2011年4月14日木曜日

生命保険に関する判例6

会社の取締役による被保険者の故殺と免責に関する判例

本件事案では,保険会社(保険者)の免責が認められませんでした。


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事件番号 平成14(受)310




事件名 保険金請求事件


裁判年月日 平成14年10月03日


法廷名 最高裁判所第一小法廷  判決


 民集 第56巻8号1706頁


判示事項


1 生命保険契約の被保険者を故意に死亡させた第三者の行為が保険契約者又は保険金受取人の行為と同一のものと評価される場合における保険者の免責


2 保険契約者兼保険金受取人が会社である生命保険契約の被保険者を当該会社の取締役が故意に死亡させた場合に保険者が免責されないとされた事例






裁判要旨


 1 被保険者が保険契約者又は保険金受取人の故意により死亡した場合には死亡保険金を支払わない旨の生命保険契約上の免責条項は,被保険者を故意に死亡させた第三者の行為が,公益や信義誠実の原則に照らして保険契約者又は保険金受取人の行為と同一のものと評価される場合を含む。


2 生命保険契約の保険契約者兼保険金受取人である有限会社の代表取締役として同会社の業務のほとんどを支配していた被保険者を,その補助的性質の業務を担当していた代表権のない取締役が個人的動機によって故意に死亡させたなど判示の事実関係の下においては,上記取締役の行為をもって上記会社の行為と同一のものと評価することはできず,保険者は,被保険者が保険契約者又は保険金受取人の故意により死亡した場合に死亡保険金を支払わない旨の保険契約上の免責条項によって,免責されない。


(2につき反対意見がある。)


最高裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=52361&hanreiKbn=01


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