2009年12月11日金曜日

遺産分割と第二次納税義務

遺産分割の当事者である,相続人Aが国税を滞納していた場合で,

相続人Aの相続分が,

本来の相続分よりも少なくなるような遺産分割をし,

滞納していない相続人Bの相続分が増えたとき,

相続人Bは,相続分が増えた部分を限度に

相続人Aに代わって,

相続人Aが滞納している国税を支払わなければなりません。

(この場合の相続人Bの納税義務を第二次納税義務といいます。)

ーーーーーーーーー
平成21年12月10日最高裁判所第一小法廷判決(裁判要旨)によると,

「1 国税の滞納者を含む共同相続人の間で成立した遺産分割協議は,

滞納者である相続人にその相続分に満たない財産を取得させ,

他の相続人にその相続分を超える財産を取得させるものであるときは,

国税徴収法39条にいう第三者に利益を与える処分に当たり得る。

 2 滞納者に詐害の意思のあることは,

国税徴収法39条所定の第二次納税義務の成立要件ではない。」

ーーーーーーーーーー

遺産分割によって相続分を取得しても,

国に国税として徴収されてしまうから,

それなら,他の相続人に相続分を多く取得させようと考える人がでてきます。

しかし,そんな遺産分割をしても,国には通用しません,というのが,

この判決の主旨です。

ーーーーーーーーーーーーーーーー
国税徴収法
(無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務)
第三十九条  
滞納者の国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合において、その不足すると認められることが、当該国税の法定納期限の一年前の日以後に、滞納者がその財産につき行つた政令で定める無償又は著しく低い額の対価による譲渡(担保の目的でする譲渡を除く。)、債務の免除その他第三者に利益を与える処分に基因すると認められるときは、これらの処分により権利を取得し、又は義務を免かれた者は、これらの処分により受けた利益が現に存する限度(これらの者がその処分の時にその滞納者の親族その他の特殊関係者であるときは、これらの処分により受けた利益の限度)において、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
平成21年12月10日最高裁判所第一小法廷判決

最高裁HPhttp://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=38248&hanreiKbn=01

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com/