2016年7月17日日曜日

支払督促(札幌)

当事務所では,札幌簡易裁判所のほか,岩見沢,夕張,滝川,室蘭,伊達,苫小牧,浦河,静内,小樽,岩内の各簡易裁判所における,①支払督促の相談
②支払督促の申立書及び督促異議申立書の作成
③支払督促の訴訟代理(訴額が140万円以内に限る)
を承っております。
札幌市中央区 石原拓郎 司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所
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TEL:011-532-5970
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382条:金銭の支払い請求の場合は,少額訴訟を利用することもできますが,少額訴訟は60万円以下の金額に限られます。しかし,支払督促は,60万円を超えた金額であっても利用することができます。


強制執行をするための債務名義を得る方法としては,公正証書を作成する方法もありますが,公正証書の作成は,債務者(相手方)も公証役場に出頭するか,債務者から公正証書作成の委任状を取得するなど,債務者の積極的な協力が必要になります。しかし,債務者が金銭の支払い請求について争ってこないことが想定される場合,支払督促は債務者の積極的な協力がなくても,債務名義を得ることができますし,裁判手数料が訴訟の半額ということもあり,貸金業者・信販会社などの債権者が活用しています。


なお,まだ支払期限が到来していない請求については,支払督促を利用することはできません。
支払督促による時効中断の効力は,債権者が支払督促の申立てをした時に生じますが,支払督促は公示送達によることができないとされていますので,債務者の所在不明により送達できない場合は,支払督促の申立てを取り下げる必要があります。その結果,支払督促の申立てをした時に遡って時効中断の効力は失われることになります。


383条:支払督促の申立ては,債務者(相手方)の住所地の簡易裁判所にする必要があります。


384条:支払督促の申立書には,紛争の要点では足らず,請求の原因として請求を理由付ける一切の事実を記載する必要があります。


385条:書記官による支払督促の申立ての却下処分に対する異議の申立てがあった場合は,裁判所が決定で裁判をします。その裁判に対しては不服を申し立てることはできません。


386条:支払督促は,申立てが不適法な場合,又は請求の理由がないことが明らかな場合を除いて,理由の有無について債務者を審尋しないで発せられます。支払督促は,債権者の一方的な申立てにより発せられますので,債務者の督促異議の申立書には不服がある旨の記載で足り,異議の理由を記載する必要はありません。


387条:支払督促の送達の際には,通常は,督促異議の申立書が同封されていますので,債務者は容易に督促異議を申し立てることができます。


388条:支払督促が送達できない場合において,債権者が通知を受けた日の翌日から2ヵ月以内に新しい送達場所の申出をしないときは,支払督促の申立てを取り下げたとみなされます。その結果,支払督促の申立てをした時に遡って時効中断の効力は失われることになります。


389条:支払督促について,計算違いなど明白な誤りがある場合は,更正をすることできます。


390条:仮執行宣言前に適法な督促異議の申立てがあった場合は,訴訟に移行します。債務者は仮執行宣言前に督促異議をしておけば,その後の仮執行宣言の申立てを阻止することができます。


391条:債務者が支払督促が送達された日の翌日から2週間以内に督促異議の申立てをしない場合は,債権者は支払督促に対する仮執行宣言を求める申立てをすることができます。債権者は,仮執行宣言付の支払督促を得ることにより,債務者に強制執行をすることができるようになります。


392条:債権者が仮執行宣言の申立てをすることができる時から30日以内に仮執行宣言を求める申立てをしない場合,支払督促は効力を失うことになります。その結果,支払督促の申立てをした時に遡って時効中断の効力は失われることになります。


393条:債務者は仮執行宣言付の支払督促を受け取った日の翌日から2週間以内であれば,督促異議の申立てをすることができます。支払督促の確定は遮断されますが,執行力は停止しませんので,債務者が強制執行の停止を求める場合は,強制執行停止の申立てをする必要があります。


394条:督促異議の申立てが,393条の期間経過後の場合は,督促異議は却下されます。


395条:適法な督促異議の申立てがあった場合,請求金額が140万円以下のときは相手方の簡易裁判所に,140万円を超えるときは相手方の地方裁判所に訴えの提起があったものとして,訴訟に移行することになります。
支払督促の裁判手数料は訴訟の半額とされていますので,訴訟に移行した場合は不足額を追納する必要があります。なお,法律上の規定がないので,少額訴訟への移行は認められません。


396条:確定した支払督促は確定判決と同一の効力を有しますが,既判力がありませんので,債務者は請求異議の訴えによって支払督促の請求内容を争うことができます。
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民事訴訟法
(平成八年六月二十六日法律第百九号)


第七編 督促手続
   第一章 総則

第三百八十二条  金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。ただし、日本において公示送達によらないでこれを送達することができる場合に限る。
第三百八十三条  支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してする。
 次の各号に掲げる請求についての支払督促の申立ては、それぞれ当該各号に定める地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してもすることができる。
 事務所又は営業所を有する者に対する請求でその事務所又は営業所における業務に関するもの
     当該事務所又は営業所の所在地
 手形又は小切手による金銭の支払の請求及びこれに附帯する請求
     手形又は小切手の支払地
第三百八十四条  支払督促の申立てには、その性質に反しない限り、訴えに関する規定を準用する。
第三百八十五条  支払督促の申立てが第三百八十二条若しくは第三百八十三条の規定に違反するとき、又は申立ての趣旨から請求に理由がないことが明らかなときは、その申立てを却下しなければならない。請求の一部につき支払督促を発することができない場合におけるその一部についても、同様とする。
 前項の規定による処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
 前項の処分に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
第三百八十六条  支払督促は、債務者を審尋しないで発する。
 債務者は、支払督促に対し、これを発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に督促異議の申立てをすることができる。
第三百八十七条  支払督促には、次に掲げる事項を記載し、かつ、債務者が支払督促の送達を受けた日から二週間以内に督促異議の申立てをしないときは債権者の申立てにより仮執行の宣言をする旨を付記しなければならない。
 第三百八十二条の給付を命ずる旨
 請求の趣旨及び原因
 当事者及び法定代理人
第三百八十八条  支払督促は、債務者に送達しなければならない。
 支払督促の効力は、債務者に送達された時に生ずる。
 債権者が申し出た場所に債務者の住所、居所、営業所若しくは事務所又は就業場所がないため、支払督促を送達することができないときは、裁判所書記官は、その旨を債権者に通知しなければならない。この場合において、債権者が通知を受けた日から二月の不変期間内にその申出に係る場所以外の送達をすべき場所の申出をしないときは、支払督促の申立てを取り下げたものとみなす。
第三百八十九条  第七十四条第一項及び第二項の規定は、支払督促について準用する。
 仮執行の宣言後に適法な督促異議の申立てがあったときは、前項において準用する第七十四条第一項の規定による更正の処分に対する異議の申立ては、することができない。
第三百九十条  仮執行の宣言前に適法な督促異議の申立てがあったときは、支払督促は、その督促異議の限度で効力を失う。
第三百九十一条  債務者が支払督促の送達を受けた日から二週間以内に督促異議の申立てをしないときは、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促に手続の費用額を付記して仮執行の宣言をしなければならない。ただし、その宣言前に督促異議の申立てがあったときは、この限りでない。
 仮執行の宣言は、支払督促に記載し、これを当事者に送達しなければならない。ただし、債権者の同意があるときは、当該債権者に対しては、当該記載をした支払督促を送付することをもって、送達に代えることができる。
 第三百八十五条第二項及び第三項の規定は、第一項の申立てを却下する処分及びこれに対する異議の申立てについて準用する。
 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
 第二百六十条及び第三百八十八条第二項の規定は、第一項の仮執行の宣言について準用する。
第三百九十二条  債権者が仮執行の宣言の申立てをすることができる時から三十日以内にその申立てをしないときは、支払督促は、その効力を失う。
第三百九十三条  仮執行の宣言を付した支払督促の送達を受けた日から二週間の不変期間を経過したときは、債務者は、その支払督促に対し、督促異議の申立てをすることができない。
第三百九十四条  簡易裁判所は、督促異議を不適法であると認めるときは、督促異議に係る請求が地方裁判所の管轄に属する場合においても、決定で、その督促異議を却下しなければならない。
 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
第三百九十五条  適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額に従い、支払督促の申立ての時に、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。この場合においては、督促手続の費用は、訴訟費用の一部とする。
第三百九十六条  仮執行の宣言を付した支払督促に対し督促異議の申立てがないとき、又は督促異議の申立てを却下する決定が確定したときは、支払督促は、確定判決と同一の効力を有する。

民事訴訟規則
平成八年十二月十七日最高裁判所規則第五号)
第七編 督促手続
(訴えに関する規定の準用・法第三百八十四条)
第二百三十二条 支払督促申立てには、その性質に反しない限り、訴えに関する規定準用する
(支払督促の原本・法第三百八十七条)
第二百三十三条 支払督促原本には、これを発した裁判所書記官記名押印しなければならない
(支払督促の送達等・法第三百八十八条)
第二百三十四条 支払督促債務者に対する送達は、その正本によってする。
2 裁判所書記官は、支払督促を発したときは、その旨を債権者通知しなければならない
(仮執行の宣言の申立て等・法第三百九十一条)
第二百三十五条 仮執行宣言申立ては、手続費用額を明らかにしてしなければならない
2 第三百九十一仮執行宣言)第二ただし書規定する債権者同意は、仮執行宣言申立ての時にするものとする
(仮執行の宣言の方式等・法第三百九十一条)
第二百三十六条 仮執行宣言は、支払督促原本に記載しなければならない
2 第二百三十四支払督促送達等)第一の規定は、仮執行の宣言が記載された支払督促の当事者に対する送達及び債権者に対する送達に代わる送付について準用する
(訴訟への移行による記録の送付・法第三百九十五条)
第二百三十七条 第三百九十五督促異議の申立てによる訴訟への移行)の規定により地方裁判所訴え提起があったものとみなされたときは、裁判所書記官は、遅滞なく地方裁判所裁判所書記官に対し、訴訟記録送付しなければならない

簡易裁判所の民事訴訟手続(札幌)

当事務所では,札幌簡易裁判所のほか,岩見沢,夕張,滝川,室蘭,伊達,苫小牧,浦河,静内,小樽,岩内の各簡易裁判所における,①簡易裁判所の民事訴訟の相談
②簡易裁判所の訴状及び答弁書の作成
③簡易裁判所の訴訟代理(訴額が140万円以内に限る)

を承っております。
札幌市中央区 石原拓郎 司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所
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18条:簡易裁判所に訴えを提起した場合であっても,裁判所の裁量によって,地方裁判所に移送されることがあります。複雑難解な事件については慎重な審理判断が要されるところ,簡易裁判所の簡易な手続での審理判断には適さないからです。


19条2項:不動産に関する訴訟については,被告が地方裁判所への移送を申立てた場合は,自動的に簡易裁判所から地方裁判所へ移送されます。
なお,退去及び明渡しの請求は不動産に関する訴訟に該当しますが,滞納賃料の請求,敷金返還の請求及び原状回復費用の請求は不動産に関する訴訟には該当しません。


270条:簡易裁判所は地方裁判所と比較して,簡易な手続によるとの原則を示した規定です。


271条:実務としては,書面(訴状)の提出によって,訴えを提起するのが原則です。

272条:紛争の要点を明らかにすれば必要最小限の要件を満たすことになります。しかし,できるだけ原告に有利な判決をもらうためには,請求の原因を記載した方がよいでしょう。

273条:実務上は,この規定が適用されることはほとんどありません。いきなり簡易裁判所に出頭されても裁判所が執務上対応できないからです。

274条:被告の反訴が地方裁判所の管轄に属する場合において,原告の同意があれば,本訴(原告が簡易裁判所に提起した訴え)も反訴と同一の地方裁判所に移送されます。

275条:簡易裁判所では,訴訟だけでなく,和解(裁判所における話し合い)についても取り扱っています。債務名義を得るために,訴えの提起前の和解が利用されることがあるようです。例えば,建物の賃貸借契約において,賃料滞納による解除条項及び解除された場合における明渡しの合意条項を内容とする和解をすることで,解除された場合は判決を得ることなく,直ちに強制執行の申し立てをすることができるようになります。

275条の2:金銭の支払請求について,被告が原告の主張を争わない場合は,裁判所は裁量で,①5年以内の範囲で期限を猶予し,分割払いの定めをすること,②分割払いの場合は期限の利益喪失の定めをすること,③期限の猶予の定めにしたがって支払った場合,又は,分割払いの定めにしたがって支払った場合には,訴え提起後の遅延損害金を免除する旨の定めをすることを内容とする,和解に代わる決定をすることができます。
ただし,原告及び被告は,決定の告知を受けた日の翌日から2週間以内に,その決定した裁判所に対して異議を申し立てることで,和解に代わる決定の効力を喪失させることができます。その場合は,従前の裁判手続を続行することになります。
和解に代わる決定は異議の申し立てがない場合,裁判上の和解と同一の効力を有することになります。


276条:簡易裁判所では,口頭弁論についても,書面で準備する必要がないとされています。したがって,裁判期日において口頭で陳述すれば足りることになります。
しかし,相手方が裁判期日に欠席した場合は,口頭での陳述ができませんので,やはり書面を作成して裁判所及び相手方に送達しておくべきでしょう。


277条:簡易裁判所では,書面をあらかじめ裁判所に提出しておけば,続行の裁判期日を欠席した場合であっても,裁判所は書面の記載内容を陳述したとみなすことができます。
なお,原告及被告の両方が欠席した場合は,裁判期日を開くことができませんので,陳述したとみなされることはありません。


278条:簡易裁判所では,当事者本人についても書面による尋問が認められています。

279条:簡易裁判所の訴訟では,司法委員が和解を補助すること又は審理に立ち会うことが認められています。司法委員は,不動産鑑定士・公認会計士・医師・建築士などの専門家が就任していることがあります。

280条:簡易裁判所の判決書は,簡略化することが認められています。
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民事訴訟法
(平成八年六月二十六日法律第百九号)


第十八条  簡易裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部をその所在地を管轄する地方裁判所に移送することができる。
第十九条  第一審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者の申立て及び相手方の同意があるときは、訴訟の全部又は一部を申立てに係る地方裁判所又は簡易裁判所に移送しなければならない。ただし、移送により著しく訴訟手続を遅滞させることとなるとき、又はその申立てが、簡易裁判所からその所在地を管轄する地方裁判所への移送の申立て以外のものであって、被告が本案について弁論をし、若しくは弁論準備手続において申述をした後にされたものであるときは、この限りでない。
 簡易裁判所は、その管轄に属する不動産に関する訴訟につき被告の申立てがあるときは、訴訟の全部又は一部をその所在地を管轄する地方裁判所に移送しなければならない。ただし、その申立ての前に被告が本案について弁論をした場合は、この限りでない。


第八章 簡易裁判所の訴訟手続に関する特則
第二百七十条  簡易裁判所においては、簡易な手続により迅速に紛争を解決するものとする。
第二百七十一条  訴えは、口頭で提起することができる。
第二百七十二条  訴えの提起においては、請求の原因に代えて、紛争の要点を明らかにすれば足りる。
第二百七十三条  当事者双方は、任意に裁判所に出頭し、訴訟について口頭弁論をすることができる。この場合においては、訴えの提起は、口頭の陳述によってする。
第二百七十四条  被告が反訴で地方裁判所の管轄に属する請求をした場合において、相手方の申立てがあるときは、簡易裁判所は、決定で、本訴及び反訴を地方裁判所に移送しなければならない。この場合においては、第二十二条の規定を準用する。
 前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
第二百七十五条  民事上の争いについては、当事者は、請求の趣旨及び原因並びに争いの実情を表示して、相手方の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所に和解の申立てをすることができる。
 前項の和解が調わない場合において、和解の期日に出頭した当事者双方の申立てがあるときは、裁判所は、直ちに訴訟の弁論を命ずる。この場合においては、和解の申立てをした者は、その申立てをした時に、訴えを提起したものとみなし、和解の費用は、訴訟費用の一部とする。
 申立人又は相手方が第一項の和解の期日に出頭しないときは、裁判所は、和解が調わないものとみなすことができる。
 第一項の和解については、第二百六十四条及び第二百六十五条の規定は、適用しない。
第二百七十五条の二  金銭の支払の請求を目的とする訴えについては、裁判所は、被告が口頭弁論において原告の主張した事実を争わず、その他何らの防御の方法をも提出しない場合において、被告の資力その他の事情を考慮して相当であると認めるときは、原告の意見を聴いて、第三項の期間の経過時から五年を超えない範囲内において、当該請求に係る金銭の支払について、その時期の定め若しくは分割払の定めをし、又はこれと併せて、その時期の定めに従い支払をしたとき、若しくはその分割払の定めによる期限の利益を次項の規定による定めにより失うことなく支払をしたときは訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する旨の定めをして、当該請求に係る金銭の支払を命ずる決定をすることができる。
 前項の分割払の定めをするときは、被告が支払を怠った場合における期限の利益の喪失についての定めをしなければならない。
 第一項の決定に対しては、当事者は、その決定の告知を受けた日から二週間の不変期間内に、その決定をした裁判所に異議を申し立てることができる。
 前項の期間内に異議の申立てがあったときは、第一項の決定は、その効力を失う。
 第三項の期間内に異議の申立てがないときは、第一項の決定は、裁判上の和解と同一の効力を有する。
第二百七十六条  口頭弁論は、書面で準備することを要しない。
 相手方が準備をしなければ陳述をすることができないと認めるべき事項は、前項の規定にかかわらず、書面で準備し、又は口頭弁論前直接に相手方に通知しなければならない。
 前項に規定する事項は、相手方が在廷していない口頭弁論においては、準備書面(相手方に送達されたもの又は相手方からその準備書面を受領した旨を記載した書面が提出されたものに限る。)に記載し、又は同項の規定による通知をしたものでなければ、主張することができない。
第二百七十七条  第百五十八条の規定は、原告又は被告が口頭弁論の続行の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしない場合について準用する。
第二百七十八条  裁判所は、相当と認めるときは、証人若しくは当事者本人の尋問又は鑑定人の意見の陳述に代え、書面の提出をさせることができる。
第二百七十九条  裁判所は、必要があると認めるときは、和解を試みるについて司法委員に補助をさせ、又は司法委員を審理に立ち会わせて事件につきその意見を聴くことができる。
 司法委員の員数は、各事件について一人以上とする。
 司法委員は、毎年あらかじめ地方裁判所の選任した者の中から、事件ごとに裁判所が指定する。
 前項の規定により選任される者の資格、員数その他同項の選任に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
 司法委員には、最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。
第二百八十条  判決書に事実及び理由を記載するには、請求の趣旨及び原因の要旨、その原因の有無並びに請求を排斥する理由である抗弁の要旨を表示すれば足りる。

民事訴訟規則(平成八年十二月十七日最高裁判所規則第五号)

第七章 簡易裁判所の訴訟手続に関する特則
(反訴の提起に基づく移送による記録の送付・法第二百七十四条)
第百六十八条 第九移送による記録の送付)の規定は、第二百七十四反訴提起に基づく移送)第一規定による移送の裁判が確定した場合について準用する
(訴え提起前の和解の調書・法第二百七十五条)
第百六十九条 訴え提起前の和解が調ったときは、裁判所書記官は、これを調書に記載しなければならない
(証人等の陳述の調書記載の省略等)
第百七十条 簡易裁判所における口頭弁論調書については、裁判官許可を得て、証人等の陳述又は検証の結果の記載を省略することができる。この場合において、当事者は、裁判官許可をする際に、意見を述べることができる。
2 前項の規定により調書の記載を省略する場合において、裁判官命令又は当事者申出があるときは、裁判所書記官は、当事者裁判上の利用供するため、録音テープ等に証人等の陳述又は検証の結果を記録しなければならない。この場合において、当事者申出があるときは、裁判所書記官は、当該録音テープ等の複製を許さなければならない。
(書面尋問・法第二百七十八条)
第百七十一条 第百二十四書面尋問)の規定は、第二百七十八尋問に代わる書面の提出)の規定により証人若しくは当事者尋問又は鑑定人意見陳述に代えて書面の提出をさせる場合について準用する
(司法委員の発問)
第百七十二条 裁判官は、必要があると認めるときは司法委員証人等に対し直接に問いを発することを許すことができる。

少額訴訟の相談,訴状・答弁書作成(札幌)

当事務所では,札幌簡易裁判所のほか,岩見沢,夕張,滝川,室蘭,伊達,苫小牧,浦河,静内,小樽,岩内の各簡易裁判所における,
①少額訴訟(60万円以下の金銭の支払い請求)の相談
②少額訴訟(60万円以下の金銭の支払い請求)の訴状及び答弁書の作成
少額訴訟(60万円以下の金銭の支払い請求)判決に対する異議申立書の作成
④少額訴訟(60万円以下の金銭の支払い請求)の訴訟代理


を承っております。

札幌市中央区 石原拓郎 司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所
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 368条:少額訴訟の利用は,請求金額が60万円以下の金銭の支払い請求(貸金の返還請求,敷金返還請求,損害賠償請求など)に限られます。


ただし,同じ簡易裁判所において,年(1月1日から12月31日まで)に10回を超えて少額訴訟を提起することはできません。


訴状には,①少額訴訟であること,②その年に利用した少額訴訟の回数を記載する必要があります(裁判所の定型書式には,記載欄があります)。


369条:少額訴訟においては,反訴が禁止されていますので,被告は通常訴訟への移行を選択しない場合(少額訴訟に応じる場合)は,被告の反訴は少額訴訟では解決されずに,別訴の提起として扱われます。


なお,相殺は反訴とは異なりますので,少額訴訟において相殺の主張をすることは可能です。


370条:少額訴訟は,原則として1回の裁判期日で判決が出る制度です。よって,原告及び被告は,裁判期日において,すべての主張及び証拠を提出する必要があります。


特別の事情により,1回の裁判期日で終了しなかった場合は,次回の裁判期日においても主張及び証拠を提出することが可能です。


371条:少額訴訟は,原則として1回の裁判期日で判決が出る制度ですので,裁判期日において,証拠のすべてを提出する必要があります。したがって,原則として,証人は裁判期日に同行させることになります。
なお,裁判所の裁量により,電話会議の方法を利用した証人尋問も可能です。


372条:少額訴訟は,訴訟に関する知識に乏しい一般市民の利用を想定しているので,通常訴訟と比較して,証拠調べ手続の厳格さを緩和するための規定をしています。
裁判官が当事者(原告及び被告)に代わって,適切な尋問をする必要性が想定されたため,裁判官が相当と認める順序で当事者尋問及び証人尋問をすることになっています。


373条:被告には,少額訴訟ではなく通常訴訟を選択する権利があります。被告が通常訴訟を選択した場合は,原告は拒絶することができません。
なお,被告が行方不明などのために,訴状を公示送達する場合は,自動的に通常訴訟の手続きに移行します。


374条:少額訴訟の判決は,原則として,裁判期日の終了後,直ちに言い渡されます。
なお,「直ちに」とは,裁判期日の終了後,数十分程度の経過も含む趣旨と解されています。
判決が直ちに言い渡されることになる場合は,原則として,判決書よりも記載が省略されている,調書によって判決が言い渡されることになります。
調書判決の正本は,即日の交付が望ましいとされていますが,人的及び物的な設備の不足のため,難しいようです。調書判決の正本が即日に交付されない場合は,後日,送達されます。


375条:少額訴訟判決の内容が,全部認容または一部認容の場合で,特に必要があると認めるときは,裁判所は裁量により,判決の言い渡しの日から3年を超えない範囲内で,①支払時期の定めをすること,②分割払いの定めをすること,③期限の猶予と併せて,訴え提起後の遅延損害金を免除する旨の定めをすることができます。


376条:少額訴訟判決の内容が,全部認容または一部認容の場合は,必要的に仮執行宣言が付されます。そのため,少額訴訟判決に対する異議の申し立ての有無を問わず,原告は強制執行の申し立てをすることができます。
なお,少額訴訟判決に基づく強制執行の場合は,単純執行文の付与を受ける必要がありません。


377条:少額訴訟判決に対しては,上級審に控訴をすることができません。ただし,異議を申し立てることができます。

378条:少額訴訟判決の判決書(調書)を受け取った日の翌日から起算して2週間以内であれば,判決に不服のある原告及び被告は,判決を下した裁判所に異議を申し立てることができます。


異議申立書に異議の理由を記載する必要はありません。しかしながら,異議の理由が不明の場合は,再審理(異議審)における進行が阻害されますので,のちに裁判所から異議の理由の説明を求められます。

不適法な異議申立てで,その不備を補正できない場合は,却下判決が下されます。

不適法な異議申立てとは,①異議申立期間を経過した後の異議申立ての場合,②全部勝訴した原告又は被告の異議申立ての場合,③分割払いなどの定めに対する異議申立ての場合,④収入印紙500円を貼付しない異議申立ての場合,などです。

379条:少額訴訟判決に対して,適法な異議申立てがあった場合は,少額訴訟について再審理(異議審)をすることになります。したがって,異議の申立てがあると,1回の裁判期日で終了することにはならず,裁判が続行することになります。

異議審においては,原告及び被告は,追加の主張及び証拠を提出することができます。

異議審の審理対象は,原告の請求の勝訴部分と敗訴部分を含めたすべての部分です。つまり,異議審においては,原告の請求をあらためて審理判断することになります。

したがって,異議審の判決である少額訴訟異議判決には,不利益変更禁止の原則は適用されません。よって,少額訴訟異議判決は,少額訴訟判決と比較して,異議の申立人に不利な内容に変更される場合もあります。


なお,少額訴訟判決を言い渡した裁判官が異議審も担当することについては,適法であるとされています。


380条:少額訴訟異議判決(却下判決を含む)には,控訴をすることができません。したがって,少額訴訟異議判決により,少額訴訟は終了することになります。

ただし,憲法違反が問題となる場合は,特別上告をすることができます。

381条:その年に利用した少額訴訟の回数について,虚偽の記載をした場合は,決定で10万円以下の過料に処するという制裁規定です。





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民事訴訟法(平成八年六月二十六日法律第百九号)


第六編 少額訴訟に関する特則 
 

第三百六十八条  簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることができない。
 少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。
 前項の申述をするには、当該訴えを提起する簡易裁判所においてその年に少額訴訟による審理及び裁判を求めた回数を届け出なければならない。


第三百六十九条  少額訴訟においては、反訴を提起することができない。


第三百七十条  少額訴訟においては、特別の事情がある場合を除き、最初にすべき口頭弁論の期日において、審理を完了しなければならない。
 当事者は、前項の期日前又はその期日において、すべての攻撃又は防御の方法を提出しなければならない。ただし、口頭弁論が続行されたときは、この限りでない。


第三百七十一条  証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限りすることができる。


第三百七十二条  証人の尋問は、宣誓をさせないですることができる。
 証人又は当事者本人の尋問は、裁判官が相当と認める順序でする。
 裁判所は、相当と認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方と証人とが音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、証人を尋問することができる。


第三百七十三条  被告は、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる。ただし、被告が最初にすべき口頭弁論の期日において弁論をし、又はその期日が終了した後は、この限りでない。
 訴訟は、前項の申述があった時に、通常の手続に移行する。
 次に掲げる場合には、裁判所は、訴訟を通常の手続により審理及び裁判をする旨の決定をしなければならない。
 第三百六十八条第一項の規定に違反して少額訴訟による審理及び裁判を求めたとき。
 第三百六十八条第三項の規定によってすべき届出を相当の期間を定めて命じた場合において、その届出がないとき。
 公示送達によらなければ被告に対する最初にすべき口頭弁論の期日の呼出しをすることができないとき。
 少額訴訟により審理及び裁判をするのを相当でないと認めるとき。
 前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
 訴訟が通常の手続に移行したときは、少額訴訟のため既に指定した期日は、通常の手続のために指定したものとみなす。


第三百七十四条  判決の言渡しは、相当でないと認める場合を除き、口頭弁論の終結後直ちにする。
 前項の場合には、判決の言渡しは、判決書の原本に基づかないですることができる。この場合においては、第二百五十四条第二項及び第二百五十五条の規定を準用する。


第三百七十五条  裁判所は、請求を認容する判決をする場合において、被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、判決の言渡しの日から三年を超えない範囲内において、認容する請求に係る金銭の支払について、その時期の定め若しくは分割払の定めをし、又はこれと併せて、その時期の定めに従い支払をしたとき、若しくはその分割払の定めによる期限の利益を次項の規定による定めにより失うことなく支払をしたときは訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する旨の定めをすることができる。
 前項の分割払の定めをするときは、被告が支払を怠った場合における期限の利益の喪失についての定めをしなければならない。
 前二項の規定による定めに関する裁判に対しては、不服を申し立てることができない。


第三百七十六条  請求を認容する判決については、裁判所は、職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言しなければならない。
 第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。


第三百七十七条  少額訴訟の終局判決に対しては、控訴をすることができない。


第三百七十八条  少額訴訟の終局判決に対しては、判決書又は第二百五十四条第二項(第三百七十四条第二項において準用する場合を含む。)の調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に、その判決をした裁判所に異議を申し立てることができる。ただし、その期間前に申し立てた異議の効力を妨げない。
 第三百五十八条から第三百六十条までの規定は、前項の異議について準用する。


第三百七十九条  適法な異議があったときは、訴訟は、口頭弁論の終結前の程度に復する。この場合においては、通常の手続によりその審理及び裁判をする。
 第三百六十二条、第三百六十三条、第三百六十九条、第三百七十二条第二項及び第三百七十五条の規定は、前項の審理及び裁判について準用する。


第三百八十条  第三百七十八条第二項において準用する第三百五十九条又は前条第一項の規定によってした終局判決に対しては、控訴をすることができない。
 第三百二十七条の規定は、前項の終局判決について準用する。


第三百八十一条  少額訴訟による審理及び裁判を求めた者が第三百六十八条第三項の回数について虚偽の届出をしたときは、裁判所は、決定で、十万円以下の過料に処する。
 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
 第百八十九条の規定は、第一項の規定による過料の裁判について準用する。

民事訴訟規則(平成八年十二月十七日最高裁判所規則第五号)


第六編 少額訴訟に関する特則



(手続の教示)
第二百二十二条 裁判所書記官は、当事者に対し、少額訴訟における最初にすべき口頭弁論の期日呼出しの際に、少額訴訟による審理及び裁判手続の内容を説明した書面を交付しなければならない
2 裁判官は、前項期日の冒頭において、当事者に対し、次に掲げる事項説明しなければならない
一 証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限りすることができること。
二 被告は、訴訟を通常の手続移行させる旨の申述することができるが、被告が最初にすべき口頭弁論の期日において弁論をし、又はその期日終了した後は、この限りでないこと。
三 少額訴訟終局判決に対しては、判決書又は判決書に代わる調書送達を受けた日から二週間の不変期間内に、その判決をした裁判所異議申し立てることができること。

(少額訴訟を求め得る回数・法第三百六十八条)
第二百二十三条 第三百六十八少額訴訟要件等)第一ただし書最高裁判所規則で定める回数は、十回とする

(当事者本人の出頭命令)
第二百二十四条 裁判所は、訴訟代理人選任されている場合であっても、当事者又はその法定代理人出頭命ずることができる。

(証人尋問の申出)
第二百二十五条 証人尋問申出をするときは、尋問事項書提出することを要しない

(音声の送受信による通話の方法による証人尋問・法第三百七十二条)
第二百二十六条 裁判所及び当事者双方と証人とが音声の送受信により同時に通話することができるによる証人尋問は、当事者申出があるときにすることができる
2 前項申出は、通話先の電話番及びその場所を明らかにしてしなければならない
3 裁判所は、前項の場所が相当でないと認めるときは、第一申出をした当事者に対し、その変更を命ずることができる。
4 第一尋問をする場合には、文書写しを送信してこれを提示することその他の尋問の実施に必要な処置を行うため、ファクシミリを利用することができる
5 第一尋問をしたときは、その旨、通話先の電話番及びその場所を調書に記載しなければならない
6 第八十八弁論準備手続調書等)第二の規定は、第一項の尋問をする場合について準用する

(証人等の陳述の調書記載等)
第二百二十七条 調書には、証人等の陳述を記載することを要しない
2 証人尋問又は鑑定人の口頭による意見陳述前に裁判官命令又は当事者申出があるときは、裁判所書記官は、当事者裁判上の利用供するため、録音テープ等に証人又は鑑定人陳述記録しなければならない。この場合において、当事者申出があるときは、裁判所書記官は、当該録音テープ等の複製を許さなければならない。

(通常の手続への移行・法第三百七十三条)
第二百二十八条 被告の通常の手続移行させる旨の申述は、期日においてする場合を除き、書面でしなければならない
2 前項申述があったときは、裁判所書記官は、速やかにその申述により訴訟が通常の手続移行した旨を原告通知しなければならないただし、その申述が原告の出頭した期日においてされたときは、この限りでない
3 裁判所が訴訟を通常の手続により審理及び裁判をする旨の決定をしたときは、裁判所書記官は、速やかにその旨を当事者通知しなければならない

(判決・法第三百七十四条)
第二百二十九条 少額訴訟判決書又は判決書に代わる調書には、少額訴訟判決表示しなければならない
2 第百五十五言渡し方式)第三の規定は、少額訴訟における原本に基づかないでする判決の言渡しをする場合について準用する
(異議申立ての方式等・法第三百七十八条)
第二百三十条 第二百十七異議申立て方式等)及び第二百十八異議申立権の放棄及び異議取下げの規定は、少額訴訟の終局判決に対する異議について準用する
(異議後の訴訟の判決書等)
第二百三十一条 異議後の訴訟の判決書又は判決書に代わる調書には、少額異議判決表示しなければならない
2 第二百十九手形訴訟判決書等の引用の規定は、異議後の訴訟の判決書又は判決書に代わる調書における事実及び理由の記載について準用する