2012年1月30日月曜日

遺留分減殺請求と相続分の指定,特別受益の持戻免除の意思表示に関する判例

事件番号 平成23(許)25

事件名 遺産分割審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件

裁判年月日 平成24年01月26日 最高裁判所第一小法廷  決定  

破棄差戻し

  裁判要旨 

1 遺留分減殺請求により相続分の指定が減殺された場合には,遺留分割合を超える相続分を指定された相続人の指定相続分が,その遺留分割合を超える部分の割合に応じて修正される



2 特別受益に当たる贈与についてされた持戻し免除の意思表示が遺留分減殺請求により減殺された場合,当該贈与に係る財産の価額は,遺留分を侵害する限度で,遺留分権利者の相続分に加算され,当該贈与を受けた相続人の相続分から控除される

最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81945&hanreiKbn=02

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2012年1月28日土曜日

嫡出子と同じ割合による遺留分減殺請求権に基づく請求を認めた下級審判例

事件番号 平成23(ネ)866

事件名 遺留分減殺請求控訴事件

裁判年月日 平成23年12月21日

 裁判所名・部 名古屋高等裁判所  

民事第3部 

判示事項の要旨  

父である被相続人の非嫡出子として出生した控訴人が,

遺産のすべてを控訴人出生後に婚姻した妻に遺贈したことについて,

遺留分減殺請求をし,その遺留分について非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1と定める民法900条4号ただし書及びこれを準用する同法1044条は憲法14条1項に違反して無効であるから,嫡出子と同じ割合の遺留分を有すると主張して,

上記妻の相続人である被控訴人らに対し,遺留分減殺請求権に基づく土地所有権の一部移転登記手続等を求めた訴訟において,

被相続人が1度も婚姻したことがない状態でその非嫡出子として出生した子について,

被相続人がその後婚姻した者との間に出生した嫡出子との関係で民法900条4号ただし書を準用する民法1044条を適用することは,その限度で憲法14条1項に違反して無効であるとして,

嫡出子と同じ割合による遺留分減殺請求権に基づく請求を認めた事案



最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81940&hanreiKbn=04
 
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2012年1月27日金曜日

相続人が電鉄会社を訴えたら,反訴されて,本訴棄却,反訴が一部認容された事例

事件番号 平成22(ワ)6406

 事件名 損害賠償請求事件

裁判年月日 平成24年01月11日 大阪地方裁判所  第15民事部

 判示事項の要旨 

花粉症の薬と飲酒の影響でプラットホームから転落して線路上に仰臥していた会社員が,電車に轢かれて死亡した事故につき,電鉄会社のホーム柵設置等の義務違反を否定し,電鉄会社の損害賠償責任を否定した事例(本訴)



上記事故につき,会社員の過失の程度が大きくなかったことや,電鉄会社が乗客のプラットホームからの転落防止につき万全の回避措置をとっていたわけではないことを考慮して民法722条2項を類推適用し,会社員の相続人が電鉄会社に対して賠償すべき損害の額を減額した事例(反訴)


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「一般に,ホーム上の高度の危険性に関しては,鉄道事業者が事故防止のために人的体制及び物的設備を整えるべき注意義務を負っている一方,利用客も自ら危険から身を守るよう心掛けることを求められており,鉄道事業の公共性の観点からも,鉄道事業者と利用客の双方が,事故防止に向けて対策を講じ,また注意して行動することにより,協力してホームにおける安全維持が実現されている状況にあるものといえる。」

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2012年1月21日土曜日

遺産共有と不当利得に関する判例



事件番号 平成9(オ)1876


事件名 建物収去土地明渡等本訴請求、土地所有権確認等反訴請求、土地持分移転登記手続等反訴請求控訴、同附帯控訴事件


裁判年月日 平成12年04月07日 法廷名 最高裁判所第二小法廷  判決  集民 第198号1頁


 判示事項 


一 不動産の共有者が当該不動産を単独で占有する他の共有者に対し不当利得返還請求ないし損害賠償請求をすることの可否




二 請求の一部についての予備的な請求原因となるべき相続取得の主張を原告がしていなくても裁判所は被相続人の死亡等の事実をしんしゃくすべきであるとされた事例


裁判要旨


 一 不動産の共有者は、当該不動産を単独で占有することができる権原がないのにこれを単独で占有している他の共有者に対し、自己の持分割合に応じて占有部分に係る賃料相当額の不当利得金ないし損害賠償金の支払を請求することができる。


二 原告が、夫の父が土地を夫に贈与し夫から右土地を相続取得したと主張して、右土地を占有する被告らに対し地代相当損害金等を請求する訴訟において、裁判所は、当事者の主張に基づいて右父の死亡、夫がその相続人の一人であること等の事実を確定した以上、右死亡により夫が右土地の持分を相続取得したことを原告が主張しなかったとしても、適切に釈明権を行使するなどした上でこれらの事実をしんしゃくし、夫の相続による持分の取得及び原告の相続による当該持分の取得を理由に原告の請求の一部を認容すべきであるかどうかについて審理判断すべきである。


最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62817&hanreiKbn=02
 
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2012年1月20日金曜日

遺産共有と使用貸借に関する判例


事件番号 平成5(オ)1946


事件名 土地建物共有物分割等


 裁判年月日 平成8年12月17日


法廷名 最高裁判所第三小法廷  判決  破棄差戻し  民集 第50巻10号2778頁


判示事項 


遺産である建物の相続開始後の使用について被相続人と相続人との間に使用貸借契約の成立が推認される場合






裁判要旨


 共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、特段の事情のない限り、被相続人と右の相続人との間において、右建物について、相続開始時を始期とし、遺産分割時を終期とする使用貸借契約が成立していたものと推認される。


最高裁HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52508&hanreiKbn=02
 
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2012年1月19日木曜日

遺産共有と明渡しに関する判例

事件番号 昭和38(オ)1021


事件名 土地所有権確認等請求および反訴請求


裁判年月日 昭和41年05月19日 法廷名 最高裁判所第一小法廷  判決  民集 第20巻5号947頁 3日


判示事項 


共有物の持分の価格が過半数をこえる者が共有物を単独で占有する他の共有者に対して共有物の明渡請求をすることができるか。


裁判要旨 


共有物の持分の価格が過半数をこえる者は、共有物を単独で占有する他の共有者に対し、当然には、その占有する共有物の明渡を請求することができない。


最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=57745&hanreiKbn=02
 
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2012年1月6日金曜日

身分変動と遺言書




被相続人が,「代襲相続人ではない孫」に対し,


相続させる旨の遺言をしていた場合,


孫が相続人になることはないのですが,


被相続人の孫に財産をあげる意思は明確です。


よって,遺贈の趣旨と解して,


当該遺言書に基づき遺贈の登記ができるようです。


(登記研究766号110頁 藤原勇喜 参照)


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2012年1月5日木曜日

寡婦年金

寡婦年金は,

①夫が障害基礎年金の受給権者であったことがあるとき(障害基礎年金を現実に受給していない場合も含む),

または,

②夫が老齢基礎年金の支給を受けていたとき(老齢基礎年金の最初の支給期が到来したというだけでは足りないが,妻が未支給年金の支給を請求し,その支給を受けた場合は,夫が老齢基礎年金の支給を受けていたときに当たる=平成15年9月30日裁決)

には,支給されません。

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2012年1月1日日曜日

公正証書遺言の検索システム

公正証書遺言を作成した場合,


遺言者の死後,相続人は公証役場の検索システムにより,


公正証書遺言の存在を検索できます。


直近の遺言だけでなく,過去に作成した撤回された遺言も検索できます。


そのため,撤回された遺言において有利な相続人は,


直近の遺言が無効になった場合,撤回された遺言が有効になるので,


直近の遺言の無効を主張して訴訟に発展する可能性があります。


これを回避するには,すべての遺言を自筆証書遺言で作成することになるようです。




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