2014年10月20日月曜日

「花押は印」認める判決、遺言書有効と判断

本件は,結果論として救済されたからよかったですが,


そもそも,自筆証書遺言の作成を専門家に相談していなかったのか失敗でしょう。


相談していれば,遺言無効の訴訟を起こされることはなかったはずです。


記事には,「伝統的な文書成立の証明方法に、司法がお墨付きを与えた形だ。 」と記載されていますが,一般化できるかどうかは疑問です。


最高裁判例には,サインをもって押印の代わりとして認めた ものがありますが,日本に帰化した白系ロシア人という特殊性のある事案であり,本件も,琉球王朝の末裔であり,生前職場で多様していたという特殊性が考慮されているからです。 


(10月24日追記 福岡高判那覇支部も有効と判断したようです。)    


遺言書の「花押」有効と判決
高裁那覇支部、一審を支持

 遺産相続の遺言書に使われる「印」の代わりに、戦国武将らのサインとして知られる「花押」の使用は有効かどうかが争われた訴訟の判決で、福岡高裁那覇支部は23日、印と認定できると判断した一審那覇地裁判決を支持し、遺言書を有効と認めた。

 民法は遺言書の要件として印を求めている。中国に起源のある花押は、豊臣秀吉ら歴史上の人物が使ったほか、現在も閣議書を回覧する「持ち回り閣議」で大臣が使用することがある。遺産相続に詳しいNPO法人「遺言・相続リーガルネットワーク」(東京)の中根秀樹弁護士によると、花押が印として認められた司法判断は極めて珍しい。(共同通信)
             





^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


2014年10月16日


戦国武将らに使われてきた手書きのサイン「花押かおう」が記された遺言書の有効性が争われた訴訟の判決で、那覇地裁が、花押について、民法が遺言書に必要とする「印」と認めていたことがわかった。判決は「文書作成者の特定に使われてきた歴史がある」とし、遺言書も有効と判断。伝統的な文書成立の証明方法に、司法がお墨付きを与えた形だ。

 判決などによると、遺言書は、琉球王国の名家の末裔まつえいにあたる沖縄県内の男性の名義。男性は2003年に85歳で死亡し、遺言書には、息子3人のうち、地元に住み続けて関係が良好だった次男に山林などの不動産をすべて譲るとする内容が書かれていた。
 民法968条は、本人が遺言書を作成したことを厳格に証明するため、署名と「印」の両方をつけるよう規定。認め印や指印も有効だが、男性は末尾に署名はしたものの押印せず、花押を記していた。
 長男と三男は「遺言書は無効」と訴え、10年近く話し合ったが、解決せず、次男が12年、有効と認めるよう求めて那覇地裁に提訴。裁判で長男と三男は「現代社会で、本人確認のために花押を使う慣行はない」と主張した。

 これに対し、今年3月の判決は、花押が平安時代から文書の作成者を明らかにする目的で使われ、認め印よりも偽造が困難だと指摘。男性が生前、職場の寄せ書きなどに同じ花押を多用していた点も踏まえ、「男性の押印と認めるのが相当で、遺言書は有効」とした。


読売新聞HP


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com