2012年3月24日土曜日

預貯金の遺産分割を求める訴訟


(例)相続財産は預金が100万円,相続人は子A,子Bで,

相続人Aが預貯金通帳を所持しているため,

相続人Bの遺産分割の請求に応じない場合。

相続人Bは,相続人Aに対し,

自己の法定相続分(50万円)の支払いを求める訴えをすることはできません

なぜなら,法定相続分の支払いを求める相手方は,

預金をしている銀行だからです。


判例(最判昭29・4・8民集8巻4号819頁)によると,

預貯金が相続財産の場合は,


相続開始と同時に当然に共同相続人の法定相続分に応じて,
分割帰属します。

したがって,相続人Aが通帳を保管していても,

預貯金50万円の権利については,すでに相続人Bに帰属しているので,

相続人Bは,銀行に50万円の支払いを請求します。


*ただし,銀行実務は相続財産の支払いにつき,

原則として相続人全員の同意書を要求するため,

相続人Bの支払請求に対し,簡単には応じてくれないようです。


*相続人の間で,遺産分割に争いがあるときは,

放置しないで,家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てるのがベストです。



*なお,相続人Aが預貯金の使い込みをしていた場合は,

その使い込んだ金額部分については,

相続人Bが,相続人Aに対し,

不当利得に基づく返還請求または不法行為に基づく損害賠償請求として,

訴えることができます。



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