2012年6月12日火曜日

(札幌)再転相続人が相続放棄したときの第1相続の相続権の行方


札幌,岩見沢,室蘭,小樽,滝川,浦河,岩内,夕張,静内の各家庭裁判所の相続放棄の申述書の作成


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甲が死亡(第1相続)し,


その相続人乙が熟慮期間内に相続の承認も放棄もしないまま死亡(第2相続)し,

その相続人丙らが第1相続と第2相続を両方を相続することを,

再転相続といいます。


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①第2相続について第1相続よりも先に相続放棄をした場合,

再転相続人丙は,乙の有する第1相続の相続権を相続しません。

その結果,乙の有する第1相続の相続権は,丙以外の乙の相続人が相続することになります。

乙の相続人全員が相続放棄をした場合は,

乙の有する第1相続の相続権について,乙の相続人不存在として手続を進めることになります。

重要なことは,乙の相続人全員が相続放棄をしたからといって,

乙の有している第1相続の相続権が遡って消滅することはないということです。

つまり,乙は甲の相続人ですので,

乙の相続人全員が相続放棄しても,乙が甲の相続人でなかったことにはなりません。

その結果,乙の有する第1相続の相続権は,乙が保持し続けることになります。


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(1)被相続人はA,相続人はAの兄弟姉妹Bおよび兄弟姉妹C。


Aの兄弟姉妹Cは熟慮期間内に死亡(第2相続)し,Cの子Dが再転相続人の事例


再転相続人Dが,第2相続ついて第1相続よりも先に放棄すると,

Dは,もはやCの有する第1相続の相続権を相続できません。

そうすると,次順位相続人であるCの兄弟姉妹Bが,兄弟姉妹としてCの有する第1相続の相続権を相続することになり,

結果として,BがAの相続財産を全部相続することができます。


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(2)被相続人はA,相続人はAの兄弟姉妹BとAの兄弟姉妹Cの子D

Aの兄弟姉妹CはAより先に死亡していたため,Cの子Dが代襲相続したが,

子Dは熟慮期間内に死亡し(第2相続),Dの子Eが再転相続人の事例


再転相続人Eが,第2相続について第1相続よりも先に放棄すると,

 Eは,もはやDの有する第1相続の相続権を相続できません。

 そして,死亡したDが第1相続の相続権を有し続けていることになります。

 Dの相続人全員が放棄すると,Dの相続人は不存在ということになります。

(1)の事例では,BはCの兄弟姉妹であったので,Cの相続人になることができました。

(2)の事例では,BはDの兄弟姉妹ではないので相続人になることができず,Dの有する第1相続の相続権については,相続人不存在として手続を進めることになります。



*参考:『登記研究771号175頁 カウンター相談233』