遺産分割協議の成立後に,
ある相続人が,被相続人の預貯金を勝手に使い込んでいたことが発見された場合の対応。
遺産分割協議の錯誤に基づく無効を主張する方法もありえるかも知れませんが,
使い込んだ時点が,被相続人の生前であっても,死後であっても,
そもそも遺産分割の対象となる財産ではありませんので,
ケースバイケースですが,錯誤無効の主張は認められない可能性が高いでしょう。
遺産分割協議とは無関係に,使い込んだ相続人を相手として民事訴訟を提起することになります。
*預貯金債権,損害賠償請求権や金銭の不当利得返還請求権は,遺産分割協議を経ることなく,可分債権として,法定相続分にしたがって各相続人が相続します。
①被相続人の生前に預貯金を使い込まれた場合は,
被相続人が不法行為損害賠償請求権または不当利得返還請求権を有し,
被相続人の死亡により,各相続人が法定相続分にしたがい,可分債権として相続します。
したがって,相続した可分債権に基づき,使い込みをした相続人に対して民事訴訟を提起することになります。
②被相続人の死後に預貯金を使い込まれた場合は,
各相続人が法定相続分にしたがって相続した可分債権に対する不法行為または不当利得になるので,この場合も,各相続人が使い込みをした相続人に対して民事訴訟を提起することになります。
③なお,相続人全員の合意が成立するならば,遺産分割協議のやり直しや遺産分割調停という方法も可能です。
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