2014年10月24日金曜日

代償金を確実に受け取る方法(代償分割)



遺産分割協議において,



ある不動産について,その不動産に居住している相続人が相続し,

他の相続人は,その代償として現金をもらう方法(代償分割)があります。



ところが,約束どおり代償金を支払ってくれない場合があります。



代償金を確実に受け取る方法としては,





①代償金を一括で支払ってもらえる場合は,



ある相続人に不動産の名義変更(相続登記)をする際に,司法書士に依頼し,



司法書士が名義変更の必要書類を預かり,他の相続人からの代償金が入金されたとの連絡を受けて,名義変更の申請をすることで,
名義変更の必要書類の受け渡しと代償金の受け取りの両方を確保することができます。



不動産を相続する相続人からすると,必要書類がそろっていなければ名義変更ができないので,代償金を先に支払うと必要書類を交付してくれない可能性があります。

代償金を受け取る相続人からすると,必要書類を先に渡すと代償金を支払ってもらえない可能性があります。

そこで,不動産の名義変更の専門家であり,公正中立な司法書士が介入することにより,


不動産の名義変更と代償金の受け取りを同時交換的におこなうことが可能となります。



②代償金の支払いが分割になる場合は,



代償金の支払いが滞った場合に備えて,不動産に抵当権を設定しましょう。



代償金の支払いが滞った場合は,抵当権を実行して,不動産を競売にかけます。(ただし,競売をしても落札がない場合や落札価格が低い場合は,代償金を回収できないことになります。やはり,分割払いの場合はリスクを伴います。)

抵当権を設定する場合は,
まず相続による不動産の名義変更(相続登記)をして,つぎに抵当権設定登記をします。



したがって,相続による不動産の名義変更の申請書類と抵当権設定登記の申請書類を連続して,法務局に提出する必要があります。
やはり,ここでも専門家である司法書士に依頼することにより,不備のない申請書類を作成してもらうことにより,代償金の受け取りが確実になります。

司法書士の立ち会いの下,名義変更の必要書類と抵当権設定登記の必要書類に署名押印することで,名義変更と抵当権設定登記を同時交換的におこなうことが可能になります。
なお,抵当権設定の登記原因証明情報については,工夫を要します。


当事務所では,代償分割のご依頼を承っております。


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com
















2014年10月23日木曜日

身寄りのない賃借人が死亡した場合の後始末(北海道 札幌)



身寄りのない賃借人が死亡した場合,賃貸物件の明け渡しをどのようにおこなうのかが問題となります。


身の回りの生活用品の撤去などの後始末=遺品整理はどうすればよいのでしょうか。




賃貸人が勝手に賃借人の生活用品などを撤去すると相続人に対する不法行為になります。


本人が身寄りはいないと言っていたとしても,真実は相続人がいる場合も少なくありません。相続人の調査は,出生から死亡までの戸籍謄本を調査し,甥姪の有無まで調査しなければなりません。


費用対効果の関係で,法的対応はなかなか難しいものとなります。


そこで,賃借人死亡後であれば,対応方法が難しいですが,


賃借人の死亡前であれば,仮に相続人がいたとしても,対応策をとることにより,死亡後の賃貸物件の明け渡しを合法的におこなうことが可能になります。


身寄りのない賃借人が入居してる賃貸人や不動産管理会社の方は,当事務所までご相談ください。


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com








身寄りのない人(札幌市)



◇札幌,石狩,小樽,江別,岩見沢,北広島,恵庭,千歳,

札幌市中央区 石原拓郎 司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所
当事務所のHP 
http://ishihara-shihou-gyosei.com/


当事務所では,見守り契約・任意後見契約・死後事務委任契約・遺言書の作成を承っています。


当事務所では,原則として「財産管理契約」の締結は,お断りしております。元気なうちは,本人が財産管理をすべきと考えているからです。


財産管理契約は,任意後見契約と異なり,監督人がおらず,財産が横領されやすいからです。


当事務所は,適正報酬のご提案を心がけております。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
(1)身寄りのない人は,元気なうちは良いですが,認知症などにより判断能力を喪失した場合に問題が生じます。


最終的には,地方公共団体が対応してくれますが,すぐに気づいてもらえるとは限りません。


(2)そこで,依頼者が司法書士との間で,①見守り契約と②任意後見契約を締結することで,徐々に進行する判断能力のおとろえに備えることができます。


元気なうちは,①見守り契約に基づき,月に数回の訪問によって依頼者の日常生活を見守ります。


判断能力がおとろえた場合は,②任意後見契約に基づき,家庭裁判所で任意後見監督人を選任してもらい,司法書士が任意後見監督人の監督のもと,任意後見人となって,依頼者の介護福祉サービス契約・入院契約の締結,財産管理などを行います。


(3)さらに,依頼者と司法書士との間で,死後事務委任契約を締結することで,司法書士が依頼者の死亡後の手続き(葬儀,納骨,遺品整理)などを行うこともできます。


(4)相続財産の処分方針を決定するには,遺言書の作成が必要になります。遺言書の作成を司法書士に依頼し,遺言執行者に就任してもらうことで,相続財産の処分をスムーズに行うこともできます。



2014年10月20日月曜日

「花押は印」認める判決、遺言書有効と判断

本件は,結果論として救済されたからよかったですが,


そもそも,自筆証書遺言の作成を専門家に相談していなかったのか失敗でしょう。


相談していれば,遺言無効の訴訟を起こされることはなかったはずです。


記事には,「伝統的な文書成立の証明方法に、司法がお墨付きを与えた形だ。 」と記載されていますが,一般化できるかどうかは疑問です。


最高裁判例には,サインをもって押印の代わりとして認めた ものがありますが,日本に帰化した白系ロシア人という特殊性のある事案であり,本件も,琉球王朝の末裔であり,生前職場で多様していたという特殊性が考慮されているからです。 


(10月24日追記 福岡高判那覇支部も有効と判断したようです。)    


遺言書の「花押」有効と判決
高裁那覇支部、一審を支持

 遺産相続の遺言書に使われる「印」の代わりに、戦国武将らのサインとして知られる「花押」の使用は有効かどうかが争われた訴訟の判決で、福岡高裁那覇支部は23日、印と認定できると判断した一審那覇地裁判決を支持し、遺言書を有効と認めた。

 民法は遺言書の要件として印を求めている。中国に起源のある花押は、豊臣秀吉ら歴史上の人物が使ったほか、現在も閣議書を回覧する「持ち回り閣議」で大臣が使用することがある。遺産相続に詳しいNPO法人「遺言・相続リーガルネットワーク」(東京)の中根秀樹弁護士によると、花押が印として認められた司法判断は極めて珍しい。(共同通信)
             





^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


2014年10月16日


戦国武将らに使われてきた手書きのサイン「花押かおう」が記された遺言書の有効性が争われた訴訟の判決で、那覇地裁が、花押について、民法が遺言書に必要とする「印」と認めていたことがわかった。判決は「文書作成者の特定に使われてきた歴史がある」とし、遺言書も有効と判断。伝統的な文書成立の証明方法に、司法がお墨付きを与えた形だ。

 判決などによると、遺言書は、琉球王国の名家の末裔まつえいにあたる沖縄県内の男性の名義。男性は2003年に85歳で死亡し、遺言書には、息子3人のうち、地元に住み続けて関係が良好だった次男に山林などの不動産をすべて譲るとする内容が書かれていた。
 民法968条は、本人が遺言書を作成したことを厳格に証明するため、署名と「印」の両方をつけるよう規定。認め印や指印も有効だが、男性は末尾に署名はしたものの押印せず、花押を記していた。
 長男と三男は「遺言書は無効」と訴え、10年近く話し合ったが、解決せず、次男が12年、有効と認めるよう求めて那覇地裁に提訴。裁判で長男と三男は「現代社会で、本人確認のために花押を使う慣行はない」と主張した。

 これに対し、今年3月の判決は、花押が平安時代から文書の作成者を明らかにする目的で使われ、認め印よりも偽造が困難だと指摘。男性が生前、職場の寄せ書きなどに同じ花押を多用していた点も踏まえ、「男性の押印と認めるのが相当で、遺言書は有効」とした。


読売新聞HP


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com

2014年10月16日木曜日

遺産分割協議の実効性を確保する方法

(1)遺産分割協議はいったん成立してしまうと,遺産分割協議の約束が反故にされても,遺産分割協議を解除することはできません。


(判例は,遺産分割協議について債務不履行による解除を認めません。)


そこで,遺産分割協議の実効性確保の問題が生じます。


遺産分割協議で,ある相続人が不動産を取得する場合において,


他の相続人に対して,代償金の支払いや扶養料の支払いを条件とする場合があります。


一般的な方法として,遺産分割協議の内容を担保させるため,遺産分割協議の条件違反に違約罰を定めることができます。




(2)解除ができないことを補うために次の方法が考えられます。


抵当権設定契約の内容をどうするかが,ポイントになりますが,


代償金が分割払いの場合は,代償金債権を被担保債権として


扶養料の支払いを条件とする場合は,扶養料債権を被担保債権として


損害賠償額の予約を定める場合は,債務不履行を条件とする損害賠償債権を被担保債権として


それぞれ抵当権の設定登記をしておく方法があります。






(3)抵当権設定契約の内容は難しいので,専門家に依頼ください。




^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com




2014年10月15日水曜日

貸したお金を返してもらえない場合の損害賠償



貸したお金を返してもらえ場合は,元本(元金)のほかに損害賠償を請求することができます。


利息の約束をしていない場合は,


民法419条第1項により,返済期限から返済があるまでの期間について,法定利率(民事なら年5%,商事なら年6%)によって計算した金額を損害賠償として請求することができます。




なお,民法419条1項により,下記①②③の損害賠償を請求することはできません。これを金銭債務の特則といいます。


①借主が,行方不明なったので,弁護士や探偵に調査を依頼したり,貸主が探し回ったりした費用


②借主が返済しなかったために,そのお金を運用できず,ある出来事を断念したことによる損失


③借主が死亡したので,相続人を調査した費用




*つまり,とくに利息の約束をしていない場合は,損害賠償額は,法定利率に限られるということです。




^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com




2014年10月12日日曜日

札幌 借金の消滅時効の援用(内容証明)の失敗

◇昔の借金について,借主がまちがった対応をすると,消滅時効が中断して,消滅時効の主張ができなくなってしまうので注意が必要です。消滅時効の援用は専門家に依頼した方が安全です。

依頼者が遠方の場合は,

債権者からの借金の督促状や裁判所からの裁判書類(訴状・支払督促)を

当事務所に郵送いただき,

電話で司法書士に相談するという方法により,

当事務所が消滅時効の援用の内容証明郵便や裁判所の答弁書を作成するという方法も可能です。

◇当事務所では,弁護士事務所(法律事務所),債権回収会社,消費者金融(サラ金),クレジットカード会社からの督促に対する借金の消滅時効の内容証明郵便の作成を承っています

債権譲渡により,譲渡人・譲受人の権利関係が複雑な場合,現在の債権者(貸主)がよく分からない場合は,ご相談ください。



◇簡易裁判所から書類(支払督促,訴状,口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状,特別送達)が届いたら ,ご相談ください。

◇札幌,岩見沢,滝川,室蘭,苫小牧,浦河,小樽,岩内,夕張,伊達,静内の各簡易裁判所,それ以外の東京簡易裁判所などの全国の簡易裁判所にも対応しております。

*簡易裁判所で140万円以内の金額の場合は,司法書士が訴訟代理人となることができます。
*司法書士を訴訟代理人として選任すると,依頼者は簡易裁判所に出頭する必要がありません。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
当事務所 札幌市中央区
(司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所)のHP
 
http://ishihara-shihou-gyosei.com/


電話番号:011-532-5970
簡裁訴訟代理関係業務認定番号 第314102号
簡裁訴訟代理関係業務認定試験の合格は平成16年です。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
◇行政書士が,借金の法律相談に応じることは,弁護士法により禁止されています。
◇司法書士は,司法書士法により,140万円以内の金額(簡易裁判所の管轄)の法律相談に応じることができます。

◇当事務所は,司法書士と行政書士の両方の国家資格を有しています。

 ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
◇過払事件の対応が一段落したので,消費者金融はおろそかになっていた債権回収(借金の取り立て)を強化しているようです。
支払請求書・訴訟提起の通知書を送付したり,自宅まで取り立てに行ったり,裁判所へ訴訟の提起・支払督促の申立てをしたり,債権回収会社へ債権回収の委託・債権譲渡をしたりして,借金の取り立てを強化しているようです。
◇借金について,消滅時効の期間を経過していても,借主が消滅時効を主張(援用)しなければ,借金は消滅しません。よって,借主から消滅時効の主張をされない限り,消費者金融や債権回収会社は,借金を取り立てることができます。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
消滅時効の援用(内容証明郵便)の失敗事例を以下に記載します。


(1)消滅時効の期間が経過したに,時効を援用すれば,債務者(お金の借主)は,債務を免れること(貸主からの返済請求を拒絶すること)ができます。
しかし,注意しなければならないことは,消滅時効の期間が経過するに,時効を援用した場合のことです。
消滅時効の期間が経過するに,時効援用の通知を債権者(お金の貸主)に送付したときは,
「承認(=債務の承認)」となり,消滅時効が中断してしまうこと(消滅時効の進行期間がゼロに戻ること)です。


(2)時効援用の通知書には,①と②を記載します。
①債権者の氏名,債務者の氏名,債務者が債権者からお金を借りたこと,借りた日付,借りた金額などを記載します。
(この記載により,いつ,だれのだれに対する,どういう内容の借金かが特定されることになります。そして,この記載により,債務者は債権者からお金を借りたことを認めたことになります。)
②債務者が債権者に対して,本件債務について消滅時効を援用するとの記載をします。
(この記載により,債務が時効消滅し,債務者は債権者からの返済請求を拒絶することができるようになります。)


3)このように,消滅時効を援用するには,債務者が債権者からお金を借りたことを認めたことが前提となります。
したがって,②の時効援用の記載部分が,真実は,消滅時効の期間が経過しておらず,債務者の勘違いであったとして,時効援用が無効になったとしても,
①のお金を借りたことを認めた記載部分は有効ですから,債務者は,時効中断事由にあたる「承認」をしたことになります。


(4)下記の著名な学者の基本書によりますと,「承認」とは
「その権利の存在を認識して,その認識を表示したと認めることのできる行為はすべて承認となる。権利の内容や時効の進行状態などについての認識は,もとより必要ではない。」
「中断事由を知って承認したかどうかは問わない。」
とのことですので,消滅時効の期間の計算を勘違いして時効援用の効力が無効の通知書を送った場合に,
債務者が,たとえ時効の進行状態について勘違いをしていたとしても,たとえ時効援用の通知が「承認」にあたることを知らなかったとしても,「承認」に該当することになります。
債務者は,時効の進行状態の勘違いの主張はできませんし,承認に該当することを知らなかったとの主張をすることもできないのです。
そもそも,借りたお金は返すのが原則ですから,時効の援用を失敗した債務者を法律上保護する必要性はないのです。


(5)かりに,消滅時効期間が5年の場合で,4年11ヶ月経過したときに時効援用の通知を出すと,それは時効援用としては無効となり,「承認」にあたるので,時効進行期間はゼロに戻ってしまい,再び5年経過するまで待つ必要があるということです。*消滅時効の期間は,権利の性質に応じて,1年,2年,3年,5年,10年,20年,なし,となっています。


(6)さらに,注意が必要なのは,債権者からの督促状により,時効期間が6ヵ月延長される場合があることです。
したがって,消滅時効の期間が5年の場合は,最大5年6ヵ月が経過するまで消滅時効が完成しないことがあります(消滅時効が10年の場合は,最大10年6ヵ月)。
また,債権者が訴訟や支払督促などの裁判手続きを取っていたり,裁判上の和解をしていたりする場合は,通常は消費者金融の消滅時効の期間は5年ですが,裁判所が関与していた場合は消滅時効の期間が10年になります。
なお,債務者が住民票上の住所に住んでいない場合などにおいては,債務者の知らないうちに,債権者が公示送達により裁判手続きをして判決を取っている場合があります。
かりに,債権者が裁判手続きを取っていた場合は,裁判確定日から9年11ヵ月経過した時点で,時効援用の通知を出しても無効となり,承認したことになるので,時効進行期間がゼロになるのです。
また,債権譲渡によって,現在の債権者が株式会社となっていても,最初の貸主(最初の債権者)が個人の場合で,かつ,借主が商人ではない(会社員,アルバイト,無職など)場合,消滅時効の期間は10年となるので注意が必要です。
このように,一見単純に見えるような時効援用ですが,時効期間の計算を勘違いした場合は,致命傷になってしまいます。


(7)我妻榮の民法講義Ⅰ,四宮和夫の民法総則,川井健の民法概論1などの基本書には,消滅時効時効の期間が経過するに,消滅時効の援用があった場合についての記述がありません。
時効中断事由の「承認」の定義ですが,
我妻榮の民法講義(470頁)によりますと,「承認とは,時効の利益を受ける当事者が,時効によって権利を失う者に対して,その権利の存在することを知っている旨を表示することである。
かような表示があるときは,権利者が直ちに権利を行使しなくても,あえて権利の行使を怠るものといいえないだけでなく,権利関係の存在も明らかとなるから,これを中断事由としたのである。承認の法律上の性質は,いわゆる観念の通知である。従って,中断しようとする効果意思は必要でない。承認には特別の方式は必要でない。
その権利の存在を認識して,その認識を表示したと認めることのできる行為はすべて承認となる。権利の内容や時効の進行状態などについての認識は,もとより必要ではない。」
川井健の民法概論1第3版(341頁)によりますと,「承認とは,時効の利益を受けるべきものが権利者に対して権利の存在を認識していることを表示することを承認することをいう。承認とは,法律行為ではなく,観念の通知という準法律行為である。すなわち,中断効は効果意思に基づくものではなく権利の確認の効果から生ずる。
そこで中断事由を知って承認したかどうかは問わない。」


(8)「承認」は,準法律行為たる観念の通知だと解されており,法律行為ないし意思表示の規定が性質上許される限り準用されます。
したがって,消滅時効期間の経過前の時効援用の通知について,承認に対する錯誤無効の適用可能性が考えられます(時効援用は消滅時効の期間の経過が前提となっていますので,動機が表示されているといえます。)。
しかし,時効援用の通知は自己に有利な時効に関する行為ですので,時効期間が経過していない場合は錯誤無効により,自己に不利な時効に関する行為(承認)には該当しないというのは,自己矛盾行為として許されないはずです。
よって,錯誤無効の適用は難しいと考えます。


(9)なお,「承認」は,準法律行為たる観念の通知だと解されていますので,これに条件や期限をつけることができません。
よって,「承認に該当するのであれば,時効援用は撤回する。」との条件をつけることはできません。

2014年10月11日土曜日

貸金訴訟の第1回口頭弁論期日の欠席と分割払いの希望



簡易裁判所,地方裁判所,家庭裁判所から書類(特別送達など)が届いたら,ご相談ください。

◇札幌,岩見沢,滝川,室蘭,苫小牧,浦河,小樽,岩内,夕張,伊達,静内の各簡易裁判所,地方裁判所および家庭裁判所

*司法書士を訴訟代理人として選任すると,依頼者は簡易裁判所に出頭する必要がありません。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

当事務所 札幌市中央区
(司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所)のHP
 
http://ishihara-shihou-gyosei.com/

TEL:011ー532-5970
簡裁訴訟代理関係業務認定番号 第314102号
簡裁訴訟代理関係業務認定試験の合格は平成16年です。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


(1)原告(消費者金融などお金の貸主)が,返済を滞納した被告(お金の借主)に対して,


貸金の一括返済の裁判を起こすことがあります。


(2)被告は,一括の返済は不可能なので,分割弁済を希望したいと思うのが通常です。


(3)被告が答弁書を提出していれば,


地方裁判所・簡易裁判所を問わず,第一回口頭弁論期日に欠席してもかまいません。


(4)ただし,答弁書の記載内容が問題となります。


被告が答弁書に「金○○円を借りたことを認める。」との内容を記載していると,


自白したことになりますので,原告の請求認容の判決(=一括返済を認める判決)を出すための条件が満たされることになります。


そのため,答弁書に「金○○円の分割弁済を希望するとか,和解をしたいとか。」と記載していても,


原告が,被告の和解の希望を拒絶すれば,裁判所は被告の和解の希望は無視して,原告の請求認容の判決を出すことになります。


(5)原告には,被告の和解に応じる法律上の義務はありませんし,そもそも,分割返済を怠って滞納状態になった借主に対して,もう一度,分割返済の約束の合意をしても無駄だからです。


第1回口頭弁論期日前に,原告と被告の間で和解の合意ができているような場合でなければ,


被告が第1回口頭弁論期日に欠席したにもかかわらず,


被告の分割返済の和解が成立することは,ほぼありえません。


かといって,分割返済金額を過大な金額とすると,一時しのぎで和解が成立するかもしれませんが,すぐ返済滞納になるのは明白ですから止めましょう。


(6)ようするに,被告が分割返済の和解をしたければ,誠意を示すために第1回口頭弁論期日には必ず出頭すべきことになります。


ただし,原告には被告の和解に応じる義務はないので,被告が第1回口頭弁論期日に出席しても,必ず和解が成立するわけではありません。


(7)一括返済の判決が出された場合は,破産などの債務整理を検討すべきことになります。


(8)消滅時効期間が経過している場合もありますので,答弁書を提出する前に司法書士か弁護士に相談した方が良いでしょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com













2014年10月1日水曜日

(札幌) 相続放棄する家庭の増加と遺品整理との関係性



札幌,岩見沢,室蘭,小樽,滝川,浦河,岩内,夕張,静内の各 家庭裁判所の相続放棄の申述書の作成






<北海道内や札幌市内だけでなく,全国対応しております。>
当事務所(司法書士・行政書士・社会保険労務士)のHP 
http://ishihara-shihou-gyosei.com


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
相続放棄する家庭の増加と遺品整理との関係性は,基本的に関係ありません。


遺品について,日常の身の回り品などで経済的価値が絶対にないとはいえないが,社会通念上は,ゴミとして廃棄するような品物と定義をした場合において,


身寄りのない方が死亡したようなときには,遺品を整理してくれる人がいないので,遺品整理の必要性が生じることになります。


しかし,その場合は,そもそも相続放棄という制度が関与することはありません。


相続人を調査するにも,費用と時間がかかるので,相続人を調査することなく(=相続人が相続放棄したかどうかを確認することなく),他人が遺品整理をしている場合もあるように思われます(正当な理由があれば,相続人を調査しなくても許される場合があります。)。


今後は,身よりのない方が増加すると考えられるので,その意味では,遺品整理は増加するといえるでしょう。


しかし,遺品整理に関する費用や報酬を負担する人がいなければ,ボランティアによる遺品整理ということはありえても,だれも遺品整理を業者に依頼することはないでしょう。


なお,相続が発生した場合において,プラスの財産よりもマイナスの財産が多いとして,相続人が相続放棄をすることがあり,すべての相続人が相続放棄をすると,相続人は不存在となります。


プラスの財産が多くない場合は,その後の法的手続きが取られることなく,そのまま放置されていることが少なくありません(相続財産管理人の費用が賄えないからです。)。


プラスの財産が不動産の場合で,換価すればいくらかの債権回収ができるときや,どうしてもその不動産をほしい人がいるようなときは,利害関係人が家庭裁判所に対して相続財産管理人の選任の申し立てをし,相続財産管理人が相続財産を管理処分することがあります。


上記のような場合は,社会通念上は遺品整理とはいわないでしょうから,やはり,相続放棄の増加と遺品整理はとくに関係がないといえるでしょう。