2011年4月14日木曜日

生命保険に関する判例4

生命保険金請求権の消滅時効に関する判例

本件事案は,被保険者が自動車を運転して自宅を出たまま行方不明となり,

行方不明から3年以上経過した後,展望台の下の雑木林で遺体が見つかりました。

被保険者が行方不明になったころ,

被保険者が運転する自動車が道路から転落し,

その傷害により,被保険者が死亡したと推認されました。

約款の規定により,死亡時から3年経過した場合,

保険金請求権は,時効により消滅しますが,

本件事案では,最高裁判所は,保険金請求権の時効消滅を認めませんでした。


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事件番号 平成12(受)485




事件名 保険金請求事件


裁判年月日 平成15年12月11日


法廷名 最高裁判所第一小法廷  判決


 民集 第57巻11号2196頁


判示事項


1 生命保険契約において被保険者の死亡の日の翌日を死亡保険金請求権の消滅時効の起算点とする旨を定めている保険約款の解釈


2 生命保険契約に係る保険約款が被保険者の死亡の日の翌日を死亡保険金請求権の消滅時効の起算点とする旨を定めている場合であっても上記消滅時効は被保険者の遺体が発見されるまでの間は進行しないとされた事例






裁判要旨


1 生命保険契約に係る保険約款中の被保険者の死亡の日の翌日を死亡保険金請求権の消滅時効の起算点とする旨の定めは,当時の客観的状況等に照らし,上記死亡の時からの保険金請求権の行使が現実に期待することができないような特段の事情が存する場合には,その権利行使が現実に期待することができるようになった時以降において上記消滅時効が進行する趣旨と解すべきである。


2 生命保険契約に係る保険約款が被保険者の死亡の日の翌日を死亡保険金請求権の消滅時効の起算点とする旨を定めている場合であっても,被保険者が自動車を運転して外出したまま帰宅せず,その行方,消息については何の手掛かりもなく,その生死も不明であったが,行方不明になってから3年以上経過してから,峠の展望台の下方約120mの雑木林の中で,自動車と共に白骨化した遺体となって発見されたなど判示の事実関係の下では,上記消滅時効は,被保険者の遺体が発見されるまでの間は進行しない。




最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=52297&hanreiKbn=01


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