2019年1月24日木曜日

弁護士法72条に違反して代理人が締結した契約の効力



最高裁平成29年7月24日第一小法廷判決(民集第71巻6号969頁)


判示事項


認定司法書士が弁護士法72条に違反して締結した裁判外の和解契約の効力  


裁判要旨


認定司法書士が委任者を代理して裁判外の和解契約を締結することが弁護士法72条に違反する場合であっても,当該和解契約は,その内容及び締結に至る経緯等に照らし,公序良俗違反の性質を帯びるに至るような特段の事情がない限り,無効とはならない。


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上記最判について,調査官解説(中野琢郎「最高裁 時の判例 IX」173頁)によりますと,


「弁護士法72条に違反して,弁護士でない者が代理人として締結した契約の効力については,無効とならないとする説(非無効説)と無効になるとする説(無効説)がある。


非無効説は,弁護士法72条に違反して締結された委任契約の効力と,当該委任契約を締結した非弁護士が委任者を代理して締結した契約の効力とは,別個に判断されるべきものであるという見解であり,最三小判昭和46・4・20の評釈等において示されている考え方である・・・」


「・・・本判決は,非無効説に立っているものと思われる。」


とのことです。


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本件は,代理人司法書士が弁護士法72条に違反して裁判外の和解契約を締結した事例でしたが,


(立場が反対の事例で)


代理人司法書士(弁護士法72条に違反していない簡裁代理権の範囲内)は,
弁護士法72条に違反する業者と裁判外の和解契約をすることがないように留意する必要があります。


(仮に,裁判外の和解契約の効力が無効にならないとしても,当然ながら懲戒処分の対象になりますので。)


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