2016年5月30日月曜日

遺言書の相続登記の却下処分に関する裁判例




却下された前登記申請(相続登記)の遺言書(平成10年12月22日付け)と,


前登記申請から10日後の本件登記申請(相続登記)の遺言書(昭和58年5月23日付け)は,


その記載内容において抵触している部分があった。


本件登記申請の遺言書の日付が,却下された前登記申請の遺言書の日付よりも古かったため,


登記官が,前登記申請の遺言書により,本件登記申請の遺言書の記載内容のうち抵触している部分について撤回があったのではないかと疑義が生じ,


本件遺言書を本件登記申請の相続を証する書面と認めることができないと判断し,法49条8号により却下した事案で,


東京高等裁判所は,却下処分の取り消し請求を否定した。




(旧)不動産登記法 
第49条 登記官ハ左ノ場合ニ限リ理由ヲ附シタル決定ヲ以テ申請ヲ却下スルコトヲ要ス 但申請ノ欠缺カ補正スルコトヲ得ヘキモノナル場合ニ於テ申請人カ即日ニ之ヲ補正シタルトキハ此限ニ在ラス
八 申請書ニ必要ナル書面又ハ図面ヲ添附セサルトキ


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相続登記却下処分取消請求控訴事件


東京高裁平成12年(行コ)第302号  平成13年03月01日 判決(確定)


 判 決 要 旨


 権利に関する登記申請について,登記官が審査に用いることができる資料は,原則として,申請書,その添付書類及び登記簿に限定されると解されるが,ある登記申請に対する却下決定がされた後に,同一不動産について,同一登記原因に基づき,同一申請人,同一の代理人から登記申請が再度され,同一登記官がこれを審査したような場合,登記官が前登記申請についての職務を遂行するについて,添付書面上当然知ることができ,確実に把握している事柄については,登記官の職務上知り得た事実として,登記申請の審査に当たって斟酌しても差し支えない。


法務省HP 訟務重要判例集データベースシステム
http://www.shoumudatabase.moj.go.jp/search/html/upfile/geppou/pdfs/d04809/g04809017.pdf


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札幌市中央区 石原拓郎 司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所
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