2015年9月22日火曜日

遺言の落とし穴2



特定の相続人を除外して,残りの複数の相続人に対して相続分を指定して,遺言者のすべての相続財産を相続させる旨の遺言書が作成される場合があります。


しかし,この場合は,注意が必要です。


法定相続人A・B・Cのうち相続人Cを除外して,相続人AとBに対して相続分を指定して,遺言者のすべての相続財産を相続させる旨の遺言が作成されていた場合に,


Cを除いたAとBの遺産分割協議により,不動産甲についてAが単独相続する旨の協議が成立したとして,




当該遺言書及び遺産分割協議書(戸籍謄本・印鑑証明書)のみを添付して,不動産甲の相続登記の申請がなされたときは,


当該相続登記の申請は却下されます。


当該相続登記は,Cの遺留分減殺請求権の行使のないことが条件となるため,


Cの家庭裁判所の遺留分放棄許可書またはCの遺留分放棄証明書(印鑑証明書付き)の添付も必要となります。


なお,遺言者のすべての相続財産を単独の相続人に相続させるという内容の遺言書の場合は,即時権利移転効により,遺産分割協議を経ることなく,当該相続人が単独相続しますので,他の相続人の家庭裁判所の遺留分放棄許可書または遺留分放棄証明書(印鑑証明書付き)は,いずれも不要となります。


(登記研究810号 平成27年8月号 実務の視点138頁参照)


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