2012年8月21日火曜日

(札幌)相続放棄者の相続財産管理責任



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*上手に相続放棄の申述をすることで,相続放棄者の相続財産管理責任を免れることができる場合があります。

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相続を放棄した者は,被相続人の権利義務を承継しませんが,

相続財産の管理責任を負っています。

①相続の放棄前は,

民法918条により,自己の財産におけるのと同一の注意義務をもって,相続財産を管理しなければなりません。

②相続の放棄後は,

民法940条により,その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで,自己の財産におけるのと同一の注意義務をもって,相続財産を管理しなければなりません。


したがって,相続放棄によって相続人が不存在となる場合は,

相続放棄をした者は,相続財産管理人が選任されて職務を始めることができるまで相続財産の管理義務を負っていることになります。

なお,相続放棄をした者は,利害関係人として相続財産管理人の選任の申立てをすることができると解されています。
したがって,相続放棄をした者が相続財産の管理責任を免れたい場合は,家庭裁判所に対し相続財産管理人の選任の申し立てをする必要があります。
相続財産管理人選任の申し立ての際は,予納金を納める必要があります。予納金の金額は,相続財産の内容によって異なりますが,50万円から100万円ぐらいです。
予納金は,相続財産を売却できた場合には,売却代金から回収できますが,売却できない場合には,予納金を回収することができません。その場合は,相続財産の管理責任を免れるのと引き替えに,事実上,申立人が予納金を負担するという関係になります。

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(相続財産の管理)


民法第九百十八条  相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない。ただし、相続の承認又は放棄をしたときは、この限りでない。


2  家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、いつでも、相続財産の保存に必要な処分を命ずることができる。

3  第二十七条から第二十九条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用する。

(相続の放棄をした者による管理)


民法第九百四十条  相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

2  第六百四十五条、第六百四十六条、第六百五十条第一項及び第二項並びに第九百十八条第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。