2016年7月17日日曜日

少額訴訟の相談,訴状・答弁書作成(札幌)

当事務所では,札幌簡易裁判所のほか,岩見沢,夕張,滝川,室蘭,伊達,苫小牧,浦河,静内,小樽,岩内の各簡易裁判所における,
①少額訴訟(60万円以下の金銭の支払い請求)の相談
②少額訴訟(60万円以下の金銭の支払い請求)の訴状及び答弁書の作成
少額訴訟(60万円以下の金銭の支払い請求)判決に対する異議申立書の作成
④少額訴訟(60万円以下の金銭の支払い請求)の訴訟代理


を承っております。

札幌市中央区 石原拓郎 司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所
当事務所のHP 
http://ishihara-shihou-gyosei.com/

TEL:011-532-5970

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

 368条:少額訴訟の利用は,請求金額が60万円以下の金銭の支払い請求(貸金の返還請求,敷金返還請求,損害賠償請求など)に限られます。


ただし,同じ簡易裁判所において,年(1月1日から12月31日まで)に10回を超えて少額訴訟を提起することはできません。


訴状には,①少額訴訟であること,②その年に利用した少額訴訟の回数を記載する必要があります(裁判所の定型書式には,記載欄があります)。


369条:少額訴訟においては,反訴が禁止されていますので,被告は通常訴訟への移行を選択しない場合(少額訴訟に応じる場合)は,被告の反訴は少額訴訟では解決されずに,別訴の提起として扱われます。


なお,相殺は反訴とは異なりますので,少額訴訟において相殺の主張をすることは可能です。


370条:少額訴訟は,原則として1回の裁判期日で判決が出る制度です。よって,原告及び被告は,裁判期日において,すべての主張及び証拠を提出する必要があります。


特別の事情により,1回の裁判期日で終了しなかった場合は,次回の裁判期日においても主張及び証拠を提出することが可能です。


371条:少額訴訟は,原則として1回の裁判期日で判決が出る制度ですので,裁判期日において,証拠のすべてを提出する必要があります。したがって,原則として,証人は裁判期日に同行させることになります。
なお,裁判所の裁量により,電話会議の方法を利用した証人尋問も可能です。


372条:少額訴訟は,訴訟に関する知識に乏しい一般市民の利用を想定しているので,通常訴訟と比較して,証拠調べ手続の厳格さを緩和するための規定をしています。
裁判官が当事者(原告及び被告)に代わって,適切な尋問をする必要性が想定されたため,裁判官が相当と認める順序で当事者尋問及び証人尋問をすることになっています。


373条:被告には,少額訴訟ではなく通常訴訟を選択する権利があります。被告が通常訴訟を選択した場合は,原告は拒絶することができません。
なお,被告が行方不明などのために,訴状を公示送達する場合は,自動的に通常訴訟の手続きに移行します。


374条:少額訴訟の判決は,原則として,裁判期日の終了後,直ちに言い渡されます。
なお,「直ちに」とは,裁判期日の終了後,数十分程度の経過も含む趣旨と解されています。
判決が直ちに言い渡されることになる場合は,原則として,判決書よりも記載が省略されている,調書によって判決が言い渡されることになります。
調書判決の正本は,即日の交付が望ましいとされていますが,人的及び物的な設備の不足のため,難しいようです。調書判決の正本が即日に交付されない場合は,後日,送達されます。


375条:少額訴訟判決の内容が,全部認容または一部認容の場合で,特に必要があると認めるときは,裁判所は裁量により,判決の言い渡しの日から3年を超えない範囲内で,①支払時期の定めをすること,②分割払いの定めをすること,③期限の猶予と併せて,訴え提起後の遅延損害金を免除する旨の定めをすることができます。


376条:少額訴訟判決の内容が,全部認容または一部認容の場合は,必要的に仮執行宣言が付されます。そのため,少額訴訟判決に対する異議の申し立ての有無を問わず,原告は強制執行の申し立てをすることができます。
なお,少額訴訟判決に基づく強制執行の場合は,単純執行文の付与を受ける必要がありません。


377条:少額訴訟判決に対しては,上級審に控訴をすることができません。ただし,異議を申し立てることができます。

378条:少額訴訟判決の判決書(調書)を受け取った日の翌日から起算して2週間以内であれば,判決に不服のある原告及び被告は,判決を下した裁判所に異議を申し立てることができます。


異議申立書に異議の理由を記載する必要はありません。しかしながら,異議の理由が不明の場合は,再審理(異議審)における進行が阻害されますので,のちに裁判所から異議の理由の説明を求められます。

不適法な異議申立てで,その不備を補正できない場合は,却下判決が下されます。

不適法な異議申立てとは,①異議申立期間を経過した後の異議申立ての場合,②全部勝訴した原告又は被告の異議申立ての場合,③分割払いなどの定めに対する異議申立ての場合,④収入印紙500円を貼付しない異議申立ての場合,などです。

379条:少額訴訟判決に対して,適法な異議申立てがあった場合は,少額訴訟について再審理(異議審)をすることになります。したがって,異議の申立てがあると,1回の裁判期日で終了することにはならず,裁判が続行することになります。

異議審においては,原告及び被告は,追加の主張及び証拠を提出することができます。

異議審の審理対象は,原告の請求の勝訴部分と敗訴部分を含めたすべての部分です。つまり,異議審においては,原告の請求をあらためて審理判断することになります。

したがって,異議審の判決である少額訴訟異議判決には,不利益変更禁止の原則は適用されません。よって,少額訴訟異議判決は,少額訴訟判決と比較して,異議の申立人に不利な内容に変更される場合もあります。


なお,少額訴訟判決を言い渡した裁判官が異議審も担当することについては,適法であるとされています。


380条:少額訴訟異議判決(却下判決を含む)には,控訴をすることができません。したがって,少額訴訟異議判決により,少額訴訟は終了することになります。

ただし,憲法違反が問題となる場合は,特別上告をすることができます。

381条:その年に利用した少額訴訟の回数について,虚偽の記載をした場合は,決定で10万円以下の過料に処するという制裁規定です。





^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


民事訴訟法(平成八年六月二十六日法律第百九号)


第六編 少額訴訟に関する特則 
 

第三百六十八条  簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることができない。
 少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。
 前項の申述をするには、当該訴えを提起する簡易裁判所においてその年に少額訴訟による審理及び裁判を求めた回数を届け出なければならない。


第三百六十九条  少額訴訟においては、反訴を提起することができない。


第三百七十条  少額訴訟においては、特別の事情がある場合を除き、最初にすべき口頭弁論の期日において、審理を完了しなければならない。
 当事者は、前項の期日前又はその期日において、すべての攻撃又は防御の方法を提出しなければならない。ただし、口頭弁論が続行されたときは、この限りでない。


第三百七十一条  証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限りすることができる。


第三百七十二条  証人の尋問は、宣誓をさせないですることができる。
 証人又は当事者本人の尋問は、裁判官が相当と認める順序でする。
 裁判所は、相当と認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方と証人とが音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、証人を尋問することができる。


第三百七十三条  被告は、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる。ただし、被告が最初にすべき口頭弁論の期日において弁論をし、又はその期日が終了した後は、この限りでない。
 訴訟は、前項の申述があった時に、通常の手続に移行する。
 次に掲げる場合には、裁判所は、訴訟を通常の手続により審理及び裁判をする旨の決定をしなければならない。
 第三百六十八条第一項の規定に違反して少額訴訟による審理及び裁判を求めたとき。
 第三百六十八条第三項の規定によってすべき届出を相当の期間を定めて命じた場合において、その届出がないとき。
 公示送達によらなければ被告に対する最初にすべき口頭弁論の期日の呼出しをすることができないとき。
 少額訴訟により審理及び裁判をするのを相当でないと認めるとき。
 前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
 訴訟が通常の手続に移行したときは、少額訴訟のため既に指定した期日は、通常の手続のために指定したものとみなす。


第三百七十四条  判決の言渡しは、相当でないと認める場合を除き、口頭弁論の終結後直ちにする。
 前項の場合には、判決の言渡しは、判決書の原本に基づかないですることができる。この場合においては、第二百五十四条第二項及び第二百五十五条の規定を準用する。


第三百七十五条  裁判所は、請求を認容する判決をする場合において、被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、判決の言渡しの日から三年を超えない範囲内において、認容する請求に係る金銭の支払について、その時期の定め若しくは分割払の定めをし、又はこれと併せて、その時期の定めに従い支払をしたとき、若しくはその分割払の定めによる期限の利益を次項の規定による定めにより失うことなく支払をしたときは訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する旨の定めをすることができる。
 前項の分割払の定めをするときは、被告が支払を怠った場合における期限の利益の喪失についての定めをしなければならない。
 前二項の規定による定めに関する裁判に対しては、不服を申し立てることができない。


第三百七十六条  請求を認容する判決については、裁判所は、職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言しなければならない。
 第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。


第三百七十七条  少額訴訟の終局判決に対しては、控訴をすることができない。


第三百七十八条  少額訴訟の終局判決に対しては、判決書又は第二百五十四条第二項(第三百七十四条第二項において準用する場合を含む。)の調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に、その判決をした裁判所に異議を申し立てることができる。ただし、その期間前に申し立てた異議の効力を妨げない。
 第三百五十八条から第三百六十条までの規定は、前項の異議について準用する。


第三百七十九条  適法な異議があったときは、訴訟は、口頭弁論の終結前の程度に復する。この場合においては、通常の手続によりその審理及び裁判をする。
 第三百六十二条、第三百六十三条、第三百六十九条、第三百七十二条第二項及び第三百七十五条の規定は、前項の審理及び裁判について準用する。


第三百八十条  第三百七十八条第二項において準用する第三百五十九条又は前条第一項の規定によってした終局判決に対しては、控訴をすることができない。
 第三百二十七条の規定は、前項の終局判決について準用する。


第三百八十一条  少額訴訟による審理及び裁判を求めた者が第三百六十八条第三項の回数について虚偽の届出をしたときは、裁判所は、決定で、十万円以下の過料に処する。
 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
 第百八十九条の規定は、第一項の規定による過料の裁判について準用する。

民事訴訟規則(平成八年十二月十七日最高裁判所規則第五号)


第六編 少額訴訟に関する特則



(手続の教示)
第二百二十二条 裁判所書記官は、当事者に対し、少額訴訟における最初にすべき口頭弁論の期日呼出しの際に、少額訴訟による審理及び裁判手続の内容を説明した書面を交付しなければならない
2 裁判官は、前項期日の冒頭において、当事者に対し、次に掲げる事項説明しなければならない
一 証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限りすることができること。
二 被告は、訴訟を通常の手続移行させる旨の申述することができるが、被告が最初にすべき口頭弁論の期日において弁論をし、又はその期日終了した後は、この限りでないこと。
三 少額訴訟終局判決に対しては、判決書又は判決書に代わる調書送達を受けた日から二週間の不変期間内に、その判決をした裁判所異議申し立てることができること。

(少額訴訟を求め得る回数・法第三百六十八条)
第二百二十三条 第三百六十八少額訴訟要件等)第一ただし書最高裁判所規則で定める回数は、十回とする

(当事者本人の出頭命令)
第二百二十四条 裁判所は、訴訟代理人選任されている場合であっても、当事者又はその法定代理人出頭命ずることができる。

(証人尋問の申出)
第二百二十五条 証人尋問申出をするときは、尋問事項書提出することを要しない

(音声の送受信による通話の方法による証人尋問・法第三百七十二条)
第二百二十六条 裁判所及び当事者双方と証人とが音声の送受信により同時に通話することができるによる証人尋問は、当事者申出があるときにすることができる
2 前項申出は、通話先の電話番及びその場所を明らかにしてしなければならない
3 裁判所は、前項の場所が相当でないと認めるときは、第一申出をした当事者に対し、その変更を命ずることができる。
4 第一尋問をする場合には、文書写しを送信してこれを提示することその他の尋問の実施に必要な処置を行うため、ファクシミリを利用することができる
5 第一尋問をしたときは、その旨、通話先の電話番及びその場所を調書に記載しなければならない
6 第八十八弁論準備手続調書等)第二の規定は、第一項の尋問をする場合について準用する

(証人等の陳述の調書記載等)
第二百二十七条 調書には、証人等の陳述を記載することを要しない
2 証人尋問又は鑑定人の口頭による意見陳述前に裁判官命令又は当事者申出があるときは、裁判所書記官は、当事者裁判上の利用供するため、録音テープ等に証人又は鑑定人陳述記録しなければならない。この場合において、当事者申出があるときは、裁判所書記官は、当該録音テープ等の複製を許さなければならない。

(通常の手続への移行・法第三百七十三条)
第二百二十八条 被告の通常の手続移行させる旨の申述は、期日においてする場合を除き、書面でしなければならない
2 前項申述があったときは、裁判所書記官は、速やかにその申述により訴訟が通常の手続移行した旨を原告通知しなければならないただし、その申述が原告の出頭した期日においてされたときは、この限りでない
3 裁判所が訴訟を通常の手続により審理及び裁判をする旨の決定をしたときは、裁判所書記官は、速やかにその旨を当事者通知しなければならない

(判決・法第三百七十四条)
第二百二十九条 少額訴訟判決書又は判決書に代わる調書には、少額訴訟判決表示しなければならない
2 第百五十五言渡し方式)第三の規定は、少額訴訟における原本に基づかないでする判決の言渡しをする場合について準用する
(異議申立ての方式等・法第三百七十八条)
第二百三十条 第二百十七異議申立て方式等)及び第二百十八異議申立権の放棄及び異議取下げの規定は、少額訴訟の終局判決に対する異議について準用する
(異議後の訴訟の判決書等)
第二百三十一条 異議後の訴訟の判決書又は判決書に代わる調書には、少額異議判決表示しなければならない
2 第二百十九手形訴訟判決書等の引用の規定は、異議後の訴訟の判決書又は判決書に代わる調書における事実及び理由の記載について準用する