2017年5月21日日曜日

登記官に対する審査請求(不動産登記)

登記研究829号(平成29年3月号)の1頁以下に,


「行政不服審査法等の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて」


法務省訟務局訟務企画課訟務調査室訟務調査係長
(前法務省民事局民事第二課法規係長)
中山 隆弘


法務省民事局民事第二課法規係長
金森 真吾


の両氏の見解が記載されています。


行政不服審査法(平成26年法律第68号)及び行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(平成26年第69号)が,


平成28年4月1日に施行され,


同日以降にされた登記官の処分又はその不作為については,行審法及び整備法による改正後の不動産登記法(平成16年法律第23号)の規定が適用されることとなった。


不動産登記について,登記官の処分に不服のある者又は登記官の不作為に係る処分を申請した者は,監督法務局長等に,登記官を経由して,審査請求をすることができる(不動産登記法第156条第1項,第2項)。




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幌市中央区 石原拓郎 司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所

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2017年5月2日火曜日

数次相続と全部相続させる遺言



登記研究平成29年4月号(830号)の175頁の質疑応答によりますと,


土地の所有権の登記名義人甲が平成26年に死亡し,乙と丙が相続したが,相続登記が未了のうちに丙が平成27年に死亡し,その法定相続人はAとBである場合において,


①丙名義の「全ての相続財産をAに相続させる」旨の公正証書による遺言書
及び
②乙が土地を取得する旨に加えて,Bによる遺留分減殺請求権の行使がない旨の記載(又は上申書)がある乙名義とA名義の遺産分割協議書


を添付して,甲から乙への相続による所有権の移転の登記が申請されたときは,これを実行して差し支えない。


遺産分割協議「前」にBによる遺留分減殺請求権の行使がされていたときは,乙,A及びBが遺産分割の協議を行う必要がある。


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上記の質疑応答によると,遺留分権利者が存在していても,遺産分割協議が遺留分減殺請求権の行使前であれば,遺留分権利者の遺産分割協議の参加は不要との見解ですので,


法定相続人の一部を除く相続分の指定の事例で,遺留分権利者が存在する場合は遺産分割協議に参加しなければならない(又は遺留分放棄書を添付)という「カウンター相談Ⅱの141頁」の見解を


変更しているように思われます。


そもそも,「カウンター相談Ⅱの141頁」の見解は,遺留分減殺請求権の行使の有無を無視しているので,上記の質疑応答の見解が正しいと思います。


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