2017年3月13日月曜日

配偶者に贈与住居、結婚20年で遺産額に含めず(改正案)



(1)相続法の改正案について,詳細は不明ですが,仮に遺留分の対象にもならないとすると,

被相続人(夫)がいて,その相続人として配偶者(妻),先妻の子がいる場合で,
遺産が居住用不動産しかないときは,
先妻の子が相続できる遺産は存在しないことになり,
その後,父の後妻が死亡した場合は,先妻の子は相続人になれませんので,父の後妻の相続人が居住用不動産を相続することになってしまいます。
ただし,配偶者に遺言や生前贈与をした場合に限り,遺産全体に含まない,とのことですので,被相続人が遺言や生前贈与をしなければ,そのような問題は生じないことになります。
 仮に遺留分の対象にもならないというのであれば,被相続人のいわゆる自由分が居住用不動産に限定して拡大したということになります。


(2)被相続人が,配偶者に居住用不動産を生前贈与したが,その後,夫婦仲が悪化したということがあります。
被相続人の一方的な意思表示で,贈与契約を解除することができないのは当然です。
しかしながら,この被相続人の相続発生時の遺産に含めないという意思表示(?)について,撤回できるのかどうかが気になるところです。


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配偶者に贈与住居、結婚20年で遺産額に含めず
2017年03月13日 13時10分

相続制度の見直しに向けた民法改正について検討している法務省が、新たな配偶者の優遇案をまとめた。

 結婚から20年以上過ぎた夫婦の場合、配偶者に贈与された住居については全体の遺産額に含めないとする内容で、配偶者のその後の経済的な安定につなげる狙いがある。

 新たな案は、昨年11月に法制審議会(法相の諮問機関)の相続関係部会に示された。先月末の部会で基本的な賛同を得ており、民法改正案に盛り込まれる見通しだ。結婚から20年以上が過ぎた夫婦で、配偶者から遺言や生前贈与で譲り受けた住宅や敷地は、贈与した人が死亡し、相続人で遺産を分け合う際に全体の遺産額には含めない。



読売新聞HP
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170313-OYT1T50108.html?from=ytop_main2


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札幌市中央区 石原拓郎 司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所
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2017年3月4日土曜日

最大決平成28年12月19日の調査官解説

平成27(許)11
遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件


最高裁判所大法廷平成28年12月19日決定(民集70巻8号登載予定)


裁判要旨
 共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となる


上記最大決の調査官解説が,ジュリスト2017年3月号に掲載されています。


上記調査官解説によりますと,最判昭29年4月8日民集8巻4号819頁を変更したものではない,とのことです。

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