内縁関係になった場合,

遺族補償年金,遺族厚生年金,死亡退職金などを巡って,

内縁の配偶者と法律婚の配偶者は,対立することになります。

我が国は,法律婚主義を採用しているので,原則として法律婚の配偶者が優先されます。

内縁の配偶者が,上記権利を主張する場合,法律婚の破綻を証明する必要があります。


*なお,生命保険金は,受取人が自己の固有の権利として取得します。
 
 したがって,受取人として内縁の配偶者が指定されていれば,

相続とは関係なく,内縁の配偶者が保険金を取得できます。

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2009年8月24日月曜日

内縁の配偶者と相続

内縁の妻(夫)には,相続権がありません

(例)
   
1 離婚をせず,別居している配偶者がいるが,他方配偶者が内縁関係になっている。

2 配偶者死亡後,生存配偶者が内縁関係になっている。
  (子どもに配慮して,正式な婚姻届け出をしない。)


内縁の夫婦で,居住用不動産の名義人である内縁の夫(妻)が死んだ場合,

その不動産を巡って,相続人とトラブルになることがあります。

遺言書で,その不動産の使用者(または,不動産の名義人)について,

内縁の妻(夫)と記載しておけば,トラブルを事前に回避できます。


*なお,離婚をせず,別居している配偶者がいた場合,

「全相続財産を内縁の妻(夫)にあげる。」,との遺言内容は,

公序良俗違反により,無効になる可能性があります。

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2009年8月21日金曜日

共同遺言の禁止

二人以上の者が,同一の紙で遺言をすると,無効になります。


(例) 夫婦が,お互いに,相続できるように,

夫が,「私が,妻より先に死んだ場合は,妻に全遺産を相続させる。」

妻が,「私が,夫より先に死んだ場合は,夫に全遺産を相続させる。」

との内容の遺言をすることがあるようですが,

夫と妻が,遺言を同一の紙に記載すると,どちらの遺言も効になります。

別々の紙に,遺言を書いてください。


*遺言の作成について,お互いが自由な意思に基づいたのではなく,

他方に影響を受けた可能性があるので,共同遺言は法律で一律に無効とされています。

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(共同遺言の禁止)
民法 第九百七十五条  

遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。
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2009年8月20日木曜日

遺産分割協議と未成年の子ども

共同相続人の中に「未成年の子ども」がいた場合,

親権者が,未成年の子どもを代理して遺産分割協議を行うことが,利益相反行為に該当する場合,

無権代理(権限のない人が代理したこと)となり,その遺産分割は無効になります。


(例) 「夫婦」と「未成年の子ども」の家族で,夫(父)が死んだ場合,

 妻(母)は,遺産分割協議を行うにあたり,子を代理することができません。

 妻(母)が,自己に有利な遺産分割協議を決定するおそれがあるからです。

  (例) 妻(母)が,不動産,預貯金などすべての財産を取得し,子には財産を取得させない。

この場合,家庭裁判所に特別代理人の選任を請求します。

特別代理人が,子を代理して,妻(母)と遺産分割協議を行います。

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(利益相反行為)

民法 第八百二十六条  

 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

2009年8月19日水曜日

相続人の廃除

遺留分を有する相続人(つまり,兄弟姉妹・甥姪の相続人は除かれます。)が,

被相続人に対して虐待,重大な侮辱をしたとき,

相続人に著しい非行があったときは,

被相続人は,家庭裁判所に対し,その相続人の廃除を請求できます。

家庭裁判所の判断により,排除されることになった相続人は,相続人たる資格を失うので,

その被相続人の相続財産を取得することが来ません

遺留分を請求することもできません


ただし,その相続人に子ども(被相続人の孫)がいた場合は,その子どもが相続人になります。

つまり,その相続人を廃除しても,その子どもが相続人になるので,

排除した相続人の一族自体の相続権を奪うことはできません。


*なお,遺言により,相続人の廃除を求めることもできます。

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(推定相続人の廃除)

民法 第八百九十二条  
 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

(遺言による推定相続人の廃除)

民法 第八百九十三条  
 被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

(推定相続人の廃除の取消し)

民法 第八百九十四条  
 被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
 前条の規定は、推定相続人の廃除の取消しについて準用する。

2009年8月18日火曜日

死因贈与






被相続人の死亡による,遺産の承継方法として,

1 相続させる旨の遺言(相続人に対してのみ可能。遺言書を作成する。)

2 遺贈(相続人以外にも可能。遺言書を作成する。)

3 死因贈与(相続人以外にも可能。死因贈与契約書を作成する。)


1,2,3,いずれも相続税の課税対象です。


3の死因贈与は,遺言書(遺言者が単独で作成できる)ではなく,

死因贈与契約書(財産をあげる人と,もらう人との間に契約が必要になります。)


3の死因贈与は,不動産に対して仮登記をすることができます。

つまり,被相続人が亡くなる前に,仮の名義変更ができることになります。

被相続人が亡くなった後,正式に名義変更ができます。


贈与(生前贈与)の場合,確実に不動産の名義変更ができますが,

贈与税がかかります(相続税と比較して,税率が高い)。

死因贈与も遺言同様に,財産をあげる人は,一方的に死因贈与を撤回できるとされています。

つまり,死因贈与の場合も,財産をもらう人は,確実に不動産をもらえる保証はありません。
しかし,仮登記がされていれば,財産をあげる人の心理として,撤回をためらうようです。

ただし,死因贈与の短所として,

1の相続させる旨の遺言や,2の遺贈と比較して,

不動産取得税がかかること,登録免許税(名義変更の税金)が高いことです。

不動産を確実に承継したい場合,

贈与(生前贈与)>死因贈与>相続させる旨の遺言>遺贈

の順になると思います。

2009年8月17日月曜日

相続税の申告・納税義務

遺産の総額が,基礎控除額を下回るなど,相続税額が算出されない場合,

相続税の申告義務はありません(納税義務もありません)。


相続税の申告・納税義務が生じるのは,

大雑把に述べると,相続税の「課税価格」の合計額が,

基礎控除額={(5000万円)+(法定相続人の数×1000万円)}を超えた場合です。


*不動産や株式などは,課税価格の計算に当たり,評価(現金に換算すること)が必要になります。

 評価方法は,財産評価基本通達に基づきます。

 具体的な相続税の計算は,債務の控除,特例の適用などにより,複雑になっています。


*相続税につき,申告義務を怠った場合,無申告加算税などによる制裁があります。

 相続税は,相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内に,申告書を提出し,納税します。

2009年8月15日土曜日

遺言と遺産分割

遺言の内容が,

「〇〇(氏名)に〇〇(具体的な財産)を相続させる。」,

というように,具体的に遺産分割の方法が指定されていた場合は,

共同相続人全員による遺産分割協議が不要になります。


一方,遺言の内容が,

「わたしの遺産の,4分の2を〇〇(氏名)に,4分の1を〇〇に,4分の1を〇〇に,相続させる。」

というように,相続分は指定されているが,

「だれが,どの財産を取得するか」,記載されていない場合は,

遺産分割協議により,だれが,どの財産を取得するかを決めることになります。


*なお,遺産分割協議により,遺言の内容と異なる遺産配分をすることは可能です。

(例):遺言により,遺産を多くもらう人が,少ない人との争いを避けるため,

  あえて,遺言による取得分を減らすことがあります。

2009年8月14日金曜日

相続させる旨の遺言

遺言書を作成するにあたり,「相続人」に財産を承継させる場合は,

文末を「相続させる。」としておくことが重要です。

法律的には,この遺言のことを「相続させる旨の遺言」といいます。

要件として,

①相続人に対する,財産の承継であること。

②文末を「〇〇(財産)を〇〇(相続人の氏名)に相続させる。」と記載すること。


この「相続させる旨の遺言」の長所は,

①不動産の場合,他の相続人が関与することなく,財産を承継する相続人のみの関与で,

不動産の名義を承継する相続人名義に変えることができることです。

*文末が「遺贈する。」「贈与する。」となっていた場合,他の相続人の実印と印鑑証明書が必要になります。

②承継する財産が「農地」の場合,農地法に基づく農業委員会や都道府県知事の許可が不要です。

2009年8月12日水曜日

賃貸借に基づく保証債務の相続

◇ メール相談を承ります:相談料5250円(前払い):3回まで回答いたします。相談内容を下記のメールアドレスまで送信ください。 soudann@ishihara-shihou-gyosei.com 

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被相続人が,賃貸借(借家・借地)の保証人になっていた場合で,

賃借人が,家賃を滞納していたときは,保証人の責任に基づいて,

①被相続人が亡くなる「前」の滞納家賃は,各共同相続人が法定相続分にしたがって,支払う義務があります。

②被相続人が亡くなった「後」の滞納家賃は,各共同相続人は全額支払う義務があります。

 
被相続人の賃貸借の保証人たる地位は,相続人が承継することになります。

(承継したくない場合は,相続放棄をすることになります。ただし,プラスの財産も承継できません。)

そして,保証人たる地位を承継した相続人は,賃借人の将来の滞納家賃についての支払義務も負うことになります。

(つまり,賃貸借の保証人の責任は,被相続人が亡くなった後も,継続するということです。)


*なお,長期間,賃借人が家賃を滞納し続けているのに,家主が賃貸借契約を解除しない場合,

(新規の入居者が見つかりそうにない場合,そのまま賃貸借契約を継続して,滞納家賃を保証人に請求しようと考えることがあります。)

そのような家主の行為は,信義則に反するので,

滞納家賃の一部について保証人の責任が免責されたり,

将来に向かって保証契約を解除できる場合があります。


さらに,保証人は賃借物件の「原状回復義務」も負担しますので,

賃貸借契約といえども,安易に保証人にならないようにしましょう。

2009年8月10日月曜日

家主=賃貸人の相続




家(マンション・アパートなど)を貸している人=家主=賃貸人が,亡くなった。

①相続発生前の賃料請求権,および,

 相続発生後から遺産分割協議までの賃料請求権は,

 家主の各共同相続人が,法定相続分にしたがって取得します。


*借家人からすると,家主の相続人を調査して支払うことになりそうですが,

ⅰ:通常は,不動産業者の口座に振り込むので,相続とは無関係であること。

ⅱ:家主の相続が発生しても,すぐに借家人に通知されることはなく,
  遺産分割協議成立後,賃料支払いの変更を通知されることが多いこと。

 から,借家人は,家主の相続について心配する必要はないと思います。


 ただし,家主の共同相続人の間で争いになったような場合,

 借家人は法務局に毎月の賃料を供託することになります。



②遺産分割協議「後」の賃料請求権は,遺産分割協議の内容にしたがって,分配することになります。


*なお,当然ながら,家主の相続人は敷金返還債務を承継します。

2009年8月9日日曜日

借家人の相続

◇ メール相談を承ります:相談料5250円(前払い):3回まで回答いたします。相談内容を下記のメールアドレスまで送信ください。 soudann@ishihara-shihou-gyosei.com 

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家(アパート,マンションなど)を借りている人が,亡くなった。

①相続発生時,賃料を滞納していたときは,

 各共同相続人は,滞納賃料合計を法定相続分に応じて分割した金額を,支払う義務があります。


②相続発生後の賃料は,

 各共同相続人につき,全額支払う義務があります。
 (一人が,家主に全額支払えば,他の人は支払義務を逃れます。
  全額払った人は,他の人に法定相続分に応じて,立て替えた金額を請求できます。)

③遺産分割協議により,この借家に住む相続人が決まった場合,以後,居住する相続人が賃料を支払うことになります。
 (ただし,家主がこの遺産分割協議に同意しない場合,共同相続人の内部関係はともかく,家主との関係では,共同相続人全員が,全額支払う義務を負うことになります。)

*借家権は,相続人が当然に承継できます。相続発生前と同じように,使用することができます。
  
*家主に対し,相続料のようなものを支払う義務はありません

2009年8月5日水曜日

生命保険金と相続放棄

生命保険の

 ①保険契約者(保険料の支払い者)

 ②被保険者(この人が亡くなった場合に保険金がおりる)

   ①②ともに,被相続人(亡くなった人)で,

 ③保険金の受取人が,相続人の場合,

 (一般的な生命保険契約は,①②③の要件を満たしています。)


 この生命保険金は,被相続人の相続財産には含まれ「ない」ので,

 相続人が,相続放棄をしても,生命保険金を受け取ることができます。

 
  (例)
     仮に,借金が1億円,生命保険金が5000万円の場合,

    このまま相続すると,マイナス5000万円ですが,

    相続放棄をすると,借金1億円は支払う必要がなく,

    なおかつ,保険金5000万円全額を受け取ることができます。

  
 *ただし,相続「税」の納税義務が生じる場合があります。