2009年7月7日火曜日

葬祭扶助(生活保護法)

どうしても葬祭を行うことが困難な場合,

生活保護法の葬祭扶助により,札幌市の場合,約20万円の範囲内で葬祭費を支給してもらえます。

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【生活保護法】
(葬祭扶助) 第十八条  
1 葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。

 検案

 死体の運搬

 火葬又は埋葬

 納骨その他葬祭のために必要なもの

 左に掲げる場合において、その葬祭を行う者があるときは、その者に対して、前項各号の葬祭扶助を行うことができる。


 被保護者が死亡した場合において、その者の葬祭を行う扶養義務者がないとき。

 死者に対しその葬祭を行う扶養義務者がない場合において、その遺留した金品で、葬祭を行うに必要な費用を満たすことのできないとき。

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第18条第1項は,死亡者の遺族又は扶養義務者(亡くなった方の祖父母,父母,子,孫,兄弟姉妹)が困窮のため葬祭を行うことができない場合です。

*なお,第18条 第1項 第4号の納骨その他葬祭のために必要なもの の範囲には,死亡診断書,棺桶,骨壺,位牌,祭壇,読経も含まれます。(但し,合計金額は,約20万円が限度です。)


第18条第2項は,生活保護受給者自身が亡くなった場合で,なおかつ,扶養義務者がいない場合です。
第18条第2項の場合,そもそも扶養義務者がいないので,第三者(家主や民生委員など)が葬祭を行えば,葬祭扶助が支給されます。

 *一人暮らしの生活保護受給者が亡くなった場合,原則として第18条第1項が適用されるので,遺族,または,扶養義務者が,いったん葬祭費用を出してしまうと,その後,市役所から葬祭扶助を支給してもらうことは難しいようです

 遺族,または,扶養義務者が,葬祭費用を出せるということは,遺族,または,扶養義務者に支払い能力があり,「困窮のため葬祭を行うことができない」場合にあたらないからです。

 市役所は,生活保護法による扶助よりも,扶養義務者の援助を優先させているようです。


 *なお,墓地埋葬法第9条第1項により,市町村長は,旅行人などで身元不明人の埋葬,または,火葬を行う義務があります。

 *また,老人福祉法第11条第2項により,市町村は,老人ホームに入所していた者が死亡した場合で,葬祭を行う者がいないときは,市町村が葬祭を行う,または,老人ホームに葬祭を行うことを委託することができる,とされています。

【墓地、埋葬等に関する法律】
第九条    死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。

【老人福祉法】
第十一条
 市町村は、前項の規定により養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームに入所させ、若しくは入所を委託し、又はその養護を養護受託者に委託した者が死亡した場合において、その葬祭(葬祭のために必要な処理を含む。以下同じ。)を行う者がないときは、その葬祭を行い、又はその者を入所させ、若しくは養護していた養護老人ホーム、特別養護老人ホーム若しくは養護受託者にその葬祭を行うことを委託する措置を採ることができる。