2016年7月17日日曜日

支払督促(札幌)

当事務所では,札幌簡易裁判所のほか,岩見沢,夕張,滝川,室蘭,伊達,苫小牧,浦河,静内,小樽,岩内の各簡易裁判所における,①支払督促の相談
②支払督促の申立書及び督促異議申立書の作成
③支払督促の訴訟代理(訴額が140万円以内に限る)
を承っております。
札幌市中央区 石原拓郎 司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所
当事務所のHP 
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TEL:011-532-5970
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382条:金銭の支払い請求の場合は,少額訴訟を利用することもできますが,少額訴訟は60万円以下の金額に限られます。しかし,支払督促は,60万円を超えた金額であっても利用することができます。


強制執行をするための債務名義を得る方法としては,公正証書を作成する方法もありますが,公正証書の作成は,債務者(相手方)も公証役場に出頭するか,債務者から公正証書作成の委任状を取得するなど,債務者の積極的な協力が必要になります。しかし,債務者が金銭の支払い請求について争ってこないことが想定される場合,支払督促は債務者の積極的な協力がなくても,債務名義を得ることができますし,裁判手数料が訴訟の半額ということもあり,貸金業者・信販会社などの債権者が活用しています。


なお,まだ支払期限が到来していない請求については,支払督促を利用することはできません。
支払督促による時効中断の効力は,債権者が支払督促の申立てをした時に生じますが,支払督促は公示送達によることができないとされていますので,債務者の所在不明により送達できない場合は,支払督促の申立てを取り下げる必要があります。その結果,支払督促の申立てをした時に遡って時効中断の効力は失われることになります。


383条:支払督促の申立ては,債務者(相手方)の住所地の簡易裁判所にする必要があります。


384条:支払督促の申立書には,紛争の要点では足らず,請求の原因として請求を理由付ける一切の事実を記載する必要があります。


385条:書記官による支払督促の申立ての却下処分に対する異議の申立てがあった場合は,裁判所が決定で裁判をします。その裁判に対しては不服を申し立てることはできません。


386条:支払督促は,申立てが不適法な場合,又は請求の理由がないことが明らかな場合を除いて,理由の有無について債務者を審尋しないで発せられます。支払督促は,債権者の一方的な申立てにより発せられますので,債務者の督促異議の申立書には不服がある旨の記載で足り,異議の理由を記載する必要はありません。


387条:支払督促の送達の際には,通常は,督促異議の申立書が同封されていますので,債務者は容易に督促異議を申し立てることができます。


388条:支払督促が送達できない場合において,債権者が通知を受けた日の翌日から2ヵ月以内に新しい送達場所の申出をしないときは,支払督促の申立てを取り下げたとみなされます。その結果,支払督促の申立てをした時に遡って時効中断の効力は失われることになります。


389条:支払督促について,計算違いなど明白な誤りがある場合は,更正をすることできます。


390条:仮執行宣言前に適法な督促異議の申立てがあった場合は,訴訟に移行します。債務者は仮執行宣言前に督促異議をしておけば,その後の仮執行宣言の申立てを阻止することができます。


391条:債務者が支払督促が送達された日の翌日から2週間以内に督促異議の申立てをしない場合は,債権者は支払督促に対する仮執行宣言を求める申立てをすることができます。債権者は,仮執行宣言付の支払督促を得ることにより,債務者に強制執行をすることができるようになります。


392条:債権者が仮執行宣言の申立てをすることができる時から30日以内に仮執行宣言を求める申立てをしない場合,支払督促は効力を失うことになります。その結果,支払督促の申立てをした時に遡って時効中断の効力は失われることになります。


393条:債務者は仮執行宣言付の支払督促を受け取った日の翌日から2週間以内であれば,督促異議の申立てをすることができます。支払督促の確定は遮断されますが,執行力は停止しませんので,債務者が強制執行の停止を求める場合は,強制執行停止の申立てをする必要があります。


394条:督促異議の申立てが,393条の期間経過後の場合は,督促異議は却下されます。


395条:適法な督促異議の申立てがあった場合,請求金額が140万円以下のときは相手方の簡易裁判所に,140万円を超えるときは相手方の地方裁判所に訴えの提起があったものとして,訴訟に移行することになります。
支払督促の裁判手数料は訴訟の半額とされていますので,訴訟に移行した場合は不足額を追納する必要があります。なお,法律上の規定がないので,少額訴訟への移行は認められません。


396条:確定した支払督促は確定判決と同一の効力を有しますが,既判力がありませんので,債務者は請求異議の訴えによって支払督促の請求内容を争うことができます。
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民事訴訟法
(平成八年六月二十六日法律第百九号)


第七編 督促手続
   第一章 総則

第三百八十二条  金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。ただし、日本において公示送達によらないでこれを送達することができる場合に限る。
第三百八十三条  支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してする。
 次の各号に掲げる請求についての支払督促の申立ては、それぞれ当該各号に定める地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してもすることができる。
 事務所又は営業所を有する者に対する請求でその事務所又は営業所における業務に関するもの
     当該事務所又は営業所の所在地
 手形又は小切手による金銭の支払の請求及びこれに附帯する請求
     手形又は小切手の支払地
第三百八十四条  支払督促の申立てには、その性質に反しない限り、訴えに関する規定を準用する。
第三百八十五条  支払督促の申立てが第三百八十二条若しくは第三百八十三条の規定に違反するとき、又は申立ての趣旨から請求に理由がないことが明らかなときは、その申立てを却下しなければならない。請求の一部につき支払督促を発することができない場合におけるその一部についても、同様とする。
 前項の規定による処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
 前項の処分に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
第三百八十六条  支払督促は、債務者を審尋しないで発する。
 債務者は、支払督促に対し、これを発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に督促異議の申立てをすることができる。
第三百八十七条  支払督促には、次に掲げる事項を記載し、かつ、債務者が支払督促の送達を受けた日から二週間以内に督促異議の申立てをしないときは債権者の申立てにより仮執行の宣言をする旨を付記しなければならない。
 第三百八十二条の給付を命ずる旨
 請求の趣旨及び原因
 当事者及び法定代理人
第三百八十八条  支払督促は、債務者に送達しなければならない。
 支払督促の効力は、債務者に送達された時に生ずる。
 債権者が申し出た場所に債務者の住所、居所、営業所若しくは事務所又は就業場所がないため、支払督促を送達することができないときは、裁判所書記官は、その旨を債権者に通知しなければならない。この場合において、債権者が通知を受けた日から二月の不変期間内にその申出に係る場所以外の送達をすべき場所の申出をしないときは、支払督促の申立てを取り下げたものとみなす。
第三百八十九条  第七十四条第一項及び第二項の規定は、支払督促について準用する。
 仮執行の宣言後に適法な督促異議の申立てがあったときは、前項において準用する第七十四条第一項の規定による更正の処分に対する異議の申立ては、することができない。
第三百九十条  仮執行の宣言前に適法な督促異議の申立てがあったときは、支払督促は、その督促異議の限度で効力を失う。
第三百九十一条  債務者が支払督促の送達を受けた日から二週間以内に督促異議の申立てをしないときは、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促に手続の費用額を付記して仮執行の宣言をしなければならない。ただし、その宣言前に督促異議の申立てがあったときは、この限りでない。
 仮執行の宣言は、支払督促に記載し、これを当事者に送達しなければならない。ただし、債権者の同意があるときは、当該債権者に対しては、当該記載をした支払督促を送付することをもって、送達に代えることができる。
 第三百八十五条第二項及び第三項の規定は、第一項の申立てを却下する処分及びこれに対する異議の申立てについて準用する。
 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
 第二百六十条及び第三百八十八条第二項の規定は、第一項の仮執行の宣言について準用する。
第三百九十二条  債権者が仮執行の宣言の申立てをすることができる時から三十日以内にその申立てをしないときは、支払督促は、その効力を失う。
第三百九十三条  仮執行の宣言を付した支払督促の送達を受けた日から二週間の不変期間を経過したときは、債務者は、その支払督促に対し、督促異議の申立てをすることができない。
第三百九十四条  簡易裁判所は、督促異議を不適法であると認めるときは、督促異議に係る請求が地方裁判所の管轄に属する場合においても、決定で、その督促異議を却下しなければならない。
 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
第三百九十五条  適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額に従い、支払督促の申立ての時に、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。この場合においては、督促手続の費用は、訴訟費用の一部とする。
第三百九十六条  仮執行の宣言を付した支払督促に対し督促異議の申立てがないとき、又は督促異議の申立てを却下する決定が確定したときは、支払督促は、確定判決と同一の効力を有する。

民事訴訟規則
平成八年十二月十七日最高裁判所規則第五号)
第七編 督促手続
(訴えに関する規定の準用・法第三百八十四条)
第二百三十二条 支払督促申立てには、その性質に反しない限り、訴えに関する規定準用する
(支払督促の原本・法第三百八十七条)
第二百三十三条 支払督促原本には、これを発した裁判所書記官記名押印しなければならない
(支払督促の送達等・法第三百八十八条)
第二百三十四条 支払督促債務者に対する送達は、その正本によってする。
2 裁判所書記官は、支払督促を発したときは、その旨を債権者通知しなければならない
(仮執行の宣言の申立て等・法第三百九十一条)
第二百三十五条 仮執行宣言申立ては、手続費用額を明らかにしてしなければならない
2 第三百九十一仮執行宣言)第二ただし書規定する債権者同意は、仮執行宣言申立ての時にするものとする
(仮執行の宣言の方式等・法第三百九十一条)
第二百三十六条 仮執行宣言は、支払督促原本に記載しなければならない
2 第二百三十四支払督促送達等)第一の規定は、仮執行の宣言が記載された支払督促の当事者に対する送達及び債権者に対する送達に代わる送付について準用する
(訴訟への移行による記録の送付・法第三百九十五条)
第二百三十七条 第三百九十五督促異議の申立てによる訴訟への移行)の規定により地方裁判所訴え提起があったものとみなされたときは、裁判所書記官は、遅滞なく地方裁判所裁判所書記官に対し、訴訟記録送付しなければならない