2012年10月16日火曜日

相続時精算課税制度と不動産の贈与

Aが所有し,現在居住している不動産について,

相続時精算課税制度を利用して,

その不動産に同居している子Bに対し,

将来の相続紛争を心配して,その不動産を贈与した場合。

^^^^^^^^^^^^^^

確かに,Aの相続が発生したとき,

別居している子C,子Dとの関係で,

通常は,不動産の名義人である子Bがその不動産において有利な立場に立つことができます。(遺留分減殺請求をされる等の可能性はありますが。)

ところが,Aの相続発生前に,

その子Bが何かの原因で多額の借金を抱えた場合,

借金の担保としてその不動産が競売にかけられる可能性や

子Bがその不動産を売却する可能性があります。

その場合,Aは,その不動産から退去しなければならないことになります。

とくに,子Bが自営業をしている場合は,贈与時点では景気が良くても,

Aの相続発生前に,経営が悪化して,その不動産を失う可能性は十分にあります。

将来の相続紛争の防止よりも,Aが終の棲家を確保したい場合は,

居住しているその不動産を子Bに贈与してはいけません。


*親子が同居している不動産は,子に贈与するのは避けた方が無難です。

贈与する場合は,全部ではなく,持分の2分の1までにしましょう。


ーーーーーーーーーーー

当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com/