2016年12月19日月曜日

共同相続の預貯金債権は,遺産分割の対象になるとする判例






最高裁判所は,大法廷決定で,共同相続された普通預金債権及び通常貯金債権は,遺産分割の対象となるとの判断をし,


従前の判例(最高裁昭和30年5月31日第三小法廷判決民集9巻6号793頁など)を変更しました。


その結果,自己の法定相続分に相当する預貯金債権のみの払い戻しを銀行などの金融機関に請求することはできなくなりました。


遺言がない場合は,原則として,共同相続人全員の遺産分割協議か遺産分割調停・審判を経なければならないことになりました。


共同相続人中に行方不明者などいる場合は,失踪宣告や不在者財産管理人や相続財産管理人の申し立てなどをする必要があります。


*当該判決後の相続事案(親が死亡)で,北海道の某金融機関において,相続人(子)が葬儀費用のための払い戻しを請求したところ拒絶され,別の相続人(子)が自分の戸籍謄本及び本人確認書類を持参して,粘り強く請求したところ,便宜払いの規定に基づき,一定金額の払い戻しに応じてもらえたとのことでした。
 当該判決前は,預貯金債権について,法定相続人が法定相続分を単独で払い戻すことができるとされていたことが,便宜払いの根拠のひとつとされていました。
 なお,当該銀行の便宜払いの取り扱いが,当該判決により厳しくなったのかどうかは不明です。


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事件番号 平成27(許)11     

事件名 遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件      

裁判年月日 平成28年12月19日 最高裁判所大法廷   決定     

結果  破棄差戻     

 
判示事項
  

裁判要旨
 共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となる

       

全文(最高裁HP)
全文


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2016年12月9日金曜日

将来の給付の訴えに関する判例

 本件では,将来発生すべき損害賠償請求権について否定しました。

「継続的不法行為に基づき将来発生すべき損害賠償請求権については,

たと え同一態様の行為が将来も継続されることが予測される場合であっても,損害賠償請求権の成否及びその額をあらかじめ一義的に明確に認定することができず,

具体的に請求権が成立したとされる時点において初めてこれを認定することができ,かつ,その場合における権利の成立要件の具備については債権者においてこれを立証すべきであり,

事情の変動を専ら債務者の立証すべき新たな権利成立阻却事由の発生としてとらえてその負担を債務者に課するのは不当であると考えられるようなものは,将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格を有しないものと解するのが相当である。」


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事件名 損害賠償等請求事件      
裁判年月日 平成28年12月8日    最高裁判所第一小法廷    判決     
     
判例集等巻・号・頁
判示事項
裁判要旨
 将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格を有しないものとされた事例

全文 最高裁判所HP
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