2010年11月10日水曜日

遺留分減殺請求17

遺留分権利者の遺留分減殺請求(現物返還請求)に対し,

受贈者または受遺者が民法1041条1項に基づく,

現物返還に代わる価額弁償の意思表示をしてきたので,

それを受けて,遺留分権利者が,

受贈者または受遺者に対し,価額弁償を請求した場合,

遺留分権利者は,現物返還請求権を遡って失いますが,

価額賠償請求権を確定的に取得します。

そして,価額賠償請求権を確定的に取得した日の翌日から,

遺留分権利者は,価額賠償請求権の遅延損害金も請求できるようになります。

遺留分権利者       受贈者または受遺者

①遺留分減殺請求→

(現物返還請求)

           ←    ②価額弁償の意思表示

③価額弁償請求 →    

=遺留分権利者は,現物返還請求権は失うが,

価額賠償請求権を取得します。

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平成20年01月24日最高裁判所第一小法廷判決民集 第62巻1号63頁

判示事項
受遺者から民法1041条1項の規定による価額弁償の意思表示を受けた遺留分権利者が受遺者に対し価額弁償を請求する旨の意思表示をした場合において,当該遺留分権利者が遺贈の目的物について価額弁償請求権を確定的に取得する時期


裁判要旨
遺留分減殺請求を受けた受遺者が民法1041条1項の規定により遺贈の目的の価額を弁償する旨の意思表示をし,これを受けた遺留分権利者が受遺者に対して価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をした場合には,その時点において,当該遺留分権利者は,遺留分減殺によって取得した目的物の所有権及び所有権に基づく現物返還請求権をさかのぼって失い,これに代わる価額弁償請求権を確定的に取得する。




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