2012年10月16日火曜日

相続時精算課税制度と税務署の人の雑感

先日,某所で税務署の人が相談者に相続時精算課税制度を勧めてました。

相談内容は,「相談者が子どもに2500万円以下の不動産を贈与したい。」というものでした。

贈与税・相続税のみの点でいうと,相続時精算課税制度を利用する価値はあるようと思えました。

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しかし,相続時精算課税制度の短所および贈与の短所である以下のことはまったく説明していませんでした。

①贈与の登録免許税は評価額の1000分の20であること(相続は1000分の4なので,5倍になる。)

②贈与は不動産取得税が課税されること(相続は無税),

③相続時精算課税制度の申出は撤回できないこと

④暦年110万円の贈与税の基礎控除が利用できないこと


*役人は,その説明によって自分の給料が増えるわけではないから

基本的に相談者から質問されたことにしか回答しません。

あとから相談者が損害を被ったとクレームをつけても,

証拠がないといわれたり(水掛け論),

そこまで説明する責任はなかったということで,

役人は免責されているのが,現状だと思います。


変なところで,お金をケチって損をしないように高額案件は,

専門家に依頼すべきだと思います。

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まぁ,贈与の登記自体は難しくないので,そのまま税務署の人の話しに飛びついて,

法務局の無料相談(法務局の人は,わざわざ贈与の登録免許税は相続の5倍である旨は説明しません。)で贈与の登記申請書を作成して,

贈与を原因として不動産の名義変更をしてしまえば,

相談者自身が,経済的に損をしたことに気づくことはないので,

それはそれで,幸せのような気もしますが・・・



*贈与したことにより,将来の相続紛争の防止に役立ったと考えれば,

あえて贈与を選択することも間違えではありません。

(費用対効果で考えると,相続紛争で裁判になった場合,上記の税金よりも高い弁護士費用になることが多いでしょうし,解決まで時間がかかるからです。)

まぁ,贈与したからといって,絶対に相続紛争を防止できるわけでもないので難しいところではありますが・・・

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