2009年9月30日水曜日

贈与税の配偶者控除

相続税の軽減方法の一つとして,

配偶者に対する,居住用不動産の贈与があります。

通常は,贈与税が課税されるはずですが,

婚姻期間20年以上の夫婦の間で居住用不動産の贈与が行われ、

一定の条件に当てはまる場合には贈与税の配偶者控除が受けられます。


*婚姻届出をしていない,いわゆる内縁関係では,

贈与税の配偶者控除が認められません


相続税の軽減という点からは,

この配偶者控除を使って,配偶者に対する贈与をしておいて,損はないと思います。

ただし,贈与後,夫婦の仲が悪くなって・・・という可能性がないとは言えないので,

相続税以外のことも,よく考えてください。


他の要件も含めて,詳しいことは,国税庁のHPをご覧ください。

1 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
 http://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4452.htm

2 配偶者控除の対象となる居住用不動産の範囲  http://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4455.htm

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2009年9月26日土曜日

遺産分割調停,遺産分割審判




共同相続人の間で,遺産分割協議が成立しないときは,

家庭裁判所の

遺産分割調停(裁判所の調停委員を交えた共同相続人の話し合い)または,

遺産分割審判(裁判所の一方的な決定)により,

遺産を分割することになります。


平成19年の最高裁判所の統計によると

(1)遺産分割事件の平均審理期間は,

約1年(12.6ヵ月)です。

やはり,遺産額が多い場合や,相続人の数が多い場合は,

審理期間が長くなっているようです。


(2) 67.2%は,1年以内に遺産分割事件が終了しているようです。

ただし,67.2%の中には,調停不成立,取下げなど,

遺産分割が成立せず,終了した事件も含んでいます


(3)遺産分割事件の終局区分別割合によると,

62.1%が遺産分割の調停成立(話合いで合意が成立した)で終了しています。

ただし,審理期間の内訳は,示されていません。

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【最高裁判所HP】 

裁判の迅速化に係る検証に関する検討会(第26回)

平成19年 遺産分割事件等の審理について(PDF)

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(遺産の分割の協議又は審判等)
民法
第九百七条  共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。
 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。
 前項の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。
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家事審判法
第九条  家庭裁判所は、次に掲げる事項について審判を行う。

甲類 省略

乙類
一から九 省略

十 民法第九百七条第二項 及び第三項 の規定による遺産の分割に関する処分

家事審判法
第十一条  家庭裁判所は、何時でも、職権で第九条第一項乙類に規定する審判事件を調停に付することができる。

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2009年9月24日木曜日

遺体・遺骨の承継

被相続人の「遺体」や「遺骨」は,

相続人や喪主ではなく

祭祀承継者に帰属することになります(最高裁判所平成1年7月18日判決)。

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2009年9月19日土曜日

遺贈の無効

遺贈(遺言による贈与)が,効になる場合の一つに,

遺贈の目的である権利や財産が,遺言者の死亡時において,

相続財産に属していなかったとき,があります。

つまり,遺言者が遺贈の目的物(権利や財産)を所有しているのであれば,

所有者として,目的物の処分権限があるので,

だれに目的物を遺贈するかは,遺言者が自由に決定できます。

しかし,そもそも,遺贈の目的物を所有していない場合は,

目的物の処分権限がないので,遺言者が原則としては,

その目的物を遺贈することはできない,ということです。


*ただし,遺言者が,ぜひとも,その目的物を遺贈したいと願うのであれば,

例外的に,その遺言は有効になります。

その場合は,相続人や遺言執行者は,

その目的物を入手して,遺言内容を実現することになります。

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(相続財産に属しない権利の遺贈)
民法
第九百九十六条  遺贈は、その目的である権利が遺言者の死亡の時において相続財産に属しなかったときは、その効力を生じない。ただし、その権利が相続財産に属するかどうかにかかわらず、これを遺贈の目的としたものと認められるときは、この限りでない。

第九百九十七条  相続財産に属しない権利を目的とする遺贈が前条ただし書の規定により有効であるときは、遺贈義務者は、その権利を取得して受遺者に移転する義務を負う。
 前項の場合において、同項に規定する権利を取得することができないとき、又はこれを取得するについて過分の費用を要するときは、遺贈義務者は、その価額を弁償しなければならない。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

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2009年9月17日木曜日

相続登記

相続登記とは,被相続人名義の不動産を

相続人の名義に変更する手続です。

*遺産分割協議書の作成のみの場合,相続人の間では有効ですが,

第三者には,名義変更を主張できません

相続登記をすれば,第三者にも名義変更を主張できます


不動産の所有者には,固定資産税が課税されます。

相続登記をしなくても,市町村に固定資産税を納税していれば,

特に,市町村から問い合わせはありません。

(通常は,相続が発生したら,市町村に納税義務者変更(所有者変更)の届け出をします。)


つまり,相続登記をするかしないかは,原則として相続人の自由です。

*被相続人が,銀行から不動産を担保にお金を借りていた場合などは,相続登記が必要になります。


相続登記をすると,司法書士報酬と税金を含めると,最低10万円は必要になります。

*都市部は地価が高いので,税金も高くなります。固定資産税の評価額の0.4%です。


「夫婦」と「子ども1人」の家族において,夫名義の不動産について,夫の相続発生後,

①妻名義にもしないし,子ども名義にもせず,妻死亡時に相続登記することを考えている場合。

(現時点では,夫名義のまま放置状態。)

②妻名義にせず,子ども名義に変更すれば,妻名義の相続登記の費用を節約できるので,

夫から直接,子ども名義に相続登記をする場合。


<問題点>
①の場合つき,相続後,子どもが借金のため破産することになった場合,

不動産の2分の1は,子どもの財産ですので,

売却して現金化し,2分の1を裁判所に差し出すか,

売却せずに,妻が2分の1相当額を現金で裁判所に差し出すことになります。

(妻が,夫死亡後,不動産に居住し続けている場合,大変な問題になります。)


②の場合につき,相続後,「妻」と「子ども夫婦」の仲が悪くなった場合,

不動産の名義人である子どもの方が,事実上有利な立場になります。


事案によって異なりますが,が自分の立場を守ろうと思えば,

やはり,妻名義の相続登記をしておくのが無難です。

子どもが,複数いた場合は,妻(親)名義にした方が,子どもたちの間の納得も得やすいように思います。

(長男が妻(親)の世話をすることを条件に長男名義に変更したところ,

妻(親)の世話を放棄してしまった,という場合は,結構あるようです。)

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2009年9月16日水曜日

遺言内容に反する遺産分割協議

◇ メール相談を承ります:相談料5250円(前払い):3回まで回答いたします。相談内容を下記のメールアドレスまで送信ください。 soudann@ishihara-shihou-gyosei.com 

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遺言内容に反する,遺産分割協議をすることもできます

遺言で財産を多くもらえる相続人が,他の相続人との関係を考慮して,

あえて,遺言内容に反する遺産分割協議をすることがあります。

亡くなった被相続人の意思よりも,共同相続人全員の合意があるのであれば,

共同相続人の意思を尊重しよう,ということです。

このような,遺産分割協議も効です。

いったん,遺産分割協議が成立してしまうと,

遺言で財産を多くもらえたはずの相続人は,後になってから,

「やっぱり遺言内容のとおり,遺産を分配せよ。」とは,言うことができません

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2009年9月15日火曜日

限定承認

限定承認というのは,

相続財産が,プラス超過になるのか,マイナス超過になるのかを把握できない場合に行う方法です。

原則として,相続開始から3ヵ月以内に,相続人は,

①単純承認(プラスの財産もマイナス財産も承継する)

②限定承認

③相続放棄(プラスの財産もマイナス財産も承継しない)

①②③のいずれかを選択する必要があります。


仮に相続財産につき,マイナスの財産が多かった場合,

①単純承認した相続人は,

承継した相続財産では足りない,不足分を自己の財産で弁済することになります。

③相続放棄した相続人は,

マイナスの財産を承継しないので,自己の財産で弁済することはありません。

②限定承認した相続人は,

承継した相続財産では足りない,不足分を自己の財産で弁済する必要がありません。

しかも,仮に相続財産につき,プラスの財産が多かった場合は,

マイナスの財産の弁済後,余ったプラスの財産を相続できます。


*相続開始時に,相続財産の内容が確定していれば,

通常は,単純承認か相続放棄を選択します。


限定承認をするには,原則として相続開始後,3ヵ月以内に家庭裁判所に申立てる必要があります。

しかし,限定承認は,あまり利用されていません。

①相続人全員で限定承認する必要があること。

②被相続人から相続人に対し資産の譲渡があったとみなされ,譲渡所得などの課税がされること。

③マイナスの財産に対する,弁済の手続が複雑なこと

などが,理由とされています。

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(相続の承認又は放棄をすべき期間)
民法
第九百十五条  相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

(限定承認の方式)
第九百二十四条  相続人は、限定承認をしようとするときは、第九百十五条第一項の期間内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない。

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2009年9月14日月曜日

姻族関係の終了





夫婦は,死別したとしても,

亡くなった夫(妻)の親族との親戚関係は存続します。

(例)夫が,姑より先に亡くなったとしても,妻と姑の親戚関係はそのままです。

そこで,妻は,姻族関係終了の届け出を市役所に提出することで,

姑との親戚関係を断ち切ることができます。

 *この届け出は,妻の一方的意思表示ですることができます。

  (舅や姑の同意は不要です。)


そもそも,妻(夫)は,舅や姑と血族関係はありません。

離婚すれば,夫(妻)はもちろん,舅や姑とも親戚関係が消滅します。

しかし,法律上,死後離婚は認められていないので,

生存している妻(夫)は,姻族関係終了の届け出をすることで,

夫(妻)の親族と親戚関係を切ることができます。


姻族関係終了の届け出をした妻(夫)は,舅や姑に対する扶養義務が消滅します。

つまり,法的には,舅や姑の世話をする必要がなくなります。

*ただし,夫婦の子である,舅や姑の孫には,

直系血族として,祖父(舅)や祖母(姑)の扶養義務があります。
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(離婚等による姻族関係の終了)
民法
第七百二十八条  姻族関係は、離婚によって終了する。
 夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。
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2009年9月11日金曜日

相続の承認および相続放棄の撤回

いったん,相続を承認(相続放棄は,しないこと。被相続人のマイナスの財産も含めて相続すること)したり,

相続放棄(相続を承認しないこと)をしたりすると,

たとえ,相続開始後3ヵ月以内であっても,

もはや,相続の承認および相続放棄を撤回する(取り消す)ことはできません。

*ただし,原因が詐欺・強迫,錯誤(勘違い)等に基づく場合,

撤回が認められるときがあります。
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(相続の承認又は放棄をすべき期間)
民法
第九百十五条  相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)
民法
第九百十九条  相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。
 前項の規定は、第一編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。
 前項の取消権は、追認をすることができる時から六箇月間行使しないときは、時効によって消滅する。相続の承認又は放棄の時から十年を経過したときも、同様とする。
 第二項の規定により限定承認又は相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
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2009年9月10日木曜日

死後離縁




養子縁組の当事者である,養親,または,養子の死亡後でも

生存している当事者は,家庭裁判所の許可を得て,離縁できます。

これを,死後離縁と言います。

(例)養子縁組後に生まれた,養子の子は,

養子が養親より先になくなった場合,養子の代襲相続人として,養親の相続人になります。

しかし,養親が死後離縁の申立てをして,家庭裁判所が許可を出すと,

養子の子は,養親との親族関係が無くなるため,

の相続において,相続人になれません

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(協議上の離縁等)
民法
第八百十一条  縁組の当事者は、その協議で、離縁をすることができる。
 養子が十五歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする。
 前項の場合において、養子の父母が離婚しているときは、その協議で、その一方を養子の離縁後にその親権者となるべき者と定めなければならない。
 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項の父若しくは母又は養親の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
 第二項の法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求によって、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任する。
 縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。
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2009年9月9日水曜日

離縁による親族関係の終了


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婚姻に離があるように,

養子縁組については,離があります。

離縁をすると,養親と養子との親族関係がなくなります。

したがって,離縁をすると,養子は養親の相続人ではなくなります。

*ところで,婿養子の場合,

 1:養親と養子との養子縁組と

 2:養親の娘と養子との婚姻とが,

 組み合わさっているのですが,法律上は,養子縁組と婚姻は,別々の制度なので,

婚姻関係が破綻したからといって,当然に養子縁組関係も破綻しているとは,

認定されません。

協議離縁(話合いの離縁)が成立しない場合は,裁判離縁をしなければなりません。

離縁が成立しなければ,養子は相続人のままです。

婿養子をする場合は,慎重に考えましょう。

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(離縁による親族関係の終了)

民法
第七百二十九条  養子及びその配偶者並びに養子の直系卑属及びその配偶者と養親及びその血族との親族関係は、離縁によって終了する。

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2009年9月7日月曜日

遺言の撤回権

遺言の撤回権(遺言を取り消す権利)は,放棄できません

(例) 
 1:遺言書において,「この遺言書が最終遺言である。」と記載していても,
 
  後の遺言書で,新たな遺言をすることができます。

 2:遺言により財産を取得する相続人との間で,「この遺言は撤回しない。」と約束をしても,

  撤回することができます。

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(遺言の撤回権の放棄の禁止)
民法
第千二十六条  遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない。

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2009年9月6日日曜日

養子の相続権

養子は,親(血縁上の親)および親(養子になった親)の相続権があります。

1 養親の相続につき,養子の法定相続分は,養親の実子の法定相続分と同じです。

(例)婿養子になった場合,養子とその妻の法定相続分は,同じになります。


2 実親の相続につき,養子になったこととは関係なく,他の兄弟と法定相続分は同じになります。

(ただし,非嫡出子(婚姻外の子)の法定相続分は,嫡出子の法定相続分の2分の1になります。)


*なお,上記のような,通常の養子(普通養子といいます。)に対し,

「特別養子」という,養子制度があります。この場合は,実親(血縁上の親)の相続権がありません。

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2009年9月5日土曜日

遺言執行者

遺言の内容として,遺言執行者指定しておくと,

遺言の実現(遺言の執行)を図ることができます。

遺言執行者が,指定されており,その指定された人が遺言執行者に就任した場合は,

相続人が,遺言執行者の職務を妨害する行為(勝手に,遺産を売却するなど)をしたとしても,

その行為は,効になります。


*なお,遺言執行者を指定するだけでなく,具体的な職務権限を明記しておくべきです。

(例) 遺言者名義の〇〇銀行△支店のすべての預金を全額払い戻す権限



*指定された遺言執行者は,就任の諾否の自由があります。
  
 つまり,就任を拒絶することもできます。


*遺言の内容で,遺言執行者の指定が無い場合でも,

利害関係人(相続人など)は,遺言執行者の選任を家庭裁判所に請求できます。

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(遺言執行者の任務の開始)
民法
第千七条  遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。

(遺言執行者の選任)
民法
第千十条  遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。
(相続財産の目録の作成)

(遺言執行者の権利義務)
民法
第千十二条  遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
 第六百四十四条から第六百四十七条まで及び第六百五十条の規定は、遺言執行者について準用する。

(遺言の執行の妨害行為の禁止)
民法
第千十三条  遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。

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2009年9月1日火曜日

相続分の公平

遺産を分配するに当たり,

被相続人の生前に,すでに贈与により財産をもらっている相続人と

贈与をもらっていない(贈与の金額が少ない)相続人とが,

遺産を法定相続分どおりに分配すると,不公平が生じます。

そこで,被相続人の生きている間に,贈与により財産を取得した相続人については,

贈与財産は,遺産の前渡しであるから,

相続発生時の遺産分配において,清算することになります。

*ただし,被相続人が,その贈与について,

「遺産分配に当たり清算する必要はない。」との意思表示をしていれば,

その贈与をもらった相続人は,贈与分について得をすることになります。

*被相続人の贈与が,遺留分を侵害するほど,多額な場合は,

相続分が少ない相続人は,贈与をもらった相続人に遺留分減殺請求することができます。


*なお,遺産分割協議において,共同相続人「全員の同意」があれば,

遺産の分配金額,分配方法は,自由に決めることができます。

つまり,不公平な分配もできます。

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(特別受益者の相続分)
民法
第九百三条  共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。

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